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うつせみ血風録  作者: 三畳紀
序ノ段
5/21

第5回、馴れ合いの黄昏

 夕陽が沈むこともなければ朝を迎えることもない黄昏の空が永続している紫水小路は、ウツセミを自称する吸血鬼たちの居住地である。


 現世とは別の時空に存在している紫水小路においてウツセミを迫害する者は存在せず、絶対的な街の支配者として彼らは君臨しており吸血鬼の視点で見れば平和な社会が作られていたが、数人の人物が集められた代永よなが氏族族長の屋敷の一室には、表の穏やかな空気とは対照的なきな臭さが蔓延していた。


御門みかどいや紫水小路の以外の場所からやってきたウツセミか……」


「元々私たちの始祖はヨーロッパから日本に逃れてきたのでしょう、だったらここ以外の場所に吸血鬼がいてもおかしくはないじゃないの?」


 上等なスーツを粋に着崩し基本的に飄々とした態度をしている代永氏族族長の源司げんじが柄にもなく深刻な顔をすると、代永と対をなす富士見氏族の族長の席にある人形のように整った顔立ちをしている千歳ちとせは彼が何に思い悩んでいるのかと不思議そうに鶴のように細くて優美な首を傾げた。


「千歳、他の地域にも吸血鬼がいること自体は不思議じゃないよ。問題なのは他所からやってきたそのウツセミがオレたちの存在知っていた上で、御門市内で人間を襲ったということさ」


「ウツセミ同士なら相手が傍にいなくてもその存在を感じ取れるだろう、先客がいるのならその街で狩りをしないのはウツセミとして当然のエチケットじゃないか」


 千歳の質問に対し源司が返答すると、彼に続いて同じく代永氏族に属し紫水小路に迷い込んだ人間を相手にした歓楽街『花街』の経営を任されている忠将ただまさが同胞に対する不文律の礼儀を説いた。


「それは紫水小路の中での常識でしょう、他所の吸血鬼がそこまで慎み深いという証拠はないわ」


「あのね富士見のお嬢様、理性を無くしたナレノハテだって自分の餌場である御門の外には出ないくらいのことくらいの縄張り意識は持っているんだよ。ましてウツセミなら同胞の気配を感じれば大人しく御門を離れるに決まっているさ」


 千歳は源司たちの主張が必ずしも吸血鬼全体にとって普遍的な道徳ではないと力説するが、彼らと同じく代永氏族の一員でウツセミの餌となる人間を含めた紫水小路で行われる商取引全般を取り仕切る『置屋』の女主人の茜は千歳の意見を鼻で笑って一蹴する。


「だからそれが外の吸血鬼にも通用する考えとは限らないでしょう?!」


「畜生と変わらないナレノハテでさえ守れるんだから、他人の縄張りに入り込まないってことは私たちの先達が定めた掟によるものじゃなくて、ウツセミもナレノハテも関係なく本能的に従う種族としてのルールなんだよ。箱入り娘が知ったような口を利くんじゃないよ」


 千歳は族長の自分に対する茜の不遜な態度に癇癪を起こし、陶磁器のように滑らかで白い頬を紅潮させて茜を睨みつけるが、茜は涼しい顔でその剣幕をやり過ごしつつ理詰めで千歳を黙らせた。茜に自分の主張をあっけなく論破されてしまい、千歳の玲瓏とした美貌に羞恥の色が濃く浮かび上がる。


「…既に片付いた問題を蒸し返すなんて非生産的なことに付き合っていられないわ、私はこれで失礼するわよ」


「待ってくれ千歳さん。また同じようなことがあるかもしれないし、今後の対応を協議するのに富士見の族長をしているあんたの意見も取り入れなくちゃいけないだろう?」


「退屈な議論や有力者による投票をしてものを決めるなんてもううんざりよ。人間の真似事はしたいひとだけでしてればいいわ、私は抜けさせてもらうわよ」


 会議に参加し続けることに嫌気が差した千歳が早退する旨を一同に告げて席を離れようとするのを、忠将が紫水小路の支配階級の一端を担っている氏族の代表である彼女の意見を蔑ろにする訳にもいかないのでその場に残るように懇願した。しかし千歳は人間のように議論を重なることを煩わしく思っているようで、頑なに忠将の申し出を拒むと会議の開かれている応接室から出て行ってしまった。


「染物屋、あんたのトコのお嬢様の我儘をどうにかしてくれないかしら?」


「今更言っても仕方がないだろうし、仮に注意した所で今はあれが私たちの族長なんだから配下のものの意見を素直に聞き入れるはずがないだろう?」


「先代の族長が手塩にかけて育てたからって、あんな世間知らずの小娘を族長にするなんてあんたたちはどうかしているわよ。少しは迷惑をかけられる私たちのことを考えてくれてもいいんじゃない?」


「それは無茶な注文だな、富士見のウツセミたちは同胞全体の利益よりも、自分の創作活動に没頭することを優先するからね。だからこそ君たちが大枚を叩いて欲しがる作品を生み出せるんだ」


「…置屋はあんたたちの作ったものが売れりゃ儲かるからいいけれど、ウツセミ全体としては2つある氏族のうちの1つが機能不全になっているんだから大迷惑さ」


 茜は同席していた富士見氏族のウツセミで現在最長老の染色家をしているわたるに千歳の族長としての自覚のなさを諫言するように訴えるが、恒は富士見氏族の性癖を口実にして彼女の願いを却下する。族長だけでなく富士見氏族は全体としてウツセミの社会を円滑に回す政治的な興味の薄いことを茜は嘆かわしそうな顔で天を仰いだ。


「茜さんの言う通りっすよ、あのひとがちゃんと富士見氏族を纏めてくれなきゃ俺だって余計な仕事が増えるかもしれないんすから」


 会合の出席者が囲うテーブルの末席に座っていた、ウツセミの天敵にして守護者であるウワバミの役目を務めている人間の来栖が茜の発言に同意を示した。先日件の他所からやってきた吸血鬼と交戦し、彼は剣気という生体エネルギーを武器にする能力を用いてその吸血鬼を退治していた。


「ところで託人たくと、君が滅ぼしたウツセミは名前や出身地について何か言っていたかな?」


「いえ、遭遇してすぐに戦いになっちまったからそんな悠長な話をしてる暇はなかったっすよ。ただ死に際にヘースケとかいう奴への恨み言を口にしてましたけど」


平輔へいすけだって?!」


 源司は先日始末した吸血鬼の出身などについての情報がないかと来栖に訊ねるが、襲われていた下宿先の娘である葵を助けるのに気がいってしまっていて、自分の倒した吸血鬼が義仲という名前であることも来栖は知らなかった。


 自分が退治した吸血鬼に関して言えることは、吸血鬼が臨終の際に呪詛を叫んだ相手の名前くらいだと来栖が答えると、その名を大声で復唱した源司だけでなく周りにいた他のウツセミたちの顔にも戦慄が走る。


「どうしたんすか源司さん、その平輔って奴を知ってるんすか?」


「源司、左腕を斬り飛ばされた状態であいつが生きていると思うか?」


 来栖は義仲の断末魔に名前の出てきた人物に源司が心当たりがあるのかと訊ねると、彼が来栖の問いに応じるよりも先に忠将が他の質問をしてくる。質問をした忠将もそれを受けた源司も、その端正な顔に恐怖の色が浮かんでいることを来栖の目にも察しられた。


「普通に考えればありえない。銀の刃である魔剣で斬られた傷口からは絶えず妖気が漏出し続けるんだ、いくらあのひとが莫大な妖気を持っていても無事でいられるはずがない」


「いくらあいつが俺たちは元より、族長を務めるお前も凌ぐ妖気を持っていたからって、10年も生き延びられるはずがない。その前に妖気が底をついて存在を維持できなくなるか、精気の餓えで悶え死ぬかのどちらかだろう」


「そのヘースケって奴、もしかして10年前に紫水小路から追放されて外で紅子さんを襲ったウツセミじゃないっすか?」


 来栖は源司と忠将の会話を聞いているうちにその平輔というウツセミは、以前祖父である先代のウワバミから話を聞かされた反逆者として紫水小路を追われたもののことではないかと思い始めて、その真偽を確かめることにする。


「その通りさ。しかし何故そのことを知っている、護通もりみちから聞いたのかい?」


「はい。まことがウツセミになった直後、あいつがウツセミとの因縁を持つようになった紅子さんの転化の件で何か知っているかを聞きに行った時に教えられました」


 源司は平輔がかつて反乱を起こしたことを何故来栖が知っているのかと意外そうな顔で聞き返すと、来栖は下宿先の娘とその母親にまつわる件で祖父の下を訊ねた時に関連する事情として伝えられたことを明かす。


「源司さん、平輔って奴は敵に回すとそんなにやばいんですか?」


 来栖が平輔の実力が族長の源司にとっても脅威になるものかと訊ねると、源司は無言でその問いに首肯する。


「でもウワバミの俺と源司さんや忠将さんたちが協力すれば問題ないっすよね?」


「そうとは言い切れないくらいあのひとの力は底知れない…少なくとも10年前は中堅のウツセミでは束になっても敵わなかったし、オレがあのひとに手傷を負わせられたのも不意打ちが上手くいったからだ。正面から挑めば多分オレも返り討ちにされていた」


「源司さんが……?」


 この場に同席している忠将や茜、それに先日葬った義仲の蝕もウツセミの中でもかなり大きかったが、源司は彼らの比ではないくらい巨大な蝕をしていた。それは源司のウツセミとしての能力が忠将たちと比べても抜きん出ていることの証である。その源司が太刀打ちできないほど強力なウツセミがいると、来栖はにわかには信じられなかった。


「託人、地震や洪水をどうにもできないのと同じであのひとを打ち負かそうなんて考えが馬鹿げているんだ。オレたちに出来るのは、あの人が紫水小路に復讐しに来ないように祈ることだけだよ……」


 平輔が全盛期の能力を保っているのなら、それを前にしては天災と同じようになす術もなく通り過ぎるのを待つしかないのだと源司は来栖に言い聞かせる。来栖は源司の弱気な発言を聞くのは初めてであったし、彼が酷く怯えた様子など想像したこともなかった。


 来栖は源司の話を聞いて、中堅のウツセミ相手にも劣勢を強いられた自分が族長すら凌駕する力を持つ平輔と戦うことになった場合、平輔を仕留められる自信が持てなかった。しかし仮に平輔が紫水小路に住むウツセミと御門市に住む人間に牙を剥いたならば、来栖はウワバミとしての責務でその暴挙を鎮圧しなければならなかった。


 祖父からウワバミの任を継承して多くの苦難を乗り越えてきたつもりだったが、平輔と戦うことを思えばそれらが児戯に等しいように来栖は感じる。じっとりと汗の滲んだ掌を握り締めた来栖の拳は、未知の脅威に対する恐れで震えていた。


* * *


 来栖や源司たちが過去に討伐して紫水小路から放逐したはずの強力なウツセミ平輔が襲来してくる懸念を募らせていた頃、丹は彼らが談合をしている源司の屋敷の前にやってきていた。


 義仲が御門市内で人間を襲った事件に関しての協議に丹が所属している紫水小路全体の庶務を執行している部署政所の責任者である朱美も出席するはずだったが、日頃職務に不精な朱美の行いが災いして溜まった仕事を処理しなくなれなければならなくなり、会議に参加する余裕は全くなかった。


 そこで丹は会議の内容を出席者に教えてもらい、朱美に報告する役割を申し付けられ、会議の議場となっている源司の屋敷を訪れたのだった。丹が屋敷の門を開こうとすると、内側から門が開放されて屋敷から出てくるものがいた。


「こんにちは千歳さん」


「あなた、丹という名前だったわね。こんな辛気臭い場所に何の用?」


 丹は従者が開けて支えている門から出てきた麗人、富士見氏族の族長千歳に敬意を表して会釈をする。以前ウツセミたちが愛飲している嗜好品のチンタを醸造する酒蔵の前で出会った丹のことを思い出しながら、千歳は彼女が会合の議場を訪ねた理由を問う。


「政所様の使いとして会議で話された内容の確認に来ました。あの、千歳さんがお帰りになられるということは会議はもう終わっているんですよね?」


「さあ知らないわ、つまらないから途中で抜けてきちゃった」


 丹の問いに対して、千歳は会議に飽きたので途中退席したからその後のことは分からないと素っ気無い返事をする。丹は重要な話し合いを気乗りしないから退席したという千歳の奔放に絶句した。


「お嬢様、このひとが例の烙印を刻んで現世で暮らしている子ですか?」


「ええそうよ、この子が現世でどんな暮らしをしているか興味がありそうね悠久はるひさ?」


「はい、不老不死になる代わりに太陽の下にいられなくなるはずのウツセミが、人間と同じように昼間も生活できるなんてとても興味深いです」


 千歳が門の外に出ると、開かれた扉を支えていた悠久と呼ばれた少年が閉門しつつ丹に目を向けてくる。成長途上の中性的な繊細な容姿をした悠久と丹の目が合うと、彼は利発そうな顔に愛嬌のある笑みを浮かべた。絶世の美女と言っても強ち誇張ではない千歳の従者に相応しい美少年の悠久に微笑みかけられて不覚にも丹の胸はときめいてしまう。


「私は独りで帰っても構わないから、その子に直接話を聞かせてもらったらどう?」


「それじゃお言葉に甘えさせてもらいますお嬢様、お気遣いありがとうございます」


「あなたは普段よく働いてくれているからね、そのご褒美よ」


 千歳は従者の悠久に寛容な姿勢を見せると、彼も遠慮なく主の好意に甘えることにする。千歳は氷の彫像のような美貌に優しげな笑みを浮かべると、悠久を残して独りで富士見氏族の領地に向かって歩き出していった。


「初めまして僕は悠久、千歳お嬢様にお仕えしているウツセミだよ」


「霧島丹です、よろしくお願いします」


 酒蔵で出会った時に千歳が連れていた永遠とわという少女は召人めしうどと呼ばれる人間の奴隷だったが、悠久は千歳や丹と同じくウツセミであった。ウツセミの年齢を推測するのに見かけの年齢はあまりあてにならないことを丹も分かっているので、一応丹は年下に見える悠久にも丁寧な言葉遣いで接する。


「そんな風に身構えなくてもいいよ、友達同士みたいに気楽に話そう?」


「分かった、悠久くんがそれでいいなら」


「ねえ、できれば君のことを丹って呼び捨てにしてもいいかな?」


「別に、構わないけど……」


 本当は初対面の相手から名前で呼び捨てにされることに抵抗感があったが、悠久の屈託のない笑顔にほだされて丹はついそれを承認してしまう。


「丹はさ、どうして烙印を背中に刻んでまで現世に戻ろうとしたの?」


「どうしてって…友達や家族と離れ離れになるのが嫌だったからに決まってるじゃない。悠久くんもウツセミになった時、仲のよかった人と別れなきゃならなかったのは辛かったでしょう?」


「いいや、僕は辛くなかった」


 悠久は本来重罪を犯したウツセミへの刑罰として科される、背中に吸血鬼の体に有害な銀の刃で十字の傷を刻む烙印を何故丹が受け、ウツセミとしての能力を減衰させる代わりに日光への耐性を身につけて人間だった時の暮らしを取り戻そうとしたのか訊ねる。


丹は悠久も自分と同じような気持ちになったはずだと労わりの目を彼に向けるが、悠久は丹の問いかけに対して首を横に振る。


「なんで、紫水小路にいる限り現世にいる大切だった人と二度と会えないんだよ?」


「だって人間だった時、そんな風に思える奴なんか1人もいなかったもの。むしろ居心地の悪い人間の世界から離れられてせいせいとしたさ」


「そんな……」


 丹は悠久が本心からそんなことを言っているのではないと信じたかったが、悠久は変わらず爽やかな表情をしており、嘘を言っているようには思えない。ウツセミになって人間だった時のつながりを断てたことを喜ぶ悠久の姿を見ると、丹は余計に悲しい気持ちになった。


「現世へのこだわりなんかよりもさ、どうやって烙印を刻まれたのに君が普通に生活できているのかを教えてよ?」


「詳しいことは分からないけど、傷口を剣気でクーくんに塞いでもらって妖気の流失を止めてもらったからだよ」


「クーくんってもしかしてウワバミのこと、あんな大物とよく知り合いになれたね?」


「特別なことはしてないよ、クーくんとは学校のクラスメイトだからそれで」


「先にウツセミになった産みの母親に転化させられただけでも珍しいのに、僕らの天敵にして守護者のウワバミとクラスメイトで、しかもその縁で烙印の傷を塞いでもらい現世で生活している。丹、君は随分面白い偶然が重なる人だね」


 悠久は彼が人間だった時のことを訊かれるのが面白くない様子で、ウツセミにとって致命的な銀の刃で刻まれた傷を負いながら丹が平然としている理由を訊ねてきた。丹が質問に答えると、悠久はしたり顔で何度も細い顎を縦に揺らして頷く。


「ねえ丹、こうして知り合ったのも何かの巡り合わせだと思うし、花街でチンタでも飲みながら親睦を深めない?」


「悠久くん、誘ってくれて悪いんだけどわたしは政所の仕事でここに来たの。途中でサボる訳にはいかないわ」


 悠久は丹を人間だけでなくウツセミの遊び場もある花街に繰り出そうと誘うが、丹は生真面目に仕事を抜け出すわけにはいかないとそれを断った。


「ただくだらない話し合いの内容を聞くだけのことだろう、そんなの後回しにしたって大丈夫じゃないか?」


「あんまり紫水小路に長居していると妹が心配するから早目に仕事を終わらせて家に帰らなくちゃいけないの、ごめんね」


 悠久は丹の手を取って急がなくても済ませられる用事だと彼女に言い聞かせる。だが丹は帰宅が遅くなると現世で同居している人間の妹が騒ぎ出してしまうと言って、彼の手をやさしく振り払った。


「君は基本的には現世で生活していることをうっかり忘れていたよ。人間に紛れて生活しているんだから、取り繕わなければならない体面もいろいろあるよね」


「ごめんね悠久くん、一緒に食事をするのはまた今度ね」


「うん、それじゃ」


 丹がすまなそうな顔で侘びてくると、悠久は愛想笑いを彼女に返す。丹も悠久に微笑み返すと源司の屋敷の門を潜って敷地の中へと入っていく。


「また今度って言うからには嫌われた訳ではないみたいだね。霧島丹、実に面白い子だよ」


 悠久は独り言を呟いて丹が消えていった門を見上げる。悠久は中性的で愛らしい顔にいたずらっこのような笑みを浮かべると、身を翻して源司の屋敷を後にした。


* * *


 夜明け前、鉄道の高架橋と並行して敷かれている生活道路を来栖と丹は並んで歩いている。


来栖はウツセミの有力者に義仲と交戦した件の報告を終えた後、その話し合いの内容を聞きに来た丹に付き添って政所に立ち寄ると、彼女と一緒に紫水小路を出た。現在来栖が丹の自宅に居候していることは政所に勤める彼女の母親の紅子も政所の長である朱美も知っていたので、丹を待っている来栖に特別気を止めなかった。


「クーくん、やっぱりわたしはウツセミとして変わっているのかな?」


「ああ、世界中捜しても早起きして家事を済ませてから学校に通っているウツセミなんてお前くらいしかいないだろうな」


「そうだよね、普通吸血鬼のライフスタイルは人間と昼夜逆転しているし」


「いきなりそんなこと聞いてくるなんてどうした?」


 突然丹が彼女のウツセミとしての在り方をどう思っているか訊ねてくると、来栖は彼女が特異な存在であると即答する。丹自身も人間と同じような生活スタイルをしている自分が変わり者だと自覚しているようだったが、来栖は彼女が何故そのような質問をしてきたのかと理由を問う。


「源司さんの屋敷の前でね、富士見氏族のウツセミと会って話をしたの」


「富士見のウツセミって、あのきまぐれで自己中心的なお嬢様のことか?」


「ううん、千歳さんに付き添っていた悠久っていう中学生くらいの外見をしたひと」


「ハルヒサ? 聞いたことねぇ名前だな、それでそいつと何を話したんだよ」


 代永と富士見の両氏族の有力者とはほぼ全員面識が来栖はあったので、名前に聞き覚えのない悠久は若手のウツセミだろうと推測する。丹が会話をした相手が注意すべきものではないと知ると、来栖はあまり関心がなさそうに会話の内容を問う。


「わたしが現世でどんな生活をしているのかとか、烙印を刻まれたのにどうして平気な顔をしていられるのかとか、あと人間じゃなくなって悲しくないのかってことを話したよ」


「お前は人間だった時の生活に未練があったから烙印を負ってまで現世に戻ったけど、そのハルヒサってのもお前と同じように現世に未練があったのか?」


「悠久くんは全然未練なんか持っていないって、むしろウツセミになっていい気分だって言ってた」


 丹は悠久が人間でなくなったことに喪失感を覚えるどころか、柵からの解放感を覚えていると言ったことを思い出して顔を曇らせる。


ウツセミになって現世に戻れないと知った時、他のウツセミがどう思ったのかをあまり聞いたことはなかったが、少なくとも丹や彼女の母親紅子はその事でかなり傷心した。悠久の気持ちが理解できないというのが正直な丹の感想だった。


「紅子さんが急にいなくなった悲しみは大きかったろうけど、基本的にお前はおっかないけど娘を大事にする親父さんと生意気だけど正直な妹に囲まれた幸せな家庭で暮らしていたから現世のことを恋しく思ったんだろうな。でもウツセミの中には人間だった時はそれこそ生きているのが嫌になるような辛い目に遭ってきた奴だって少なくないんだぜ?」


「そうなんだ、でも人間じゃなくなってせいせいしたって言うのは……」


 ウツセミの誰もが丹のように人間だった時に幸せな日々を過ごしていた訳ではないと聞かされ、仮に悠久が人間だった時に酷い目に遭っていたとしても、それでも頭ごなしに人間だった時間を否定するような悠久の発言を丹は認められなかった。


「そのハルヒサって奴がウツセミとしての自分を受け入れられてるんならそれでいいじゃねぇか、必要以上にお前が気に病むことはねぇよ」


 忸怩としない思いを胸に抱えていた丹に過剰に思いつめるなと諭すように来栖が大きな手で軽く丹の肩を叩くと、彼の些細な気遣いで丹は気が晴れたような気がした。


「悠久くんはウツセミの自分をちゃんと認めて暮らしているみたいだし、わたしが自分の意見を押し付けるのはよくないよね」


「…ところで丹、そのハルヒサってのはどんな奴なんだ?」


「見た目はさっきも話した通り、わたしたちよりも一つか二つ下かな。ほっそりとした体つきをした女の子みたいに優しい顔をしたひとだよ」


 人間でなくなったことを嘆いた自分の感覚を強要することが必ずしも正しいことではないと丹が考えを改め直すと、来栖は視線を脇に泳がせて関心がなさそうに振舞いながら悠久の風体を丹に訊ねる。


 丹は急に来栖が悠久に関心を示したことを疑問に感じつつ、長身で頑健な体躯に彫りの深い強面をした来栖とは対照的な、悠久の繊細で優美な容貌の説明をした。


「随分そいつのことを気にかけていたけど、もしかして丹はそういうなよなよした男が好みなのか?」


「…好みって訳じゃないけど、すごく綺麗な顔をして男の子だと思うよ。女の子の服を着せればわたしよりも可愛いかもしれない」


 来栖は丹から顔を背けたまま悠久が彼女の異性の好みのタイプなのかと訊ねると、恋愛関係の話題に免疫の薄い丹は恥ずかしそうに俯く。丹は小声で悠久の容姿が特別好みではないが、彼の美しさを賞賛する。


「そんなことあるか!」


 来栖はまだ夢うつつの周囲の住民たちの目を覚ますような大声で、女装した悠久が丹よりも女性らしいという丹の発言を否定する。


「どうしたのクーくん、そんなに大きな声を出して?」


「別に…ハルヒサってのがどんなに女みてぇな顔をしてても、女のあんたよりも可愛いってことはないだろうと思っただけだ」


「そういってもらうのは悪い気しないけどあんな声で言わなくてもいいのに。それにねクーくん、悠久くんは本当に男の子にしては勿体ないくらい可愛い顔をしているんだよ。わたしもあんな風に柔らかい顔付きだったらよかったのになぁ……」


「あ、あんたは今のままで充分可愛いし魅力的だ!」


 丹は女の自分よりも可愛らしい振る舞いの出来る悠久を羨ましがると、来栖は再び大声を出して丹の容姿を褒め称える。来栖からそんなことを言われるのは初めてだったし、他人から自分の容姿を褒められたことはほとんどないので、丹はびっくりした顔で彼に目を向けるが、すぐに赤面して顔を逸らす。


「お世辞はいいよ。自分でもお洒落に気を使っていないのは分かっているし、性格だって愛想がなくて鈍臭いし」


「どうしていつもそうやって自分を卑下する、自分のことを見くびるのは斎さんや紅子さんにも失礼だぞ?」


「クーくん……」


 丹は自分の容貌や性格に負い目を感じて卑屈な態度をするが、来栖は彼女が自分のことを貶すことで産みの親を侮辱していることにもなるのだと諭す。珍しく来栖が励ましてくるのを聞くと、丹は潤んだ瞳で彼のことを見上げた。来栖は口をへの字に曲げている仏頂面を和らげて、丹に優しげな視線を向けた。


「ちょっと2人とも、朝帰りだけじゃなくて家の前でもノロけるなんて少しは人目を憚りなさいよ!」


「葵?!」


 いつの間にか丹の家の前までやってきた来栖と丹は、家の門の内側で仁王立ちをした人物の甲高い声に仰天する。丹に名前を呼ばれた彼女の妹で中学生の葵は、目の下に隈を浮かばせて異様な雰囲気を漂わせながら姉と来栖に目を向けてきた。


「よう葵、今朝はやけに早起きじゃねぇか?」


「姉さんを朝まで連れ回したのが都合が悪いからって、言い逃れをしようとするのは男らしくないんじゃないかしらクーくん?」


「言い逃れなんてしねえよ、ちゃんと斎さんの許可をもらって出かけてんだから」


 葵は狡猾そうに口の端を吊り上げるが、来栖は鬱陶しそうな顔で彼女を一瞥すると、門の前に立つ葵を押し退けて家の中に入ろうとする。


「あの堅物の父さんが姉さんが男と一晩中遊び回るのを認めるなんて絶対おかしいわ、あんた父さんの弱味でも握っているの?」


「お前らの親父さんは高校生に弱味を握られるような脇の甘い人じゃねぇだろ? 朝っぱらからつまらねぇ言いがかりつけてくるんじゃねぇよ」


「葵、わたしとクーくんはずっと一緒に遊んでいた訳じゃないよ。たまたま帰りが一緒になっただけで、それまでは別々だったんだから」


「じゃあ昨日の夜どこで何をしてたか答えなさいよ。納得出来る理由を教えてくれないんだから、アタシが邪推をするのは無理もないじゃない?」


「それは……」


 厳格で実直な父親が、娘が男と夜通し遊ぶことを認めるはずがないと葵は主張するものの、来栖と丹は彼女の訴えを聞き流して昨晩の出来事に関してお茶を濁そうとする。しかし葵は何度もその質問をはぐらかされていることで鬱積を募らせており、年上の2人にも強気で接して簡単に引き下がらない。強健的な妹の姿勢に丹は気圧されてしまう。


「答えられないってことはまともな理由で夜歩きしていた訳じゃないってことでしょう。大方母さんが急に家に戻ってきたことに何か関係していることが理由なんでしょうけど、姉さんと父さんをどうやって誑かしている白状しなさい来栖託人!」


 丹を言い負かした勢いに乗って、今度は来栖を葵は問責する。自分の聡明さに感服したかと得意気な顔で葵は来栖を見つめていたが、その横っ面に平手打ちが飛んできて小気味いい音が暁の街にこだました。


「クーくんがわたしたちを脅迫するような人じゃないことは葵にも分かっているでしょう、それなのにどうしてクーくんを悪者扱いするの? クーくんに謝りなさい」


 丹に頬を打たれたことを信じられなそうな顔を葵は浮かべて姉に視線を向けるが、丹は厳しい顔で来栖を侮辱したことを謝罪するように妹に言い渡す。


「…ろくでもない男を家に連れ込んだと思ったらそいつにべったり依存しちゃってさ。おまけに家族の心配をした妹のことをはたくような人が、家族はいつも仲良くなんていうなんて笑わせないでよ!」


 葵は打たれた頬に手を当てて、理不尽に思える仕打ちを受けたことに激昂する。頬に平手打ちを見舞われた痛みよりも、これまでどれだけ生意気な口を聞いたり我儘を言ったりしても手をあげることのなかった姉が自分を叩いたことのショックが大きく、丹に裏切られたような気がして葵の目に涙が込み上げてきた。


「葵、何も知らないくせに分かったようなことを言わないで」


「…そっちが隠しているんだからアタシに分かる訳ないでしょう。姉さんのことを見損なったわ、心も体もあいつに弄ばれてボロボロになっちゃえばいいよ!」


 葵が八つ当たりしてくると丹は低い声音で毅然とした態度で、怒りで見境をなくしている妹に接するが、葵は澄ました姉の態度を見て余計に腹が立ち、その苛立ちを姉の体を突き飛ばすことで発散する。


 不意を突かれた丹は体の均衡を失って大きくよろけて背中から転倒する。運の悪いことに丹は葵に突き飛ばされた先は道路と家の敷地の段差になっていて、丹はバランスを崩したまま勢いよく地面に倒れこむ。


「姉さん?!」


 丹が満足に受身も取れずに路上に転び頭を強打したのを見て葵は我に返ると、路上に倒れ伏している姉の所に駆け寄る。


「…大丈夫、なんともないわ」


「でも姉さん、ほっぺすりむいている、よ……?!」


 葵が心配そうな声を発して駆け寄ってくると、丹はすぐに状態を起こして無事なことを訴える。頭を打ったものの丹の意識がはっきりしていることに葵は安心するが、姉の滑らかな頬に擦り傷が出来ているのを見ると今度は罪悪感を覚える。


 しかし丹の頬の傷が急速に薄れていき、しばらくするとそれが幻のように消え失せてしまったことを目の当たりにして、葵はその異様な光景にあっと息を呑む。


「そんなに心配しないで葵、もう大丈夫だから」


「触らないで!」


 幽霊でも見たように顔を真っ青にしている妹を落ち着かせようと丹は手を伸ばすが、葵は自分に伸びてきた姉の手を払い除けると後ろに飛び退いて距離を取る。


「葵……?!」


「アンタ、本当にアタシの姉さん?」


「何を言っているの、正真正銘わたしは葵の……」


「ウソよ、アンタが姉さんなら顔の傷がそんなに早く治るはずないじゃない!」


 葵が自分を化け物を見るような顔でそう叫んだのを聞いて、丹は知られたくない事実に気付かれてしまった動揺を露にし、反射的に傷が瞬く間に治癒した頬に手を伸ばす。


「葵、落ち着いて話を聞いて」


「イヤッ、姉さんのフリした化け物のくせに馴れ馴れしい口を利かないで!」


「葵、わたしは本物の霧島丹だよ。確かに体は人間じゃなくて吸血鬼になっちゃっているけれど、心は人間だった時と変わらないままだよ」


 葵はおぞましいものを見るような目でじりじりと後退していく。妹に忌避感を露にされて丹は非常に取り乱してしまい、つい自分が吸血鬼になってしまったことを彼女に明かしてしまう。


 丹が吸血鬼になってしまったと聞いた葵も、隠し通してきた事実を口走ってしまった丹自身も内心に大きな衝撃を受けたようで、互いに皿のように目を丸くして視線を交錯させたまま二の句が継げない状態になってしまった。


「そんなことがある訳ないわ、だって姉さんは昼間普通に学校に通っているじゃない?」


「わたしは陽の光にもある程度耐えられる体質なの、だから人間だった時と同じように暮らせたんだけど……」


「吸血鬼に成り下がったくせに家に戻ってきた理由は何、アタシや父さんも怪物にするつもりだったの?」


「違うよ、わたしはただ今まで通りみんなと一緒に暮らしたかっただけ。それに自分が吸血鬼になったからこそ、葵や父さんには吸血鬼になってほしくない」


 常識で考えれば姉が吸血鬼になったという自白など冗談にしか思えないだろうが、人間離れした回復力を見せ付けられてはその話に丹は信憑性を感じてしまう。吸血鬼と化した姉が家族の前に戻ってきた理由を自分たちも仲間に引き込むつもりだと葵は推測するが、丹は首を横に振ってその考えを否定する。そして自分が吸血鬼になって人間でなくなった喪失感を抱えているからこそ、家族には人間のままでいてほしいと訴えた。


「じゃあクーくんは何なのよ、まさかあいつが姉さんを吸血鬼に……」


「それは違うぜ葵、むしろ俺が丹の餌みたいなもんだ」


 霧島姉妹の会話に来栖は割り込んで、葵が思い違いをしている自分と丹の関係を訂正した。


「なんでよりにもよってアンタみたいな奴を姉さんは餌にしたのよ? こんな粗暴な奴じゃなくてもっと優しそうなイケメンなんていくらでもいるじゃない」


「クーくんに出会わなかったら、わたしはこうして葵たちの所に戻ってこれなかった。他の人から血をもらうことなんて考えられないわ」


「何もクーくんに拘る必要はないでしょう、血を飲ませてくれる人間がいればいいんだろうから。何で姉さんはそんなにこいつに入れ込む訳?」


「さっき言った通りだよ。クーくんがいなければ、クーくんに妖気が漏れ出す傷口を塞いでもらわなかったらわたしはこの家に帰れなかった。だからクーくんはわたしにとって恩人なの」


 丹は地面から起き上がると真っ直ぐに葵の顔を見つめる。吸血鬼になってしまったと判明した姉が、人間だった時と全く同じ曇りのない瞳で自分を見据えてくるのを見て、姉の内面はその身が魔性の存在になっても変わっていないと葵は感じる。


「…つまりクーくんが余計なことをしたせいで、化け物になった姉さんが家に戻ってきちゃった訳ね」


「おい葵、丹に向かってそんな言い方はないだろう?」


「うるさいわね、身内が吸血鬼になったのを聞かされて喜ぶ奴なんかいないわよ! アンタがお節介を焼かなきゃ、アタシはこんなことを知らずに済んだのに!」


 丹が人間だった時と変わらぬ人格を保って自宅に帰ってきたと分かったのに、葵の口からこぼれてきたのは本心とは逆の言葉だった。どうしてそんな暴言を吐いてしまったのだろうと葵は自分の失言を悔やむが、部外者のくせに来栖が身内のような口を利いたのを受けて、彼と自分に秘密を明かしてくれなかった姉への逆恨みの気持ちが強まってしまう。


 葵が来栖と丹に言い放ったことの全ては嘘ではなかったが、本当に彼らに伝えたい気持ちはそんなものではなかった。だが自分の軽率な一言が来栖と姉の心を傷つけ、彼らとの間に埋められない軋轢が生じてしまったと葵は感じると、身を翻して罪の意識から逃れるように走り出す。


「葵待って!」


 脱兎の如く駆け出した妹を丹は呼び止めて、彼女を追いかけようとするが数歩走ったところで足がもつれてしまい再び転びそうになる。頬の負傷を直したことで多くの妖気を使ってしまい、丹の体に激しい運動ができるだけの妖気が残っていないためだった。


「大丈夫か丹」


 家の敷地から表に駆け出してきた来栖は大きく傾いだ丹の体を抱き留めて支える。


「クーくん、わたしよりも葵のことをお願い」


「…わかった、丹は家で待機してろ」


 できれば喪失した精気を彼の血液を摂取することで補充したかったが、それよりも受け容れがたい事実を知らされて狼狽している妹の身を案じて、丹は来栖に妹の捜索を頼む。来栖は丹に真正面から見つめられると力強く頷き返し、通りの角を左折した葵の背中を追って走り出した。


「…やっぱりわたしの感情をみんなに押し付けてただけなのかな、吸血鬼になったわたしなんか家にいないほうが葵のためだったのかもしれない」


 丹は自宅の敷地の周囲を囲むフェンスにもたれかかりながら、悠久に対してそうだったように、吸血鬼になってしまった自分でも同居していた方が妹のためと思い込んで、自分のエゴを押し通そうとしただけかもしれないと自嘲する。


「ウツセミはウワバミとの間で決められたルール通り、おとなしく紫水小路に閉じこもっているべきだったんだよね。それなのに我儘を言って人間の中に溶け込もうとしたから、こんなことになっちゃったんだ……」


 項垂れた丹の頬に堰を切って溢れ出た涙が一筋伝っていく。転んだ拍子についた傷は一瞬で消えたのに、乾いた涙の跡はくっきりと残っているのが丹にとって残酷なほど皮肉なことだった。



第5回、馴れ合いの黄昏 了


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