表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

ハイネの背後に潜む影

僕の新しい仕事は、オザキさんが開発している「健康サプリ」の製造の手伝いだった。と言っても、僕が任されるのは単純作業ばかりで、実際に何をしているのか全容は見えない。錠剤を詰めたり、ラベルを貼ったりするだけだ。


「このサプリメントがね、人々の心と体を癒すんだ。タダシ君も使ってみたら?気持ちがスーッと楽になるよ。」

彼の言葉に少し引っかかりを感じながらも、僕は深く考えないようにしていた。ここにいる皆は、「正しい」ことをしているのだと信じたかったからだ。


そんなある日、施設内で事件が起きる。


「ここは狂ってる!みんなオカシイよ!」

女性の叫び声が館内に響いた。その声は切迫感に満ちていて、僕は思わず足を止めた。廊下の先では、若い女性が警備員たちに取り押さえられている。その目は虚ろで、身体は痙攣しているように震えていた。


「そっちを押さえろ!大丈夫、落ち着くんだ!」

必死に宥める警備員たちの声と、彼女の叫びが交錯する。


「彼女は、可哀想なことに最近頻発している強姦事件の被害者なんだ」

突然背後から声をかけられ、振り向くと、そこにはハイネ代表が立っていた。


ハイネ代表――彼は真の会の創設者であり、絶対的なカリスマだ。その中性的な顔立ちに、冷たい青い瞳。白銀の髪が肩にかかる様はどこか聖人のようでもあり、悪魔のようでもあった。


「フフ、私が居ちゃ悪いかい?」

「そ、そんな!ただ、驚いてしまって……」

「嬉しいよ、タダシ君がそう言ってくれるなんて」


彼は薄く微笑み、僕の肩に手を置いた。その一瞬で、僕の体が軽くなるような感覚に襲われた。


「彼女のこと、頼んだよ。君ならできると信じているから」

そう言うと、彼は黒いリムジンに乗り込み、あっという間に姿を消した。


その後、僕たち若い会員が研究所のラボに集められた。オザキさんがカプセルの入ったケースを配り始める。


「これは鎮静薬。まぁ、聞こえは悪いが、睡眠薬みたいなものだよ。あの子のために使ってあげて欲しい。」

「はい!」

僕たちは声を揃えて答えた。


だが、その時、アヤ先輩の様子がおかしかった。


「アヤ先輩?どうかしたんですか?」

「タダシ君……知ってた?さっきの彼女……あなたと同期の理学部の子だって。」

「えっ……?」


アヤ先輩は涙を堪えられず、泣き崩れてしまった。


「僕……ハイネ代表に頼まれたんです。だから、犯人を捕まえましょう!」


そう、僕は思い込んでいた。ハイネ代表の頼みならば、それが正義なのだと。僕の中で真実と嘘の境界線が徐々に曖昧になっていった。


その頃、リムジンの中でハイネは助手の女性にスケジュールを確認されていた。


「次は理生党の代表との打ち合わせです。それから……。」

「うん、大丈夫だよ。」


窓の外を見つめる彼の視線の先、暗雲が立ち込め始めていた。


「雲行きが怪しくなってきたね。」

そう呟いたハイネの顔には、どこか満足げな微笑みが浮かんでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ