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手向けの花  作者: 三四
木に縁りて魚を求む
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出立

 ユウジからオサガの街の話を聞いた日の夜、簡単な荷造りを済ませ別れの挨拶に勤しんでいた。

「ユウジ。ありがとう」

 右も左も分からない時にこの男に会えたことは大きい。

 文化も文明も不明な中で有効的な人物が第一発見者であったのは非常に運が良かった。

「俺の方も面白い話を聞けて楽しかったよ」

 このホニィの国が何故滅んだのかはわからないが元の時代へと戻ったら必ず痕跡を探しに行こう。

 線が違うとはいえ関係のあった事だ。

 短い挨拶を済ませると、月明かりの照らす道をひたすらと西に向かって進んでいった。

 聞くところによれば距離は500キロ程。徒歩で4日程度だという。

 無論。これだけの高魔力が充満しているのだから、法術士としては徒歩で行くつもりなど毛頭ない。

 更に今日の月は明るい。

 照らす明かりがあればできる影も濃くなる。

 ユウジの家が外れにあることも幸いし周りに人の気配はしない。

 であれば多少派手なものを使っても噂程度で終わるだろうと考え人化を解く。

 瞬間現れるのは黒に煌めいた鱗を持つ巨大な龍の姿。

 クロウ・ヴァルコック

 ブレスコリアの次期伯爵家筆頭候補とも呼ばれる黒龍の様だ。

「とりあえず高さだけ取るか…」

 一呼吸し大きな翼を羽ばたかせると一瞬ではるか上空へと舞い上がる。

 夜空の中で動く黒い点など誰も気にも止めないだろうと簡単に考え高度を上げていくと、自身よりも上空に鳥型の何かが飛んでいるのを察知する。

「同種‥?」

 法術を知らぬ世界で同種がいることに疑問を覚えつつもそれの背後から接近すると、それは同種などではなく車と同じく鉄で作られた巨大な物体であることを認識する。

「おいおい、鉄が空を自律して飛ぶなんて法術より法術だぞ」

 しかもこの鉄の塊の内部には100を超える人間が収容されており、明かりも付いている。ちらりと見えた内部では笑顔もいくつか確認できた。

 つまり囚人の護送などではなく恐らくは一般人の運送手段なのだろう。

 この国の高度な技術を再度実感し、再度この時代の遺物が一つも残っていない未来へ疑問を浮かべる。

 その間に飛行物は小粒程度の大きさの距離まで離れてしまった。

 まぁ、今考えても仕方ないかと諦めて目的地まで向かうことにするが、あんなのが飛び交っているのなら多少速度を落としてでも安全性を上げて発見されるリスクを下げたほうがいいだろうと、飛行を再開し始める。


 半分程の距離を進んだ頃だろうか。

 どうにも視線を感じるようになってきた。

 興味の視線では無く、見張るような見られ方だ。

 現在高度は8000m程だが、視線の先は遥か上空。

 しかも一点先からではなく上方から万遍なく見張られている。

「法術だな」

 オレの時代でもこれより上の高度で生息できる生物は僅かに2種類しかいなかった。

 しかもそいつ等は種の掛け合わせで近年生まれた種族だし、この時代に存在しているはずがない。

 とすれば法術でしかないだろう。

 見張られるというのはあまり気分がイイものではないし、そんなことをするのが味方であるはずがない。

 どう対応するかと考えていると一点がキラリと煌めいた。

「星…?」

 そう考えたのも束の間。

 一筋の光の矢が尾を穿いた。

拙い文章でしたが、ココまでお読みいただきありがとうございます。誤字脱字等があればご指摘を、また、応援ブックマーク等の評価も是非お願い致します。

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