episode6.謎の少女
ギルドに着くとそこにはルミナス達と同じく討伐ミッションを受けに来た旅人達がいた
老若男女様々だ
ルミナスは精神的に疲れてやっとの思いでギルドにある椅子に座った
「大丈夫ですか?」
マギーが心配そうに聞く
「ここの世界は皆あんな感じなの?」
「いえ、ここが特別なだけですよ、、、だから殆どの人があまりここにはこないのです」
「そうなのね」
行く時は皆ノリノリだったのでもっといい町だと思っていたのだが、、、
すると掲示板を見ていたシュラハトが嬉しそうにある依頼書を持ってきた
「あったぞ!!これだこれ!」
そこには大きな鉄の鎧のような絵
絵の上にはよくわからない字が書いてある
「あ!ゴーレムキングの討伐依頼じゃない!」
マギーが目をキラキラと輝かせている
「これは?」
疲れた様子のまま不思議に思ったルミナスは聞く
すると飲み物を手にシュテルが教えてくれた
「これはここでしか受けられない特別ミッションです。ランクAAの少し高難易度ですが俺達なら倒せる相手ですよ。それにこのモンスターの心臓部は高く売れるのでそれなりの腕がある皆さんは喜んでここに受けに来るんです」
「へぇ、、、」
「さて、気分転換に討伐しに行きましょうか!、、、とその前に、はい」
シュテルは飲み物をルミナスに渡した
「ホットミルクです。バッファローのミルクは気を休める効果があります。是非」
バッファローもこの世界にはいるのね、、、それにしてもミルクって美味しいのかしら?
恐る恐るルミナスは差し出されたホットミルクを飲む
「美味しい、、、」
「それは良かったです」
ただのホットミルクでは無い
体の中から温まっていく感覚がする
そしてほのかに甘い
「これ、甘いのは蜂蜜か何かかしら?」
「蜂蜜?、、、よく分かりませんがそれはハイロネシロップですよ」
「ハイロネシロップ、、、」
どんな物なのか気になってしまう
「少し落ち着いた?」
「うん、ありがとう」
ルミナスはホットミルクのおかげなのかパーティーメンバーの優しさのおかげなのか少し気分が楽になった
「ゴーレムキングはコンチェルト辺りの森で出没します。とりあえず今日はギルドに泊まって明日出発する事にしましょうか」
「はい!」
シュテルの言う通りその夜はギルドに泊まることになった
ーミュジック城内部ー
「姫様は見つかったか!?」
「いや、まだだ!」
「一体何処にいるんだ!?」
城内はかなり騒がしくなっていた
いつもなっている音楽もその夜は喧騒に変わる
「早く見つけ出せ!」
「はっ!」
ーミュジックギルド前ー
ルミナスは空気を吸いに外に出ていた
「それにしても本当に寂しい町ね、、、」
国は夜になると真っ暗だ
どうやら沢山の建物の殆どが誰も住んでいないらしい
空を見ると星が沢山見える
「綺麗、、、」
ルミナスはギルドがわかる範囲で少し歩いて見る事にした
そう言えば前世で長女がまだ少し小さかった頃に田舎を2人っきりで散歩した事を思い出す
初めての娘との夜の散歩は何処か特別だった
今の景色と同じように空には満点の星空が浮かんでいた
「お母さん!流れ星見えるかな?」
「どうだろうねぇ?見えるかな?」
2人して流れ星を探していたあの日
それはもう叶う事はないのだろうか
「会いたいな、、、」
ルミナスがふと呟いた時
ードンッー
「ッ!」
誰かがルミナスにぶつかってきた
「誰っ!?」
こんな所で会うなんて朝の兵士かギルドにいる誰かか、、、変なやつだったらと思い、それなりに構える、、、が、その姿を見てルミナスは唖然とした
それはあまりにも小さい体、まるで先程思い出していた記憶の中の長女のようだ
「大丈夫?」
ルミナスは彼女に声をかける
「助けて!!」
その子は急にルミナスに助けを求めた
急な事で驚くがこのまま放っておく訳にもいかない
しかも助けを求められているのだ
ルミナスは仕方なく彼女をギルドに連れて帰る事にした
ルミナスはギルドにて他のパーティーメンバーに事の顛末を話した
「ふむ、、、それで彼女を連れて帰ったと」
「だってほっとけなかったもの」
シュテルはその女の子を怪しく思っているようだ
「まぁ、こんな小さい女の子ですもの、私でも連れて帰りますよ」
マギーがフォローを入れるがシュテルはまだ疑っている様子だ
「ところでお嬢ちゃん、なんで助けを求めたんだ?何かに追われてるのか?」
シュラハトの問に女の子は首を縦にゆっくり振る
「何かしたのか?」
女の子は黙ったままだ
少しの沈黙が流れる
「とりあえず今日は一緒にいてあげて明日コンチェルトに行くついでに親を探しましょう!」
マギーが言うと急に女の子が口を開いた
「コンチェルト!?」
「どうした!?」
急な声にシュラハトが驚く
「コンチェルトに何かあるのですか?」
「あっいや、、、」
シュテルの問にまたも女の子は押し黙ってしまう
「もしかして、、、ミュジックに迷い込んでしまったんじゃないかしら?」
ルミナスは思った
何かから逃げていてコンチェルトに反応をする辺りコンチェルトからミュジックに迷い込んで兵士から逃げていた可能性が高いと思ったからだ
「それはあるかもですね、、、よし!お姉さん達が明日コンチェルトに返してあげる!」
「そうと決まれば今日は解散だな、、、ふぁぁああ〜、、、俺はそろそろ寝るわ」
そう言うとシュラハトは自身の泊まる部屋に帰る
「しょうがないですね、明日また詳しい事はお話しましょう」
シュテルも納得せざるおえないと言った感じだ
そのままシュテルも自身の泊まる部屋に帰って行った
「とりあえず今日は私と寝ましょうか?」
ルミナスが少女に話しかけると少女は小さく頷いた
「分かりました!では、私も失礼しますね!おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ルミナスはその夜、その少女と共に寝る事になった
久々に感じる小さな体にルミナスは少女に気づかれないように涙を流した
それは懐かしい過去の事を思い出して
ここまで読んでいただきましてありがとうございました!
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