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手向けの花  作者: 三四
0章 烏合の集
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プロローグ

 

 帝国歴562年9月25日


「クロウ中隊長。犠牲は?」

「はっ!クロウ中隊104名中、生存は92名であります!」

 火薬と泥と血の匂いが風に運ばれる中、生き残った英雄達は上官の言葉を待つ。


「そうか…厳しい戦いであったな」


 その日、我が国の敗戦が決まった。






 帝国歴562年5月12日


 この世界、クラウガルドは元々魔力のない世界であったが、700年程前にエーテルなる神が人々に魔力を与えた。

 それから人々は魔術と魔法を創り上げたが、それに伴い魔物と呼ばれる生き物が出現するようになり、各国間の戦争も激化。

 魔術とは魔力自体の性質を変化させ自由に結果を決定でき、魔法とは予め決められた結果に繋がる式を魔力で起動させるものだ。

 それらを総称して法術と呼んでいる。


 そして、500年程前に広大な大地を切り拓いた初代皇帝はこの地にホーン帝国を建国した。

 それから現在に至るまで周辺諸国であるエルミナス教国やダリア王国、そして最近出来た海洋連合国にも名を響かせる賢王として歴史に名を残し、魔術大国としてその名を知らせている。

 現在の皇帝も歴代最高と謳われる程民を思いやり周辺諸国との関係も良好な物を築き上げてきた。


 しかし、我がホーン帝国は突如として周辺3国への攻勢を発表。

 いくら強大な魔導兵器を多数所持しているとはいえ、3国同時への攻勢は余りにも考えが無さすぎた。

 急激な税率の変化や徴兵、国家としての方針の変化が国民にも不安を蔓延させていた。

 しかし、とはいえ帝国軍人の自分にとって上層部が黒と言えば黒であり、白も黒に塗り潰すのが役目というもの。

 軍人学校を卒業したての2年目新兵としては上司に従うだけと気楽に構えていた。


 帝国歴562年5月26日


 それから2週間後のこと。

 いつもの様に51中隊舎へ向かうと、上官であるコルド中隊長から大隊長室へ呼び出しを食らう。

 するといきなり、徴兵で集まった98名の民間人を渡され、軍人学校卒業したての一般兵をいきなり中隊長へ抜擢。

 更に少将以上の幹部連中は帝国内から指示する温室待機となるらしい。

 いくらか疑問も感じたが、上官からの辞令であればハイと返事をするより元もない。

 辞令は来週から機能するらしく、これに伴い軍内も大規模に一新され、3つの大隊へと振り分けられるらしい。


 帝国歴562年6月3日


 そんな中で新しく受け持つ中隊への挨拶をしにきた訳だが、どうも俺の上官殿は現場に出てこないらしい。

 好都合だ。

 太陽に照らされた中隊舎の外で不安そうな顔を並べた民間兵達と、横に立ち並ぶ不安な先輩達を眺めながら段を登る。

「私がこの14中隊を指揮するクロウ・クリエだ」


 民間兵達の視線を一身に受け止めるが、不安と恐れの色が多い事が分かる。

 その気持ちは非常によくわかる。

 俺だって力と権力があるなら上層部全員前線に引っ張ってきて最前線で走り回らせたい。

 だが、命を預かる身としては、如何に有意義に部隊を動かせるかで勝敗も生存率も何もかもが変わってくる。


「我々が属する1大隊はエルミナス教国へ進軍する事になる。他の2国よりは突破力に乏しいが、その分堅牢な守りが売りだ。」

 その2国と比べてどれが当たりってわけでもないが。


「我が14中隊の最優先事項は『生存』だ」

 隊内からどよめきが上がる。

 それもそうだ、敵を撃つだのお国のためだのそんな事を言われて使い捨てられると思っていたのだろう。


 だが、こんな負け戦で命を使い捨てる積もりなど微塵もない。


「命あっての物種。死んでは元も子もなし。笑って帰るぞ。」



拙い文章でしたが、ココまでお読みいただきありがとうございます。

誤字脱字等があればご指摘を、また、応援ブックマーク等の評価も是非お願い致します。

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