コント【大江戸カフェ】
女性店員=ボケ
男性客=ツッコミ
客「ん、大江戸カフェ? 長野なのに江戸?? 気になるな。入ってみるか」
客、カフェに入る。
ちりんちりんと風鈴の音がする。
店員「いらしゃいませ、童貞様でしょうか?」
客「それはお一人様って言いたいのか! 失礼過ぎるだろ童貞様とか!?」
店員「失礼しました、魔法使い様。あ、それとも妖精様ですか?」
客「魔法使いだよ! 悪かったな! 俺だって彼女が欲しいよ!」
店員、悲し気な顔で客を見る。
店員「……すいません、タイプじゃないですし。私は店長を愛していますので」
客「俺、告白もしてないのに振られた!? おまけに既婚者かよ!!」
店員「ご案内します。魔法使い様、こちらへどうぞ」
客、靴を脱いで座敷に上がる。
客、座布団に座って机に突っ伏す。
客「……何でこのカフェは長野にあるのに大江戸カフェって名前なんだ? 毒舌店員」
店員「私の名前は桜です、刺繍が見えませんか。魔法使い様」
客「質問に答えろ、極悪人妻。質問が聞こえているか、陰険人妻。質問を理解できてるか、無能人妻」
客、店員の言葉を無視する。
客、うざい顔で店員を挑発する。
店員「当店は『大江戸カフェ』といいまして、店長が大好きな江戸時代風のおもてなしをするために作ったカフェです。魔法使い様」
客「……おもてなしって新手のギャグか? 俺は何一つ満たされてないんだが」
店員、客の挑発を笑顔で流す。
客、舌打ちした後、溜息を吐く。
客「ったく、冷卵羊羹と甘酒をくれ」
店員「かしこまりました、魔法使い様」
店員、料理を作る。
店員「お待たせしました、魔法使い様」
客「普通に旨そうなのがムカつく、いただきます」
客、あまりの旨さに目を見開く。
客「……想像以上の旨さだった、店員の態度以外は最高だ」
店員「そうでしたか、江戸時代では花火も娯楽として親しまれていましたよ。魔法使い様」
店員、抱えた手筒花火に火を付けた。
客「何してんの馬鹿人妻! アチッ、こっちに向けんな!!」
店員「心配は無用です、大江戸カフェ内の物は全て防火処理が施してあるので燃えません」
店員、客へドヤ顔で語る。
客「鬼畜人妻の着物と俺の服は!? というか、それ以前に店内で花火へ火を付けるな!!」
店員「花火、綺麗ですね~」
客「話聞けや! クソッ、だったらカーテンの裏に!」
客、カーテンの裏に隠れる。
店員、帰ってきた店長に頭を叩かれる。
店員「キャアッ! あ、店長。お帰り~」
店長「まったく、お帰りじゃない!! いつもいつも――」
客「よ、よかった。やっと、まともそうな人が」
客、安堵しながらカーテンの裏から出ようとする。
店長「――お客様に花火を見せるんだったら3号玉にも火を付けろって、いつも言ってるだろ!!」
店員「店長、すいません」
客「……へっ」
客、店長が打ち上げ花火に火を付けたのを見て固まる。
客、カーテンの裏に戻る。
客「こんな店――大っ嫌いだー!」