第2章 完全な決別 第1節 勇者パーティー現る
俺は今日も故郷の村でスローライフを満喫していた。しかし、その平穏は突然音を立てて崩壊したのであった。
なんと噂で俺を追放した勇者パーティーがこの村に来ることがわかったのである。
俺はあのときのことはよく覚えている。くだらない理由で俺を追放したことを。
勇者パーティーがなぜこんな辺境の田舎に来るのかというめぼしはついている。
たぶん、パーティー内の火力不足が原因で俺を連れ戻そうとしているのであろう。
その噂が2・3日してから予想した通り、勇者パーティーは俺の村にやってきたのであった。
勇者パーティーはあたりにいる村人にあたっていた。先頭を切って威張り散らしていたのが、勇者本人ケイン・バドワイザーである。
そして、そのごろつきの取り巻きみたいに偉そうにしている二人、戦士ミリシア・ジャンヌと神官マリア・ミューストンであった。
多分俺の住んでいるところを聞いて回っているのであろう。
「おいおまえキリクとかいう魔導士をしってるだろ?!さっさと居場所おしえろよ!」
おびえる村人
「そ・・それならあそこに店ある店がそ・・そうです。」
「なによ歯切れの悪い村人ね!村人なら村人らしく勇者様に敬意を表してお金を渡しなさいよ!」
ケインとミリシアは村人にカツアゲをくれていたのであった。
俺は店の中から窓越しにのぞいていたのである。
「おいおいやっぱりあいつらクズだな。みんなに迷惑かけてるよ。」
「ねえキリクみんなに迷惑かけるといけないからいったほうがいいんじゃないかな?」
「そうするか。できれば会いたくないんだけどな。」
俺はレニャスに言われた通り、勇者パーティーのところへといったのである。
「なんだ。いるならいるでさっさとでてくればよかったのに。なんで出てこなかったんだ?おまえのせいで関係ないやつらにも迷惑かかってるだろ。」
ケインは俺にむかって言ってきたのである。
「お前こそなんだよ。俺を追放したんだからもうお前らとは関係ないはずだろ。みんなの邪魔だ出て行ってくれ。」
「キリクあなた誰にものをいっているのですか?勇者様ですよ?神からうけたまわりし使命をもった勇者に対して無礼です。謝罪しなさい。」
マリアは俺のとった態度が無礼ということで謝罪を要求してきたのである。
「なにいってんだ?俺はなにも悪いことしてないだろ?むしろ人にカツアゲしながら道聞いてるお前らの方がよっぽど無礼だろ。」
「やっぱりこいつめんどくせえな。ケインこいつぶった切っていい?」
ミリシアは俺に剣をむけてきたのであった。
「やめておけ。こいつを斬るだけ無駄手間ってもんだろ?それよりよキリクお前にもう一度チャンスやるから俺のパーティーにいれてやるよ。また勇者パーティーに加われるんだありがたいと思えよ?それに店やってたんだろ?ついでだ儲けも俺たちに譲れよ。」
ケインは俺に対して仲間に戻れと言われてあげく店の稼ぎをよこせとまで言ってくる始末だ。さっさと帰ってもらいたいものだな。
「おい。ケインお前なにか勘違いしてないか?俺がお前のパーティーにもどるわけないだろ。お前の下でこきつかわれるのはまっぴらごめんだね。」
「はぁ?なにいってんだキリク。お前がいないせいで俺たちがどれだけ苦労したのかしらないのか?お前に代わる魔導士探してもつかえねえやつらばかりでよ。」
先に追放しといてどの口が言うんだ。この勇者は。
「いいじゃないか。俺のせいで目立てなかったんだろ?お前らに都合よく追放されてやったんだ。むしろそっちから感謝してほしいものだよ。」
俺の言葉にケインがきれたのである。
「おまえ俺に、勇者に向かってよくそんな口が叩けるな!いいだろお前を力ずくでひれふさせてやるよ!」
しかし、俺はこの時がくるんじゃないかと思って対勇者用の魔法も考えてあったのである。
「だったら俺に勝ったらまたパーティーにもどってやるよ。でも俺に負けたら俺にこんりんざいかかわるなよ?それでいいな?」
「そうだよ。そうやって素直になればいいんだよ。まったくめんどくせえやつだな。」
こうして俺と勇者の一騎打ちがはじまったのである。