episode5.規制の厳しい国
その日の朝早くにルミナス達はミュジックに向けて出発した
昨日の市場を抜けるとミュジックに行く為の門が見えた
「そこの者止まりなさい」
門の前には国の兵士らしき人が立っていた
「ミュジックへは何しに?」
「俺達は魔王討伐の為に修行の旅をしている者です。本日はミュジックのギルドにて魔物討伐のミッションを行いたく訪れました」
まるでこうなる事がわかっていたかのようにシュテルが言う
「では、旅の証を見せよ」
兵士が言うとシュテルは懐から角らしきものを取り出す
「ふむ、鬼人の角か、、、よし、通れ」
兵士はすんなりとルミナス達を国へと入れた
「それは何?」
ルミナスは先程シュテルが出した角が気になって聞く
「これはこの間倒した鬼人の角ですよ、と言っても貴女が記憶をなくす前の話なので覚えてはないと思いますが、、、」
「鬼人?」
シュテルに聞くと待ってましたと言わんばかりにシュラハトが応える
「おう!その鬼人にトドメを指して角を狩ったのは俺なんだぜ!」
「皆の力があったから勝てたんですよ!勿論ルミナスの力も」
そう言われても申し訳ないけど覚えてないわと思うルミナス
気を逸らすように辺りを見回す
すると妙な違和感に気づいた
「ここの町、真っ白な建物ばかりで何も書いてないわね」
その町はまるでギリシャのサントリーニ島にある建物のようだった
白い壁に青い屋根
看板も何も無い
そして何より、、、
「ごめんなさい、今は何処を歩いているのかしら?」
同じ建物ばかりな上にかなり入り組んでいる
それでもルミナス以外の3人は分かるようでスタスタと進んでいく
不安そうにしているルミナスを見てマギーが気にして教えてくれた
「ここはかなり外部からの人に対して厳しいんです。この町自体も元々はお城を守る為に迷路のような作りになってるんですよ」
「迷路、、、確かに言われてみればそうね、、、」
「少し右に建物が見えるだろ?」
シュラハトに言われてその方向を向くとまるでお姫様が居そうな城がたっていた
「うわぁ!綺麗ねぇ!」
「あれが真っ正面に見えた時、右側にある建物がここのギルドなんだぜ」
「へぇ、、、」
よく分かるものねぇとルミナスは思う
ーにゃあんー
ギルドにそろそろ着くというところで聞き覚えのある声にルミナスは振り向く
「あらぁ子猫がいるじゃない」
「猫!?」
何故かマギーが驚く
するとその子猫の後を兵士が追いかけていくのが見えた
どうやら子猫は兵士から逃げていたようだ
「危ないっ!」
そう言うとルミナスは走り出す
「ちょっと!!!」
止めようとするマギーの声も聞こえぬまま子猫をルミナスも追いかける
やっと追いついたが子猫は既に兵士に首根っこをつかまれている所だった
「やめなさい!」
ルミナスがそう言った瞬間、周囲に銃声が響いた
目の前には真っ赤に染まった白い建物と道路
そこには兵士が掴んでたであろう猫の姿はなく、変わりに肉片がぶら下がっていた
ショックのあまりルミナスは言葉を失う
後からシュテル達がやってくる
「ここは動物さえも規制対象なんです。残酷ですが迷い込んだら最後、猫でも、、、」
「なんて酷いことを、、、」
すると兵士が振り返りルミナス達に気づく
「ん、、、何だ?何か用ですか?」
何事もなかったかのように兵士は聞く
そうか、この町ではこれが普通の光景なのだ
「少し迷っちまって、、、ギルドは何処だ?」
すかさずシュラハトがフォローを入れる
「ギルドならばそこの3つ目の角を右に曲がった所だ、では」
そう言うと兵士は肉の塊となった物をゴミ袋に入れて去っていく
へたへたと座り込んでしまったルミナスにマギーが優しく手を貸す
「確かに残酷です、でもこれがこの国の治安を守る為のルールなのです」
「ここの国は最悪なのね」
最初は軍楽隊に感動して、軍楽隊に何かを感じたから、転生した家族に会えるかもと思ったからこの国を訪れた
しかしルミナスはもうすぐにでもこの国を出たいと思った
「もう少しの辛抱です。ギルドに行って討伐ミッションを完了した後にここは直ぐに出ましょう」
シュテルに言われた通り何とかルミナスはギルドに向かって
ーーーミュジック城内にてーーー
「はぁ、、、」
1人の少女がため息をつく
「つまらない」
彼女は城の外を見ながら呟いた
「ねぇ、どうしてこの国から出ては行けないの?」
少女は年配の執事に聞く
「それは姫様をお守りするためです」
「だからといってもここはつまらなさすぎるわ、どこを見ても真っ白、真っ青、、、ずっと鳴ってる音楽も耳障り、、、あぁ、ほんとにつまらない」
彼女はそう言うと自身のいるベットに寝転がる
いつか外に出ることができたら、、、そうなる事を信じて、、、
遅くなりました!
episode5最後まで読んでくださりありがとうございます!
ここからミュジック編突入です!
また何処かで急な更新があると思うのでブックマークをして楽しみにしていて下さると嬉しいです!
よろしくお願いします!