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第2節 いきなり勇者?

宿に泊まって朝が来た。俺は宿からでると、魔力を使って空を飛び村まで飛んで帰ったのである。もちろん人目のつかないところでではあるが。


俺は空を飛んで帰ってきたので数時間で村についたのであった。


俺はさっそく店に戻り、レニャスに王都であった店の情報を共有したのであった。


俺の経営する店は常に懐が温かい。レニャスはもっと魔導士をやとって生産ラインを増やすことを提案してきたのであった。


俺も同じ考えであった。しかし、魔導士はそんなに数がいるわけでもない。アカデミーを卒業したばかりの新人でも募集するしかないかと俺は思っていた。


新人育成はのちの魔導士の質を高めることにもなり、国に貢献できるかもしれないと俺は思っていた。魔道具は熟練した魔導士でないと作れないからである。


中級の魔法が使えれば新人でもある程度ノウハウを叩き込めば形にはなるが、質が劣化してしまい、いまいちの仕上がりとなってしまう。そこで俺は生産ラインを増やすために新人向けのマニュアルを作成したのである。


このマニュアルにそって行えば、新人でも質のいいものを作ることが可能である。その方法とは魔法陣である。魔道具を生成するときに使う魔法陣のルーン文字を増やして新人の魔導士でも簡単に魔道具を生成できるように


するのである。しかし、ルーン文字を刻むのは一苦労であった。熟練した魔導士なら簡略化した魔法陣でも魔道具は作れるが、ルーン文字の数を増やし、刻むのは大変である。


そこで俺は考えた。この永久機関の魔力をつかって何とかルーン文字の刻む数を増やしながら、簡略化できる方法を。そう俺は前魔導書で見た複製の魔法であった。それを応用すれば、量産が可能ではないかと。


俺はさっそく試してみた。ひと手間かかるが、1枚だけルーン文字を増やした魔法陣を作ったのである。そして、それを複製するイメージを魔力に込めたのである。そうすると意外と簡単に複製できたのであった。


やはり先人の知恵はすごい。こうして俺は複製に成功したのであった。


さっそく俺は就職難である。この国で魔導士を募集したのであった。魔導士になれたとしても全員が宮廷魔導士になれるわけでもない。国お抱えの魔導士は優秀なものばかりである。あふれた魔導士はどうするかというと、


片田舎で俺みたいに魔道具の研究とか自営で店を出すとかくらいであった。俺はそこに目をつけた成績の良い悪いを取っ払って作業に打ち込める職場環境を整えたかったのである。


結果から言ってしまえば、俺の経営する工場や店は俺の考案した魔道具で質のいい道具がそろっているから、どんな成績の悪い魔導士でも簡易的に使えるからである。それがきっかけで魔道具の研究に打ち込む魔導士も出始めているのである。


つまり、俺が考案する魔道具だけでなく、一般的な魔導士が考案する魔道具も商品化できるということである。俺の店は小さくてこじんまりしているが実は工場をもっているくらいの規模なのであった。


さて、魔導士を募集したところ結構な数の応募があった。ざっと100人をこえていたであろうが、俺は全員を採用する予定でいる。しかし、中には性格の悪いものもいるだろう。そこは面接をおこない人柄をみる。その席に俺も立ち会うつもりだ。


実をいうと俺は魔力を見通せる力ももっていた。これも精霊魔法なのだが、魔力が濁っているものは性格が悪いということはすぐわかる。


こうして面接も終わり、俺は約30名ほどの魔導士を雇うことにした。さっそく工場のラインに入ってもらうことにした。やはり俺の思った通りルーン文字を増やした魔法陣で作成した魔道具は新人でも簡単に作れることが証明された。


しかし、勝手のわからない新人魔導士は熟練した魔導士に指導してもらうところもあった。なんだかんだで数か月たち新人の魔導士も仕事になれてきたところである。質のいい商品を作成してくれるようになった。


生産ルートも安定して、王都の店に供給できるようになり、一般の人でも購入しやすい価格となったのである。店の売り上げも右肩のぼりであった。


俺のヒットした商品は国王にまで知れ渡ったのであった。そして俺はお城に招待され、国に貢献したものとして、勲章を得たのであった。その式典には貴族たちも参列しており、俺の常連客も多くいたのである。


そして、夜には祝賀パーティーも開かれたのである。しかし、俺は貴族の中に不穏な気配を感じ取ったのであった。


魔族だ。この中に魔族が紛れ込んでいる。俺は直観と経験から感じ取った。隠密タイプの魔族か。パーティーに紛れて王を殺すつもりなのであろう。俺はすかさず、きずかれないように王の護衛位置まで詰め寄ったのである。


なかなか隙を見せない俺に魔族は焦っていた。


「いいぞ。もっと焦ってボロをだせ。」


しかし、俺の予想ははるかに超えていた。上級タイプの隠密魔族もまぎれこんでいたのである。おそらくようどうだったのであろう。俺の隙をうかがい足音もなく王の背後へとまわり刃物をつきたてたのである。俺はあせってとっさに


精霊魔法をつかってしまったのであった。それを見ていた貴族たちは魔族よりも俺を見ていたのである。精霊魔法が宿った武器で防御できるのは特殊な魔道具の盾か精霊魔法の結界だけである。それをとっさに使ってしまった俺はまずいと


おもったのである。でもあとの祭りである。俺はその勢いで数名いた魔族に魔力の矢をホーミングモードで突き刺したのであった。それをくらった魔族はその場に倒れたのであった。


「これはどういうことかね?」


王は冷静に俺に説明を要求してきたのであった。


俺は精霊魔法をつかえることを事細かに話をした。貴族の中には魔族だという声も上がったが、魔族は同族を殺すことはしないということはわかっていた。そして俺は王に言われたのである。


「精霊魔法は勇者のみに使える魔法だ。それを使える君も勇者に違いない。」


城内はざわついた。当然である。勇者は通常どんな時代でも一人ときまっているのであるから。


勇者が二人。これは異例中の異例である。王は次のことを言った。


「お前が真の勇者である。魔力を永久的に使え、精霊の加護も次元の高いレベルまで到達しているおまえこそ真の勇者である。」


俺を含めその場にいた貴族たちは茫然としていたのである。しかし次第に拍手が沸き起こり、俺を英雄かのようにように声があがったのであった。


こうして俺は王から正式に「真の勇者」として認められてしまったのである。


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