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伝説の名工の刀鍛冶の打った包丁

作者: くろきし

ここはとある街、

伝説の名工と呼ばれる刀鍛冶師が居た。

彼が打った剣を持って勇者は闘い、ついに魔王を倒し、世界に平和が訪れた。


彼には長年連れ添った妻がいた。

そんな妻の叫び声が台所から聞こえてきた。


「もーっ、かぼちゃがっ、切れないっ」


なにか重たいものが叩きつけられている音が連続して聞こえてくる。

彼の妻がかぼちゃに刺さったところで動かなくなった包丁を掴んで、まな板にかぼちゃを打ち付けている音だ。


そこで彼はひらめいた。


平和になった世界、今自分の刀鍛冶の腕はここで発揮されるべきだと。

彼はそのひらめきの勢いのまま工房に籠もった。


そして何でも切れる伝説の包丁が生み出された。


彼が妻にその包丁を渡すと、彼女は喜び勇んで怨敵であるかぼちゃに挑んだ。


彼女がいつものようにかぼちゃに包丁をあて、いつものように力を入れると、かぼちゃはなんなく真っ二つに。

まな板も真っ二つに。

台所の作業台も真っ二つ。


伝説の名工の刀鍛冶は妻にえらいこと怒られた。


そこで彼はひらめいた。

まな板も丈夫にしたらいいのだと。


彼はひらめきの勢いのまま同じく伝説の名工と呼ばれる鎧職人のもとに向かい、平和な世界における自分たちの立ち位置を熱く語り、頑強な伝説のまな板を手に入れた。


彼が妻にそのまな板を渡すと、彼女は喜び勇んで怨敵であるかぼちゃに挑んだ。


彼女がいつものようにかぼちゃに包丁をあて、いつものように力を入れると、かぼちゃはなんなく真っ二つに。

伝説の包丁が当たっても伝説のまな板は真っ二つにはならなかった。

その衝撃は彼女の手首に大きなダメージを与えた。

彼女の怒りは伝説の名工の刀鍛冶と鎧職人の心に大きなダメージを与えた。



その後、伝説の名工の刀鍛冶と鎧職人は勇者パーティーのひとりであるエルフに頼み込み世界樹のまな板を手に入れ、刀鍛冶の妻は伝説の包丁を使い世界樹のまな板の上でかぼちゃを上機嫌で切り刻むようになった。

また、伝説のまな板は鋳造し直され、作業台の一部となり、彼女の日々の作業を受け止め続けたそうな。






友人たちとの会話から生まれたお話です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 伝説の刀鍛冶も奥さんには頭が上がらないようで…。 微笑ましく、面白かったです。
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