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最後の魔術師  作者: 柘榴


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プロローグ 始まりの独白

初投稿作品です。長くなりそうです。

世界は暗かったと思う。

思うだけで、確かめようはない。

身体はない。重さもない。


いつからなのかは分からない。

ただ、ただ、意識だけが漂っている。

考えようとすると、考えていたことを忘れる。

もう思い出せないことの方が多い。

何を思い出そうとしていたのかさえ曖昧だ。


気づけば暗闇に光が生まれていた。

もう見飽きた景色が何度も何度も繰り返される。

小さな光は広がり、静かに世界を形作っていく。


きっと最初は違った。

新しい世界が生まれるたび、何かを感じていた。

期待したこともあった気がする。


ただひたすら始まりと終わりを繰り返す。

何度目の世界なのか、数えたこともある。

どれだけ数えても意味がなかった。

いつからか数えるのをやめた。


誰かに呼ばれた名前もあった気がする。

それすらどうであったか思い出せない。

……別に、思い出さなくても困らない。何も。困らない。

それでも、不思議なもので時折胸の奥が痛む。

胸なんてもうないのに、誰かがここにいた気がする。


大切だった誰か。

顔も、声も、名前も思い出せない。

どこかで、誰かが笑った気がした。

でもそう思った途端、その笑顔は思い出せなくなる。


「会いたい」


それだけをふと思い出す。

お前は誰だ。何処にいるんだ。

もう分からない。分からない。

もういいか…とも思った。


それでも、もし、もう一度だけ会えるなら。

今度こそ愛してると伝えたい。


やがて、また暗闇が広がり、小さな光が生まれる。

また始まる。そう思った。


新しい宇宙は、静かに生まれていく。


私は、それをただ眺めていた。

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