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手向けの花  作者: 三四
木に縁りて魚を求む
32/34

光陰矢の如く

 以前に少し話したかと思うが、過去の時代で何かの事を起こしたとしても自分がやってきた現代への影響は全く無い。

 あくまでその事柄が起こった未来が一つも平行世界へと増えるだけだ。

 つまり、ここでクロウが遥か上空にある()()を破壊し、結果大量の死者が出た時点でこの世界唯一の龍への一致した復讐心が生まれるのみである。

 それは現代に置いてクロウには何も関係のない事だが、クロウは回避出来る死を重ねることを良しとしない。

 更に重ねるのであれば影法術に関しても説明を少ししよう。

 隠密や暗殺から広範囲への索敵や攻撃など利便性に優れた影法術だが、発生させるために唯一の条件がある。

 それは光の濃度の差だ。

 光量に差があれば僅かでも影が生まれる。

 つまり、この光の筒が内部まで光の詰まったトッポだった場合は空から降るまさに()()というわけだ。

 しかし、内部に空洞があるとなれば話は変わってくる。

 光の速度が30万kmなのであれば影の速度もまた30万kmになる。

 一瞬のタイミングさえ逃さなければ人間の知覚速度を超えた光速で逆流し根本への侵攻が可能になる。


 上空ではまた光が収束しているのが感じられる。

 そろそろ第3波が来るのだろう。

 龍の身体に穴を穿つほどの法術を連射出来ることは驚きだが、対策が出来ればそこまで怖いものでもない。

 一瞬空の彼方で煌めきを感じてると共に光の筒の側面から尾を振るう。

 光源に尾は焼き尽くされるが竜の尾は人化の際に勝手に復元されるのでさほど痛くはない。

 筒と尾が交差したタイミングで尾の下に僅かに影が生まれる。

「ココだ!」

 瞬間的に魔術を展開する。

 影から影へと移動する術式。

 尾の元から発射口へと移動する術式。


「第3射命中!尾を焼き切りました!」

 部下からの報告を受け多少の安堵が生まれる。

 全く手が出せない存在ではないようだ。

 傷がつけられるなら殺せる。

「よし!第4射充填しろ!」

 このままの勢いで止めを刺しに行こうと指示を下すと同時に部下から声が上がる。

「司令!モニター暗転!また内部カメラも暗転しました!」

「なっ!?」

 瞬きのような一瞬の間に視界が黒く染まる。

 太陽が失われたと思うような暗闇だった。

 先程までそこにあった機材や人の気配すらも感じられない。


「ふぅ…なんとか成功かな?」

 設置式の奈落が発動したのを感じたクロウは一息をつく。

 奈落の外苑の様子だと何か建造物のようだが、今はそこまで重要ではない。

 生き物も殺さず奈落へと閉じ込めただけだ。

 1日もすれば勝手に開放されるだろう。

 未知の脅威を1手で封じ込めると方向を定めてクロウは再び飛び立つ。

「法術じゃなかったってのはショックだな…」

 小さな呟き声を残しながら。


拙い文章でしたが、ココまでお読みいただきありがとうございます。誤字脱字等があればご指摘を、また、応援ブックマーク等の評価も是非お願い致します。

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