第1話【特性(トレイト)】
「ふぁ〜、眠いな」
海にも負けない位の青い空を眺めながら俺はあくびをした
俺は「水瀬 蒼井」高校1年生だ
友達もいるし学園での地位もまあまあだがある、そんな平凡な高校生
しかしこの世界自体は普通とは少し違うところがあった
それはこの世界では「特性」と呼ばれるものが存在することだ
「特性」は言わゆる魔法と呼ばれる火を出したりするものや身体を強化する肉体強化、特定のものを感じ取る感知等が存在している、いわゆる超能力とか呼ばれるやつだ
そんなのが普通なので今の登校道でも浮いている者や高速で移動している者も多く居るのだ
「あ〜お〜い〜くん!おはよ!」
「痛った!!」
バコンという音がなりそうなくらいの勢いで後方から背中を思いっきりぶっ叩かれて少し体勢を崩しながら俺は衝撃の主の方向を見た
そこには茶髪の幼い女の子が立っていた
「浅原 紡」俺と同じ学園に通っている高校1年生で「学園防御委員」で情報収集部として俺のサポートをしている。
特性は「精神遠隔感応」
予め感知契約をしている 又は 自分を中心として半径2キロ以内の人物に対して脳内に直接言葉を伝えることと脳内を読み取ることができる特性だ
味方にいれば心強い能力ではあるが逆に敵にいるとかなり厄介な能力であるとも言えるのだ
「…であるからして…」
現在は物理の専門分野を学ぶ授業中なのだが俺にとっては暇でしかない
何しろ物理や科学についてはほぼ教えてもらう意味が無いくらいには脳みそに叩き込んであるからだ
なので俺はぼーっと窓の外の景色を眺めていた
うちは最先端なだけあって一般相対性理論などを平気で授業に取り入れる始末、普通の高校生ならまぁありえない事だ。
その後も窓の外を見てぼーとしていると授業終了のチャイムが鳴った
「はいじゃあ今日の授業はここまで次回の授業までにしっかりと復習と課題をしてくるように」
担当の教師が教室から出ていくと生徒たちは帰りの支度をしたり友達と話したりし始めた
俺も帰りの支度をしようとしていた時にふと自分の席の隣を見るとそこには紡が立っていた
「今日は委員会があるからまだ帰れないよ」
「知ってるっての」
「そういってたまに来ない時あるでしょ?」
「あれは用事があったから仕方ないんだよ。はぁ…じゃあ行くか」
「今日は何も起こらないといいけどね〜」
そんな呑気なことを話しながら俺と紡は学園内にある委員会の会議室に向かった
『前方2km先、悪人と思われる人影3人を検知』
「情報提供ご苦労。それじゃあ行こうか」
俺は耳の通信機器の電源を落として目的の場所に向かった
学園防御委員の共通制服である黒に青いラインが入ったコートを風になびかせながらビルからビルへ飛び移った
『そこから2つ前のビルと奥のビルの間で成人の男と見られる3人が女性を襲ってる』
「了解」
俺は指示された通りの場所に勢いよく着地した
そこには紡の言っていた通り3人のガラの悪い男と1人の女性が何やら言い合いをしていたような感じだった
俺が着地した音に気づき全員がこちらを向いていたが1人の男がこっちに近づいてきた
「おいガキ、ここはお前みたいな奴が来るところじゃないんだよ、帰りな」
「そんな悪人に言われてもねぇ〜」
「あ?これ以上は痛い目見ることになるぞ…俺の特性は刃物生成だ」
そう言うと近づいて来た男は小さいナイフを作り手に収めた
そんな行動を見て俺は思わずため息をついてしまった
「はぁ〜…そんな脅しをしないといけないなんて可哀想な人だな」
「あぁ!?なんだとゴラ!」
男はキレてナイフをこっちに突き刺して来たが俺はそれを避けて反撃をした
すると突然男達の首の前に水の刃が現れ3人の男たちは地面に倒れ込んだ
「ひ、ひぃ!こいつ、何者なんだよ!!」
「あれ?さっきまでの威勢はどこいったんだ?」
「あの青黒い髪…あの水の刃…まさか!!おい!あいつはマジで絡んだらダメなやつだ!!」
「なんだ!?あいつのことなんか知ってんのか!?」
「あいつは国家機関の最強能力者集団『六星魔術師』のNo.2、【水星魔術師】だ!」
『六星魔術師』 それは基本的な能力である火、水、風、雷、闇、空間の最上位に到達した者たちで構成された国家直属の能力者集団だ。そのうちの水使い、【水星魔術師】が俺「アクア」事水瀬 蒼井なのだ
「大正解、よく知ってたね君。でも今はそんなことはなんでもいいから君たちは連行させてもらうね、紡」
『はいはーい、もうそっちに確保部隊は送ったからちょっとだけ待っててね』
「相変わらず仕事が早いことで、そちらのお嬢さんも大丈夫ですか?」
俺は男達3人を水の縄で拘束しながら座り込んでいる女性に声をかけた。すると女性は目をパチパチさせた後に急いで立ち上がり頭を下げた
「あ、あの!!今回は危ない所を助けていただいてありがとうございます!!」
「お礼なんていいんですよ。学園防御委員は『守る』事が仕事なので」
「水瀬さん、確保部隊到着しました」
俺が女性と会話をしていると5人程の確保部隊が到着した
「お、ご苦労さま。ごめんね〜仕事増やしちゃって」
「いやいや、自分たちはこれしか無いので。それではそちらのお方も一緒に着いてきてもらってもよろしいですか?」
「は、はい!」
確保部隊は証言者として女性を引き連れて暗闇の方向に消えていった
「ん〜…ったぁ!終わった〜、早く帰って寝たい」
『いや〜お疲れ様、早く帰って来ないと冷蔵庫のプリンあたしが貰うよ』
「おい!それはやめろ!」
そして俺の姿も暗闇の中に消えていった
能力者とかのやつも書きたくなったんや