二章 スケアリーサンライズその1
あの演説をしていた男は確かにヒトラーだった。演説から一ヶ月も経たないうちに彼らは独自の政治工作を行い、ミュベン国王処刑から始まる革命を成し遂げた。そして演説から四ヶ月が経った今、彼らの持つ技術によりミュベンは凄い勢いで発展している。どうやら彼らは魔物を滅ぼす事を目標にしているらしい。最も俺には彼らにそれを成し遂げられるだけの武器があるとは思えないが。
そして俺は今王家の生き残りとして追われているリベルと共に隠れて生活している。
「ハジメさん誰か来ましたよ。」
リベルが険しい表情で告げる。俺は銃を持つように合図を出しドアを開ける。
「こんにちは。SSの者です。ここに王家の生き残りがいると聞きました。」
革命後に新設されたヒトラー親衛隊の男は笑顔で告げた。
「俺は知らないさ。仲間が沢山死ぬ所を見たんだ。争いはもうごめんだ。」
俺がそう言うと男は表情を真面目なものに変えた。
「そうですか。あなたのことは知ってますよ。この街を守った英雄ですから。それだけにここで殺さなければならないのが残念です。」
そう男が言った瞬間ライフルによる集中砲火が家を襲った。
俺はリベルを咄嗟に抱き抱え縮地の魔術を使い正面から家を脱出し逃走する。追ってくる兵士を撒きながら進んだ先は港だった。
「早めに準備をしておいてよかったですね。」
「あぁ、そうだな。」
俺やリベルを含む王家派の人間は革命が始まる前から隠れて本国行きの船を用意していた。
そして俺たちは船で本国に向かった。クラーケンがいなくなったせいか海はとても静かだった。
本国にはヒトラーの影響は無かった。本国もミュベンと同じく王政の国だ。国王はミュベンから革命が輸入される事を恐れミュベンへの攻撃を開始した。
俺もリベルとの再会を約束し別動隊としてミュベン攻撃隊に加わった。
そして本国の艦隊がミュベンの艦隊を瞬く間に撃破しその勢いのままミュベンの街へ砲撃を開始した。誰もが勝利を確信したその時ミュベンの奥から飛行機が現れ大きな物体を艦隊の真ん中に落とした。
そしてそれは巨大な爆発と灼熱をおこした。半島の反対側からミュベンに迫っていた俺にもその衝撃は襲いかかった。俺は吹き飛ばされ倒れ込むそして空を見た時一つの答えを確信した。
そうヒトラーは核爆弾を完成させたのだ。
そして俺はそのまま少し目を閉じた。
久しぶりの投稿です。