第2節 竜人化の武器
さて竜人化の魔道具を作ったのはいいがその力に耐えられるだけの耐久性を備えた武器も必要となってくる。剣や杖は常人用に作られており、一定の魔力でなんとかなってきた。
しかし、竜人化したとき急激な魔力のと身体能力の跳ね上がりに武器や杖がおいついていかないという事例の報告もあがっている。俺はその問題を解決するために上級ルーン文字を使用することにした。
この上級ルーン文字を通常の剣や杖にほどこすことによって竜人化の爆発的な身体能力と魔力の変化に耐久性をもたせることにした。でも問題がある。上級ルーン文字はドワーフしかその技法を取り扱えないのである。
それに上級ルーン文字による武器の改造はオーダーメイドにしか取り扱えないのである。腕のいいドワーフを何人か雇いたいがいくつか条件があるというのである。
その条件というのは酒を無償で提供するということ、上級ルーン文字を施すときにこだわりの逸品を作りたいということなので品質を落とさないようにさせるということつまり職人のドワーフがその人にあったしなものを
つくりたいということである。この2つの条件を提示してきたのである。まあ問題はない会社の経営方針にのっとった品質を落とさないということもがっちしているので助かる条件である。
俺は会社にさっそくその条件で雇用するように指示をだしたのである。そして専用の工房も用意させたのであった。さすがにこればかりは生産ラインに乗せられないのでオーダーメイドという初めての事業になるのでちょっと不安
ではあった。
オーダーメイドは時間がかかるがそれでも装備に上級ルーン文字を採用したがる冒険者たちはいっぱいいた。工房も長蛇の列できあがっていたのである。みんな竜人化の装備を買った冒険者ばかりである。
やはり常に冒険者には危険がともなう。その保険として竜人化をする冒険者もふえてきているのである。
やはり戦争にこの魔道具を利用しようとした他国は竜人化をなんとかして自分の意思で変身できないかいろいろと実験したという報告もあげられている。しかし、研究は失敗に終わったのである。
なぜなら竜人化は無意識のなかで行うようになっているからである。意識してなれるという代物ではない。魔物におそわれて自分の身に危険が生じたり時のみ反応するようにできているからである。
もし、戦争に利用させれていたら国が一つ滅ぶレベルのしろものである。それにリミッターをかけておいて正解であった。それに俺のつくる魔道具は特別なものばかりだ。そうそう作れる代物ではない。
工場の生産ラインだって一般的につくれる魔導士がいるが、俺の作るノウハウと材料に秘密があるからである。禁書すれすれといわれている魔導書から使っているということである。
禁忌すれすれのさじかげんがポイントとなってくる。その禁忌すれすれの魔道具作りは会社の研修で習わせたものである。だから一般の魔導士でもつくれるのである。
さて話は脱線してしまったが、上級ルーン文字による武器の作成は順調に進んでいる。上級ルーン文字自体に魔力がこもっているから魔導士の力はいらない。匠の職人のドワーフだけで製作できるのは
ありがたい。人件費も節約できる。上級ルーン文字のおかげでオーダーメイドは大反響を起こしている。ドワーフも交代制で作業にあたっている。さすがに睡眠時間を削っての作業は会社としてもブラックである。
交代制にすることで仕事の効率化もはかれている。
上級ルーン文字による武器の改良は成功し、事業拡大に一役買っている。俺の作る魔道具は常に人を守るものであってほしいものである。