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第2話

 7月も後半、梅雨も明けて暑い盛り。もう赤蜻蛉が浮かぶ低い空。虻に咬まれた。右腕が真っ赤に腫れて痛痒い。冷やすと少しは良いのだけれど、灼熱に焼かれる度に、または労働による体温の上昇が不快感をぶり返す。きみは虻だ。梅雨くらいから僕に纏わりついて、さっと僕の皮膚を噛み割き離れて行く。あっ、と思った時には遅くてきみは知らん顔でブンブン飛び回る。忌々しい気分、怒り、忘れたい。それでも真っ赤に腫れて熱く、痛痒い咬まれた跡がきみを忘れさせやしない。僕はかきむしって余計に拗らす。ひとり、勝手に。虻で咬むのはメスだけなんだ。蜻蛉は虻蚊を食ってくれる。だから、虻蚊が増えた頃に空に浮かぶ。きみが教えてくれたんだ。良かった。これで秋を待てるさ。


 だけど、待てど探せど僕の空に蜻蛉は浮かばないんだ。僕の虻を食べてくれる蜻蛉さんは、今頃どこに浮かんでいるのだろう?


 虫採り網は破れてる。


 それで結局僕はあとひと月余りのクソ暑い夏を、時々また虻に咬まれて不快に過ごさなきゃならないのだろうか?


 まったく死にたくなるよ。

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