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『自分』を武器にして  作者: 帰村 典
条約破棄編
5/9

演説と宣戦布告

早朝朝日が差す中俺は城の前に立っていた。

この町は中世より前の文明国家、地球よ早朝が普通の朝である。

国民の目には絶望か疑いしか無い。

それもそうだ。

散々国の権力者に裏切られて来て、再び現れた権力者などトラウマの再来でしかない。

それでは困るのだ。


「この国はかつて農業、漁業、林業によって栄えた国でした。

品質、量、共に貿易相手の国からの評判はとても良かった。

山脈で出来た天然の要塞は他国の侵攻を妨害し、その先に構える屈強な国民たちが超えて来た敵も返り討ちにしたと聞きます。

資源、戦闘でも優秀な数値を出し130近くある国家順位の中でアトルは80位台まで上り詰めた。

事態が急変したのは今は亡き国王の一族の血が途切れ、民衆の中から王が選ばれる様になってから。

それまでの王は民のために働きましたが、民衆の中の王は自分の利益を重視し始めた。

結果不況に陥り、最終的には前の王でトドメを刺されるように不条理な条約が結ばれアトルは搾取される側へと回り、最下位の位置が確定した。


これが俺の聞いたアトルと言う国です。」


現実を見よ国民。

立ち上がるには現実を見て、反省をし、後悔はせずに次へ進むのだ。


「しかし俺から言わせればそんな程度の話、生きていれば良く程度のものだ。」


その言葉聞いて、国民の目が変わる。

青年大臣の時もだがこの国の民はまだ悔しさを忘れていはいない。

ただ搾取されるを良しとせずいつか機会がく来れば相手の喉元を食い破らんとする強い目。

人の意思は、感情は世界を動かす。

それを今から証明する。


「何だお前ら、その目は!俺に向かってそんな目を向けた所で現状は変わらん!

そんなに悔しいなら戦え!奪い返して、相手の物すら奪え!

何故そうしない!

それともアトルの言う国はかつての栄華に思いを馳せる事しか出来ないのか!」


次第にざわめきが大きくなり下を向く者は1人もいない。

変わりに怒号と殺意に満ちた視線のみが場を支配する。

悔し涙を流し、声は割れ、全ての意識は俺に向いた。


「どうせ出来ない、相手は大国で順位も上、この国には戦える資源も兵もいない、そんな話はもう既に終わっている!

俺がこれから話すのは未来の話だ!過去など忘れてしまえ!」


ちゃんと聞こえている。

この国は馬鹿を見たが民が愚かでも、腐ってもいない。

示せ、方法を。

見せろ、未来を。


「良いかよく聞け!

この国はこれから変わる!

貧しさを忘れ困窮を脱却し、お前らは豊かさを知るだろう!

俺がこの国と一緒に生きて、そして死んでやる!

だからお前ら国民も命を賭けろ!

これからアトルと言う船は泥船になって沈没するか、或いは天国への航海になるかは俺とお前ら次第だ!

それともお前ら国民はこのまま死ぬ気か?どうなんだ!」


互いが互いを見る。

横に居るのはこれまで共に苦労を分けた国民同士。

その波は波及し、そして1つの答えを出し始めていた。


「ふざけるな。」

「ふざけるな!」

「ふざけるな!!!」

「「「ふざけるな!まだ負けてない!」」」


良かった。

これでこの国の再建が始められる。

第1歩が歩めた。


「それは船に乗る…つまりは俺に賭けるって事で良いのか?どうだ!」

「「「おぉー!!!」」」

「良し分かった!なら宣言してやる!

アトルの新国王である俺、草薙斥時(くさなぎせきじ)は理不尽な条約を締結してきたカトラス王国を撃滅し、この国の順位を1位にしてみせると!」

「「「おぉー!!!」」」


決起の朝。

国民は団結する。

さぁ、仕事が始まるぞ。

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