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『自分』を武器にして  作者: 帰村 典
条約破棄編
9/9

対峙した時には勝負は決まっている。

見えない襲撃の翌日。


「貴様がアトルの新国王か?」

「えぇ、そうです。」


カトラス王国の国王であるレイヒンはアトルに来ていた。

理由は資源供給停止についてと連合の説明を求めて。

その心中は穏やかでは無い。

だがそれを悟られればこちらが敗北する、そう思い威厳のある振る舞いの元で言葉を放った。


「率直に聞く、貴様は我がカトラス王国を裏切るのか?」

「いいえ。

既にご存知かと思いますが我々アトル、及びに連合に所属する8つの国は法律国家を通じて条約が違法であると通告しております。

そして法律国家はそれを認め、条約は既に破棄されました。」

「んな事聞いてねぇんだよ。

俺様が聞きてぇのは、戦争すんのかよって話だ。」

「戦争、ですか。

そんなものが出来れば良いですね、貴方に。」

「何?」


真顔で誠実な対応をし続けた斥時の顔に笑みが浮かび始める。

本能か、レイヒンは警戒感を強める。

ボロボロのアトルの城で斥時が魅せる。


「レイヒン、今の貴方には何も残っていない。

ただありもしない権威と力を空振る愚かな王、独りよがりの王だ。

失礼、それは前からでしたね。」

「それは苦し紛れの挑発か?」

「分からないか?なら教えてやるよ。

現在、アトル以外の国はカトラス王国を囲んでいる。

そして肝心のカトラス王国ではあら不思議、戦いの火蓋が。」

「おい異界人、忘れたか?戦争は事前審査が必要だ。俺含めそんな通告はカトラスに来ていない!

そんな事すら忘れたのか!」

「勿論知っているさ。

しかし同じ国の中であれば適応外だろ?」

「…何?」


斥時が話した内容に偽りは無い。

レイヒンとの会談を開いている今現在、裏では斥時の仕掛けた時限爆弾が作動していた。


「国王様!」

「どうかしたか?」


会談の中を割って入る声が響く。

名も知らぬアトルの兵士が大声で、高らかに報告する。


「カトラス王国で内乱!現在、軍団長率いる反乱軍が王城に敵を追い込んでいる模様!

さらに反乱軍は我ら連合軍に対して援護を求めてきています!」

「そうか。

ならアトルを除く連合全ての国に出撃命令だ。

内乱への介入は事前の通告は不要だ、思いっきりやって来いと伝えろ。」

「はっ!」


レイヒンの顔から滝のような汗が流れ、青ざめていく。

流石の暴君にも現状が理解出来たのか震えた声で言う。


「嘘だ…これは罠だ…」

「信じるかどうかは自由だ。

だがこれで俺らはお前をこの場で殺す事が出来る。

いくら頭のキレる暴君でも200人の兵士相手に生き残れるかな?」


ここから語られるのは残酷な現実だ。

レイヒンは連れていた護衛と自身の力を振るおうとするも、アトルの兵士達に為す術もなく敗北し、全員が死亡した。

残されたカトラス王国も連合国の兵士が到着し、反乱軍が勝利を収めた。


アトル連合王国はカトラス王国に対して新国王の選定を命じ、軍団長が選ばれると新生カトラス王国はアトル連合国家への参加を表明した。

合計10ヶ国が参加したアトル連合国家は国家力が大幅に向上、順位を98位まで押し上げて見せた。

この1件を機にアトルに現れた軍師、草薙斥時の名前は世界中へと轟いた。


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