空想とロマンティスト
彼女の名前は、真澄さん。加藤真澄さん。
僕は、ボブに話しかけていた。ボブは、いつものお気に入りの窓際で、寝そべって、大きなあくびをしている。毛のお掃除をしたり、手の甲を必死に頭に当てて、毛づくろいの始まりをしていた。
「なあ。真澄さんって、どんなんだ?ボブ?3日間一緒にいたんだろ?教えろよ?お前、彼女の膝に乗ってたな…いいな。くつろぎやがってさ。どんなんだったんだ~?。」
白猫のボブもこの時は、呆れ顔だっただろうか?
僕の言うことに耳を向けたり、尻尾で、僕の言葉を追いやったりしていた。
僕は養生を取りながら、ボブと過ごしていた。僕も、ボブがいなかった3日間が、とても苦しかった。倒れた時の体力のなさにどうにかしたいと思いだしたのだった。主治医にも、
(どんなことでもいいから、体力をつけてほしい)
と言われたのだった。
僕は早速、ボブを連れていつもの川辺のベンチに向かった。遠回りもして行った。夏は暑いが、その川辺までの横道には、桜の木だろう。とても、涼しくしてくれていた。木の陰に、ボブは、虫を見つけては、走りだしたり、いつもと変わることなく元気だった。木の影は、ちょっとしたボブの遊び場だった。
僕は、ボブを抱き上げ、また頬にすりすりしながら、この瞬間を堪能していた。幸せだった。彼女の事も思い出したりした。真澄さんに思いを寄せている自分が、とても恥ずかしながらロマンティストな感じがしていた。
「ボブ?僕は浮かれているよ。こんなに、忘れがたい人が僕にはできたことがない。お前以外にいなかった。お前が現れたのは本当に何だろうな?今お前が天使に見えるよ。」
ボブは、首をかしげている。僕も僕らしくない言葉が出るのに、羞恥心だった。ここで、僕は、帰宅と共に、コンビニによって、猫ご飯と、僕のご飯を買って帰ったのだった。