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暗闇の渦

都会の夜は冷たいネオンの光に包まれ、人々の罪と欲望を覆い隠していた。歓楽街の入り口には、制服姿の警備員が数人立っている。その中には刑事も混じっており、鋭い目で周囲を見回していた。


「最近、立ちんぼ多いですね。あんな事件が起きたのに。」


「未成年もチラホラ見かけるな。そろそろ周るか。」


「了解です!」


若手の警察官が勢いよく応じる。彼らの視線の先には、あどけない顔をした少女たちや、夜の街で生きる術を求める若者たちがいた。一昨日、この界隈で強姦事件が発生したばかりだった。被害者は、売春婦やパパ活目的の女性が集まる場所だと知らずに立ち寄り、勘違いした男に無理やり路地裏に連れ込まれたという。犯人は未だ捕まっていない。



車内の無線が沈黙を破る。


「マブチさん、今日も聞き込みですか?」


「ああ、なんたってこの辺りには話が聞けそうなバカが多いからな。」


刑事のマブチ巡査部長は苦笑しながら新人のキタニ巡査と覆面パトカーに乗り込む。車は犯人が逃走に使ったと推測される道をたどり始めた。


「ここ最近、未成年が多いんですよね。たしか…なんとかキッズって呼ばれるグループが。」


「声が大きい。周りに聞かれるぞ、キタニ。」


一方、街の片隅では、タダシと先輩のアヤが同じ事件を追っていた。二人は教団「真の会」の会員であり、その家族の一人が性被害に遭ったため、真相を追うため歓楽街に足を踏み入れていた。


「被害者のニシダちゃんって子の写真、送っといたよ。片っ端から聞いてみて。あんまり離れないで、私は向こうから攻めるから。」


「了解です。」


タダシは緊張しながらも、路地裏にたむろする若者たちに声をかけ始めた。驚いたことに、彼らは意外にも協力的だった。


「地下王国?」


「そうさ。マンホールチルドレンって聞いたことある?行き場をなくした子どもたちがたどり着く最終地点。そいつらが地下で暮らしてるんだ。」


「それがどう事件と繋がるんです?」


「地下のボスがいるんだよ。薬物やら売春で荒稼ぎしてる。今回の事件も、その辺の絡みがありそうだ。」


タダシはその話をアヤに共有し、さらに調査を進めることを決めた。しかし、アヤの突飛な提案がタダシを驚かせる。


「私たちで、そのボス探さない?」


「えっ?無理ですよ。危ないし、追い返されるに決まってます。」


「大丈夫、いい考えがあるから。」



タダシは、アヤの計画に巻き込まれ、女装させられる羽目になった。毛が薄く細身の彼は、化粧を施されると見事に少女に変身した。夜が更け、歓楽街に向かう二人。


「タダシ君、似合ってるじゃん。こういう子、いるいる。」


「ホントにやるんですか?」


「タダシ君がやらなくても、私はやるつもりだったよ。」


喫煙所と化した路地裏。そこには露出度の高い服装の女性たちと、タバコをふかす男たちがたむろしていた。その中に一人の警官姿の男が現れた。


「君たち、そういう目的?安心して、僕はバイヤーだよ。このコスプレ、本物の警官にも見分けつかないんだ。」


驚く二人組の男たちと露出の高い女たちを横目に、バイヤーは彼らを地下への道へ案内する。その途中、タダシは二人組の男たちにその場を後にするよう警告されるが、引き返せない状況に追い込まれていた。


やがて彼らは古いマンホールを開け、地下の広大な空間へと降りていく。そこには薬物中毒者がうごめき、使われなくなった鉄道トンネルが伸びていた。


「ここを抜ければ、マンホールファミリーのアジトだ。」


バイヤーはそう言いながら、さらに奥へと進む。しかし、その先でタダシたちを待ち受けていたのは——。


「止まれ!両手を上げろ!」


二人組の男たちが銃口を向けて叫ぶ。その場が緊迫に包まれる中、タダシとアヤは真相へ迫る決意を固めるのだった。


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