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鳥になりたかった少女3  作者: 葉里ノイ
1/8

序章/第一章『連』

またキャラが増えたようです。


ピザトーストが食べたかったようです。

  【序章】


「さっちゃーん! さっちゃんさっちゃんさっちゃん!」

 ぱたぱたと手を振り、黒いワンピースを着た幼い少女が広い庭を駆ける。その後に、同じく黒い服の少年が静かに追う。

「さっちゃん何してるの? けーたいでんわ?」

 庭の花壇の縁に座り、ぼんやりと携帯電話を見下ろす少年に少女は声を掛けた。

 少年は呼ばれたことに気づくと携帯電話を閉じ、顔を上げる。目深に被っていた黒いフードを少し上げ、駆け寄ってきた少女と少年を見上げた。

「何?」

「寒いからお家に入りなさいって言われたっす! そろそろコトちゃんとお別れだから、さよなら……言いなさいって……」

 喋りながら、少女の目には見る見る涙が溜まってゆく。今にも零れそうなほど溢れ、口元が戦慄く。

「ふええええ」

 ぼろぼろと泣き出し、少年二人は顔を見合わせる。

 フードの少年は小さく息を吐き、少し目を伏せた。

千佳(ちか)、冷蔵庫にプリンがある。姉さんが、食っていいって言ってた。取ってこい」

「ふええ、チカ、プリン好きっすぅ……」

「ちーちゃん、ほらハンカチ」

「ありがとっす……プリン取ってくる……」

 少女はハンカチを受け取り、ぐすぐすと来た道を戻ってゆく。

 残された少年達はもう一度顔を見合わせ、黒服の少年も花壇の縁に腰を掛けた。

「何であいつが一番泣いてんの?」

「お前は泣かなさすぎ」

「そうか?」

 会話が途切れ、沈黙が流れる。庭に並んだ白と黒の装飾が風に揺れる様をじっと見詰める。

 フードの少年からカチャリと音がし、隣に座った少年は一瞥の後再び装飾に目を戻す。

「ケータイ、よく見てるな」

「……」

「プリン、食べていいっていつ……」

「なぁ」

 黒服の少年の言葉を遮るように携帯電話を見下ろし、フードを目深に下ろし、言葉を切る。


「姉さんは何で死んだと思う?」


「え……?」

 唐突な問いに、少年はきょとんとする。今日の葬儀はその彼の姉のものだが、事故で亡くなったと聞いていた。

「雨に濡れたホームで滑って線路に落ちたって聞いたけど……」

「ん」

 言いにくそうに言い切った少年の顔の前に、先程から眺めていた携帯電話の画面を突き出す。画面には受信したメールが表示されていた。日付と時刻、メールの内容を見て、黒服の少年は目を見開いた。

「これ……お姉さんが亡くなる直前……」

「うん。『もう疲れた。ごめんね』だって。これが来た時は何を言ってるのかわからなかったから、『冷蔵庫のプリン食べていいよ』って言われても、食べなかった。これ、事故なのか? 俺は、自殺だと思う」

 警察や周りの人達、目撃者も皆、携帯電話を見ていてホームから滑り落ちた事故だと言っている。彼女の持っていた端末は彼女と共に電車に轢かれ原形を留めておらず、内容を確認することはできなかった。この内容を見れば、これが遺書だと、自殺だったと、証明されるのではないだろうか。

「それ、警察に見せた方がいいんじゃ」

「考えたけど、面倒臭いし、どうせ事故の方がいいだろ」

「面倒臭いって……」

「父さんも母さんもどうせ面子があるからって事故で良かったって思ってるよ。自殺だったら親として責任あるじゃん。理由は何であれ。父さんの病院としても母さんの会社としても、事故の方が都合いいよ。同情もされるし」

「お前な……」

 あまりの言い草に少年は窘めようかと口を開きかけるが、それを察しでもしたのかフードの少年はぱちんと端末を閉じ、少年の胸座を掴んだ。

(いつき)に何がわかる? この家に生まれてない斎には何もわからない。わかれとは言わない。でも、知ったようなことは言うな」

「っ……」

 少年は瞬きもできず、見詰め返すことしかできなかった。

 フードの少年は手に力を籠めた後、少年から手を離し座り直した。

「このこと、千佳には言うなよ」

「……わかった」

 頷くしか、できなかった。

「それと」

 フードの少年は服の裾を少し捲り、脇腹を晒す。そこには、生々しい傷跡があった。

「こういうことになるから、お前も何も口出しすんなよ」

 誰にやられたのか、というのは、聞かずとも察することができた。どういう環境で彼が育ってきたのか、それは知っている。だが、実際にやられている現場を見たことはないため、想像するしかできなかった。

「俺も……死ねばいいのかな。それとも、殺せばいいのかな」

 目を伏せ、フードの少年は昏い目をして言った。鬱屈した毎日を諦めるように。

 小学生の彼には、その言葉はあまりにも重かった。下手な言葉は返せない。

「死ぬのは……悲しい。ちーちゃんも大泣きする」

「そうか」

 気まずい空気が流れると、それを吹き飛ばすように少女が駆けて戻ってきた。

「さっちゃん! いっちゃん! プリン三個セットのやつだったっす! 皆で食べるっすか?」

「あ……うん」

「食う」

 プリンを一つずつ、プラスチックのスプーンと共に配ると、少女も花壇の縁に腰掛けた。

「二人は何話してたの?」

 鋭く切り込んできた少女の言葉に、プリンの蓋を捲りながらフードの少年は何でもない風に答える。

「明日の算数のテストのこと」

 そんな話は微塵もしていなかったが、さらっと言った少年の言葉を少女は信じ、あわあわと手をばたつかせた。

「あーっ! 忘れてたっす! どんな悲しいことがあっても現実は無慈悲っす……地球は回るっす……」

「何だそれ」

「頭の良いさっちゃんといっちゃんにはわからない苦労があるんすよ」

「千佳アホだもんな」

「アホ言うなー! アホって言う方がアホなんすよ~知らなかったんすか~?」

 プリンを頬張りながら言い合う少女とフードの少年を見ていると、無慈悲でもまだ笑うことはできるのだろうと、黒服の少年は思った。

 そうして一口食べたプリンは甘かったが、少ししょっぱかった。




  【第一章 『連』】


「……は? 東京?」

 賑やかな教室でフードに隠れて机に貼り付いていた宰緒(さくお)は怪訝な顔を上げる。一つ前の席に座る友人の言葉に、あからさまに眉を顰めた。

雪哉(ゆきや)さんが前に、遊びに行こうって言ってただろ? 退院祝いに」

 宰緒は露骨に嫌そうな顔をする。友人――青羽(あおば)ルナは緑眼を困ったように瞬く。

「冬休みはイタリアの青羽ん家に行くから忙しいだろ」

「それが、まだ家の修理中だから冬休みは行けないってさ」

「早く直せよ……」

「それに、東京は冬休みじゃなくて、休みが終わってからだってさ」

「はぁ? 学校は?」

「東京の大学で入試受けるから、全員学校休めばいいって言ってた。でも入試は土日だから、休むのはその前後だな」

「はあぁ!? 一人で行けよ! 子供かよ! 誰が行くかよ東京なんっ……てっ!?」

 最後まで言えず頭上に鈍い衝撃が走った。宰緒は頭を押さえ机に突っ伏す。

「え? 誰が子供だって?」

 その背後には、分厚い辞書を掲げた少年――一つ上の学年であり生徒会長でもある――いや元生徒会長か、役目を終えた玉城(たまき)雪哉が笑顔で立っていた。

「宰緒は東京出身だっけ? 丁度良いじゃん。案内してくれ」

「ガキかよ。青羽だけ連れて行け」

 頭を押さえながら雪哉を睨め上げる。二人の遣り取りを心配そうに見守るルナ。

 雪哉は目を細め、天井を見上げた。

「俺が東京に行くって言ったら、花菜(かな)が行ってみたいな~って言ったんだよ……皆で行ったら楽しいだろうな~って言ったんだよ……だから行こう」

 この生徒からの信頼も厚く頭脳も申し分ない元生徒会長は、妹のこととなると途端に箍が外れる。

「玉城ぃ、こいつ黙らせろ」

 その彼の妹は宰緒とルナと同じクラス、つまりこの教室にいる。突然の呼び声に雪哉の妹――花菜がびくりと「はいっ!?」と手を上げて振り向き一歩踏み出し、机の脚にでも引っ掛かったのか派手に転んだ。

「花菜――!? お前、花菜に何してんだ!」

 ただ呼んだだけなのだが、宰緒はまた辞書で頭を小突かれた。理不尽だ。

 バタバタと花菜に駆け寄る雪哉を視界の隅に、宰緒は一つ溜息。

「サクは東京に友達とかいないのか?」

「あ? 青羽もあいつの味方かよ?」

「そうじゃなくて、元々東京に住んでたんだし、会いたい人とかいないのかなって」

「会いたい人……」

 宰緒はゆっくりと目を伏せ、こつんと机に伏せた。

「いない」

「ふぅん……」

 何か事情があるのか眠いのかはわからないが、あまり詮索するものでもないかと、ルナはそれ以上尋ねなかった。

 騒がしかった雪哉も花菜を起こすと、休憩時間終了を告げるチャイムを耳に、忙しなく教室を出ていった。



 それから間もなく冬休みに入り、畸形違界人の奇襲があったとは思えないほど何となく何もない日々を過ごし、冬休みが終わった始業式の日、宰緒は唐突に言った。

「やっぱり東京に行ってやってもいい」

 どういう風の吹き回しか、あれほど嫌がっていた東京行きをすんなりと呑んできた。何の前触れもなく切り出されたルナは、すぐに呑み込めずきょとんとしたが、宰緒が行くと言うなら、雪哉も喜ぶだろう。

「わかった。じゃあ雪哉さんに言っとく」

「その代わり、行きたい所があるから勝手に抜けるけどな」

「えっ……それは……まあ、雪哉さんも入試が目的だし、フリータイムはあると思うけど」

「修学旅行かよ」

 呆れたように目を細める。

 ルナは少し考え、思いついたことを言ってみる。

「友達?」

 宰緒は少し目を見開くが、すぐに平静になる。

「違ぇよ。強いて言うなら、家族」

「家に帰るのか?」

「ばーか。誰があんな家に帰るかよ。ふざけんな、胸糞悪い」

 吐き捨てるように言う。でも、今日はよく喋る。ルナはそう思った。東京で何があったのかルナは知らないが、気が変わって『行く』と言い出すくらいのことはあったようだ。それが良いことなのか悪いことなのか、この時のルナには知る由もなかった。


     * * *


 飛行機のチケットや宿は任せろと言われたので雪哉に全てを任せ、その他の必要な荷物を詰めた大きな鞄を手に、ルナは玄関で母親に力強く抱き締められていた。

「ルナ、お守りは持った? 知らない人について行っちゃ駄目よ? 目をつけられても気を強く持つのよ? ああ……ルナが一人で旅行なんて心配……」

 ぎゅうぎゅうとルナを抱く母の後ろで、父はけらけらと笑う。

「ハハ、母さんは心配性だな。ルナは強い子だ。な? それに、一人じゃないよ。友達も一緒だ。楽しんでこい」

「うん……ちょっと苦しい……」

 母は結構、力が強い。

「ありゃ? ごめんね!? 痛かった? でも私、心配で……」

 言いかけて、ぶんぶんと首を振る。

「ルナ、自分が良かれと思ったことをするのよ? 母さんはいつでも、ルナの味方だから」

「? ……うん、ありがと」

 言葉の真意が掴めなかったが、ルナを思っての言葉だということはわかったので、頷いた。ルナと同じ緑色の優しい双眸が微笑みかける。

「だから母さんも、自分が良かれと思ったことをするわ!」

「わっ」

 母はルナの頬に軽く口付け、笑顔で見送った。挨拶だということはわかっているが、少し照れ臭かった。



 待ち合わせ場所としていた空港に着くと、既に雪哉と花菜、宰緒――そして違界人の(しい)灰音(はいね)が待っていた。椎と灰音は普段の格好だと目立つのでコートを着ているが、誰が気を利かせて用意したのだろうか。コートを着たところで椎の薄紫色の長い髪は依然目立つが。

「ルナー!」

 飛びついてきた椎を受け止めながら、ルナは目を瞬く。

「何で椎と灰音も?」

 その疑問に雪哉が答える。

「花菜が紅一点になるだろうが。クラスの友達は学校があるからって断ってきたらしいからな。皆普通の人で困った。でも女の子一人じゃ心配だからな、学校なんて関係ない二人を呼んだ」

「俺達が普通の人じゃないみたいじゃないですか」

「ああ、そうだな」

 肯定された。

「それより遅かったじゃねーか。宰緒が一番最後だと思ったのに」

「母さんがなかなか離してくれなくて……」

「はは、何だそれ。今生の暇乞いでもないのに。ま、愛されてるようで何よりだ。よし、行くぞお前らー」

 雪哉の号令と共にそれぞれ大きな荷物を手に、搭乗口を目指した。



 椎と灰音に関しては頭のヘッドセットや首輪が金属探知機に反応されるのではと思われたが、違界の技術なのか全くの無反応ですんなりと搭乗できた。

 飛行機に乗り込んだ一行は、横一列に指定の席に座る。

「なんと花菜は、初めての飛行機でーす」

「です」

 雪哉にベルトを留めてもらいながら、緊張で強張った顔で花菜はピースを向けた。

「俺は飛行機乗ったことありまーす」

 雪哉もピースを作る。

「テンションうぜぇ」

 吐き捨てた宰緒の頬に雪哉のピースが突き立った。

「おい、席替われ青羽」

 通路を挟んだ向こう側の席に座っているルナに宰緒はじっとりとした目を向けるが「もうすぐ離陸するから」と拒否された。

「はいはい! 私も飛行機乗るの初めっぶっ」

「しーっ!」

 窓際に座る椎が元気よく発言し出したので、ルナは慌てて口を塞いだ。口元に人差し指を当て、首を振る。

「飛行機に乗ったことないなんて言ったら、どうやってイタリアから来たんだって怪しまれる!」

 雪哉は多少事情を知っているが、花菜は何も知らない。椎と灰音がこの世界ではない別の世界、違界から来たなどと言うわけにはいかない。これ以上誰も連鎖に巻き込みたくないし、雪哉も花菜を巻き込みたくないと思っている。

 口を塞がれながら椎はこくこくと頷く。わかってくれたようだ。二人の真ん中に座る灰音が、腕を伸ばすルナに猛獣のような睨みを利かせているが、これは言っておかねばならないとルナは思い切った。そして目一杯頭を叩かれた。

「やっぱ俺この席でいいわ。おやすみ」

 そう言うと宰緒はすぐに目を閉じた。寝れば構われないと思ったのか。

 飛行機が滑走路を滑り離陸すると、椎と花菜から同時に「飛んだー!」と声が上がった。椎は楽しそうに窓の外を眺め、花菜はあわあわと隣の雪哉の服を掴むという差はあったが、飛行機が飛んだことによる感動は同じのようだ。絶叫系の乗り物も苦手な花菜は恐怖も相当のようで「大丈夫だぞ、花菜。落ちる時は兄ちゃんも一緒だからな」という無自覚な雪哉の言葉がおそらくトドメだっただろう。花菜が落ち着いたのは、安定した飛行に入り、ベルトを外せるようになってからだった。

「ふわぁ、凄いね! 空を飛んでる……鳥みたい」

 椎は離陸からずっと窓に張りつき、何処までも続く青空と下に広がる白雲の境界線に感嘆の声を上げる。

「ねぇ、ここから出ちゃ駄目かな? 風を感じたい」

「だっ、駄目っ!」

 違界の力で、椎なら本当に外に出かねない。窓を刳り抜くとか割るとか……。ルナは慌てて制止した。

 椎はしゅんとして振り向く。

「駄目?」

「駄目。絶対、駄目。いいか? この飛行機はこれが完成形で、このどれも欠けちゃいけない。形を変えちゃいけない。壊しちゃ駄目だからな? 危ないから」

「わかった……」

 渋々だが、承諾してくれた。ルナはほっと胸を撫で下ろす。寿命が縮みそうだ。

「あ、そうだ。何か飲むか? ジュースとかあるよ」

 飲食物のワゴン販売を指す。向こう側で同じように雪哉が花菜のために飲み物を貰っている。

「あっ、お金!」

 興味を示した椎は財布を取り出し、差し出す。

「これは今お金はいらないんだよ、椎」

 微笑ましく思っていると、灰音も腕を組みながら要求してきた。

「無料なら貰おう」

 キリリと真剣な顔で言うことではない。

「じゃあ何飲む?」

「んー……わかんないから、花菜と同じの!」

「私もわからないから、それで」

「わかった。林檎ジュースな」

 とりあえず窓の外から意識を逸らせてよかった。



 飛行機の旅は順調に何事もなく、無事に東京の空港に着いた。窓から見える景色に、海の色が違うやら建物が違うやらとはしゃいでいた花菜は、着陸の瞬間にまた雪哉の腕をガタガタと掴んでいた。

 飛行機から出て通路を歩き外に出ると、椎と灰音以外の一行は口を揃えて言った。

「寒い」

 コートは着たが、冬の沖縄と東京では気温が違いすぎる。椎と灰音は違界の技術で温度差もあまり感じないのだろう。

「よし花菜、マフラーを巻いてやろう」

「兄ちゃん……こんな寒いの初めて……」

 預けた荷物を待ちながらかたかた震える花菜にマフラーを巻き、雪哉はルナ達を振り返る。

「花菜が凍死するといけない。何か温かいものを買おう」

 ルナと宰緒はこの寒さは初体験ではないが、やはり温度差が身に染みる。

「雪哉さん、何処か店に入れば暖かいと思いますよ」

「それだ。そうしよう」

「面倒くせぇ。さっさと荷物置いて自由行動にしようぜ」

「宰緒は東京に住んでたから慣れちまってんだろ。花菜は沖縄から出たことないからな」

「ふぅん」

 レーンに流れてきた大きな鞄を椎と灰音以外がそれぞれ持ち、雪哉は手書きのメモを広げる。どうやら東京滞在中の宿泊場所の住所らしい。

「まず何処か店に入って花菜を暖めるとして、お前ら何処か行きたい所ある?」

「私のためにだけなら、お店に入らなくていいよぅ、大丈夫だよ。私は動物園行きたい」

「じゃあ上野に行くか」

 花菜の希望しか聞かないらしい。

「今更行きたい所なんかねぇからさっさと荷物置きたい」

「俺も東京は何があるかよく知らないな……タワーとか?」

 宰緒とルナも口々に言うが、雪哉は聞いていない。

「ま、でかい荷物持ち歩くのも大変だからな。先に荷物置くか」

「電車の乗り方わかるんですか?」

 何気なく質問したルナだったが、その場の全員がきょとんとして雪哉を見た。皆の視線を浴び、今度は雪哉がきょとんとする。

「え……? 俺今、馬鹿にされたのか?」

 目を流し、口元に手を遣る。

 そんなつもりは毛頭なかったので、ルナは慌てて首を振り訂正した。

「あ、いや、東京の電車は複雑だって聞いたので……」

「まあ那覇は一本だもんな、電車……ってかモノレール。ルナの住んでた……イタリアの何処だっけ、南の方だっけ? そこには電車あんのか?」

「少し距離はあるけど……あります」

「乗ったことは?」

「移動は車が多かったので……でも一応乗ったことはあります」

「へぇ。じゃあ俺もそのくらい」

 にこりと笑われ、ルナはたじろぐ。電車にあまり乗ったことがないのはどちらも同じ、と言いたいらしい。

「どうでもいいからホテル、早く」

 喋るより足を動かせと言わんばかりに急かす宰緒。花菜もその場で足踏みし寒さを堪えている。無駄口を叩いているわけにはいかない。雪哉は気持ちを切り換え、こほんと一つ咳払いをした。

「ホテルには行かない」

「は?」

「ホテルは取ってない」

「は……?」

 東京旅行は完全に雪哉に任せきりで、他の者は何も関与していない。だが何泊も東京に滞在するのだから、当然ホテルを確保しているものだと思っていた。この時期に外で夜を過ごすのなら凍えてしまう。

「い……今からホテルを取るんですか?」

「ん? いや、そうじゃなくて。兄貴の家に泊まる」

「兄貴?」

「あー、宰緒は知らないか。俺と花菜の兄貴だよ。こっちに住んでるんだ。ホテル代タダだぞ」

「わーい、(みのる)兄ちゃんに会うの久しぶりだぁ」

 花菜が両手を上げバンザイをすると、雪哉は両手を当てハイタッチの形になった。

「こんな大人数で行っても大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃね? それより椎と灰音を捕まえてこいよ? そろそろ行くぞ」

「え? ……あっ」

 言われて初めて、椎と灰音が忽然と姿を消していることに気がついた。道理で静かだと思った。

「向こうの売店に行ってたから連れてこい」

「すっ、すぐ連れてきます!」

 荷物を置き、ルナは足早に売店に向かった。物珍しいのはわかるが、目を離すとすぐに何処かに行ってしまうのはやめていただきたい。と思う。

 慌てて連れ戻しに行くルナの背を一瞥し、残された宰緒は何とはなしにぽつりと雪哉に質問をぶつける。

「兄貴って、お前みたいにシスコンなの?」

「先輩にお前って言うのもどうかと思うけど、シスコンと思われてたとは心外だな」

「どう見てもシスコンだろ……」

「どう見てもただ妹を可愛がってるお兄ちゃんだろ」

「……面倒くせぇから言い返さねぇけど、兄貴の方もソレなの?」

「ん……どうかな。兄貴から見れば俺も弟だから」

「やばそうな兄貴だな」

「おい何を想像した?」

「別に――、っ!」

 だらだらと会話をしている途中で宰緒の目が見開かれた。視線の先は雪哉ではない。その後ろに向けられている。雪哉は怪訝に思いながら視線を辿り振り向くと、長い黒髪に黒い学生服の少女が立っていた。整った綺麗な顔立ちに、寒いのに上着も纏っていない少女に、周囲の視線もちらほらと向けられる。

「いつの間に……。えっと、確か」

結理(ゆうり)!!」

 宰緒はすぐさま雪哉の陰に隠れるが、大きな体は隠れきれず食み出ている。

 少女は、畸形騒動の際に世話になった梛原(なぎはら)結理だった。何故こんな所にいるのか。学生は学校があるはずだ。自分達のことは棚に上げるが。

 結理は不敵に微笑む。

「ごきげんよう。遅くなってごめんなさいね? 青羽君は――あ、あそこね」

 こちらに向かってくるルナを見つけ、すぐさま足早に向かうが、結理の姿に気づくとルナも宰緒のようにびくりと体を跳ねさせ、困惑した顔を見せる。助けを求めているのか宰緒と目が合うが、何もできない。代わりに灰音が睨みを利かせている。

「……連絡でもしたのか?」

 雪哉はまだ背後に隠れている宰緒に問うが、彼は「はぁ?」と眉を寄せるだけだった。

「するわけねーだろ……」

 あの様子ではルナも連絡していないだろう。一体何処で嗅ぎつけてきたのか。

 しばらくはびくびくとしていたが漸く落ち着いたらしく、ルナ達は結理を先頭に戻ってくる。

 宰緒は雪哉の後ろで警戒しながら口を開く。

「何しに来たんだよ。つか何でここに来るって知ってんだよ」

「何しに? 愚問ね。青羽君がわざわざ綺麗な目を届けに来てくれたのよ? お迎えしないわけにはいかないでしょう? 私の情報網を舐めないでもらいたいわ」

 おそらく未夜あたりにでも調べさせていたのだろう。

 結理の言葉にルナはぶんぶんと首を振るが、彼女は意に介さない。

「ふふ……いいのよ、今更照れなくても。あなたの綺麗な目は私がちゃんと可愛がってあげる……委ねてちょうだい」

「ちっ、違っ……俺は目を渡すためにここに来たんじゃない! 目は渡さない!」

「あら……相変わらず綺麗な目ね……」

 聞いているのかいないのか、結理はうっとりとルナの双眸を覗き込む。

「じゃあ何のために来たのかしら?」

 一応聞いてはいるようだ。

「旅行です……」

「旅行……?」

 結理はきょとんとした後ゆっくりと宰緒に目を遣る。

「彼も?」

「え? あ、ああ……サクも、です……」

「まあ……本当に来るとは思わなかったわ。やっぱり気になるのかしら」


「そんなんじゃねぇよ!」


 意味深な結理の発言に、雪哉の背後から飛び出した宰緒は唇を噛んで叫んだ。周囲にいた人々は突然の大声に驚き、何事かと奇異な目を宰緒に向ける。一番近くにいたルナ達もびくりと身を強張らせた。

 二人の話が読めないが、畸形騒動の時に何かあったのだろうか。

「胸糞悪ィ。行くぞ、早く連れてけ」

「お、おう、何かわかんねーけど、じゃあ」

 薄く笑む結理に軽く頭を下げ、周囲の目もあるしと雪哉は皆を連れその場を離れた。結理はついてくるのかこないのかその場から動かないが、黙って見送ってさようならということはないだろう。

 結理はルナ達の姿が見えなくなるまで、楽しそうに彼らを眺めていた。

 彼女のことは気になるが、追ってはこないようなので一旦は気持ちを切り換え、雪哉の案内で一行は荷物を手に駅の人混みを進み住宅街を歩き、ごく普通のマンションの前にやってきた。路線図と地図を頼りに進んだが雪哉は方向感覚も優れているらしく、迷うことは一度もなかった。

 エレベーターを使い目的の階まで行き、一番奥のインターホンを鳴らす。

「今日平日なのに、お兄さんいるんですか?」

「ん? あいつ今日休み。のはず」

 がちゃがちゃと鍵とチェーンを外す音がし、ゆっくりと様子を窺うようにドアが開いた。

「稔兄ちゃん!」

 久しぶりに見る兄の顔を捉え、花菜は目をキラキラとさせた。

 呼ばれた当人はきょとんと目を瞬いた後「ん?」と小首を傾ぐ。宰緒ほどではないが、背が高い。

「雪哉は聞いていたけど……花菜も? あと、そちらの方達は? 青羽君はわかるんだけど」

 今度はルナ達がきょとんとする番だった。どうやら話を通していないらしい……? 全員で雪哉を見ると、彼は悪戯っ子のように笑った。

「全員泊まらせろ」

「えーと……」

 これには稔もたじろぐ。

「一、二……全員で六人? さすがに六人はちょっと……布団も足りないし」

「えっ」

「え、じゃないよ、雪哉。どうするの? 先に言ってくれればまだしも」

「お前ん家広いって言ってたじゃん」

「一人で住むには多少ね。雪哉は頭良いのに無茶をする……まあ座る所はあるから、ここは寒いし皆、中に入って」

 前途多難そうではあるが、寒い所に突っ立っているのも辛い。お言葉に甘えて部屋の中に入れてもらうことにした。

「わー! 稔兄ちゃん家初めて!」

 部屋の中は綺麗に片付けられていて飾り気もなくシンプルだった。

「暖かい……」

「炬燵だ」

 ばたばたと部屋に上がり各々小さな炬燵に足を突っ込む。初めて見る炬燵に椎と灰音は不思議そうな顔をし、椎は思い切って先人達に倣い、ルナの隣に座って足を突っ込んだ。灰音は警戒して一歩下がった所で腰を下ろした。

「ふわわ、暖か……」

「温度調節して寒さを感じてないと思ってたんだけど、寒かったのか?」

「完全に適温に設定すると燃えててもあんまり感じなくて危険だから、違界でも少し温度を弄る程度に留めてるからね。ルナ達よりは寒くないってくらいかな?」

「そうなのか……言ってくれればマフラー貸したのに」

「それじゃルナが寒いから駄目だよ」

 違界を知らない花菜と稔には聞こえないよう小声で話す。もし聞こえてしまった場合は雪哉がフォローしてくれるだろうが、後で叱られるだろう。

「皆、紅茶でいいかな?」

 台所から顔を出した稔の手には既に盆が握られており、人数分のカップに紅茶が注がれていた。

「もう淹れてしまったんだけど……雪哉と花菜はいつも紅茶だから、つい癖で」

 申し訳なさそうに言う稔に、椎と灰音はきょとんと、紅茶って何だっけ? とこそこそ耳に囁くので、代表してルナが「大丈夫です」と言っておく。宰緒も苦いものは苦手なので異論はないはずだ。

 カップをそれぞれの前に置き、ミルクとスティックシュガーの入った器を置く。椎と灰音はカップを持ち匂いを嗅いだり揺らしたりと紅茶の様子を窺うが、残りの四人は一斉にスティックシュガーに手を伸ばした。

「皆砂糖を入れるタイプかぁ」

 ミルクも砂糖も入れずストレートティーを啜る稔に、四人の奇異な目が向けられた。その視線を稔はさらりと受け流す。

「青羽君は金平糖入れるんだよね?」

「えっ?」

 スティックシュガーを取ろうとしたルナの手が止まる。稔とは少し顔を合わせたことがある程度で、彼の前で金平糖を出したことはないはずだ。

「ああ、雪哉と花菜から聞いたことがあって。苦いのが苦手なんだよね? 今日も持ってきてるの?」

 穏やかに微笑む稔に、どう返せばいいのだろうとぎこちない笑顔になってしまう。金平糖を期待されているのだろうか。

 伸ばした手を戻し、鞄の中から小さな瓶を取り出す。じゃらりと色取り取りの金平糖が入った小瓶。実はちゃんと持ってきている。

 蓋を開け紅茶にちゃぽちゃぽと金平糖を放り込んで混ぜる。物珍しそうと言うか何と言うか、微笑ましく見守られると居心地が悪い。ルナは自分の緑の目の所為で、他人の視線に敏感になっている。悪気や他意がないのはわかるが、やはり気になってしまう。

「それで、青羽君達はどうする? 布団の予備があまりなくてね、二人しか泊めてあげられないんだけど。雪哉は先に連絡受けてるから泊めてあげたいんだけど、そうなると花菜も泊めてあげたいし。何処か当てはあるかな? ないならホテルを探すのを手伝って――」

「いい」

 親切に気を利かせてくれた稔の言葉を遮ったのは宰緒だった。

「えっと、彼は……」

久慈道(くじみち)宰緒。花菜のクラスメイト。宰緒はこっちに住んでたことがあるんだよ」

「ああ、それなら当てがあるのかな? よかった」

 雪哉が説明すると、稔は柔和に微笑んだ。

 顔は見たことはあっても話すのはこれが初めてであるルナと、初対面の宰緒は、同じ兄でも雪哉とは随分と違う兄だな、と稔に目を遣る。何と言うか、雪哉とは違っておとなしいと言うかおっとりとした印象がある。花菜とも性格が違うようだ。

 宰緒はルナの服の裾を引き、目でドアを指す。無言で訴えてくる宰緒にルナも小さく頷いた。

「それじゃあ、俺達はそろそろ行きます」

 立ち上がりながら、紅茶をじっと見詰めていた椎と灰音も促す。

 宰緒は急いでいるのか足早にドアに向かい、ルナも続こうとしたが、慌てた声に呼び止められた。

「あっ、あー! ルナ!」

「? 何ですか? 雪哉さん」

「連絡先! 何かあったら言えよ」

 小さな紙切れを手渡され、一歩戻って受け取る。

「雪哉さんの携帯番号ですか?」

「そ、俺の。宰緒がいるから大丈夫だとは思うけど、迷子になるなよ?」

「う……」

「埋め合わせはするから! 何か……メシでも奢ってやる!」

 ぐっ、と親指を立てられ、ルナは苦笑。

「じゃあ期待せずに待ってます」

「しろよ! 期待! じゃ、また後でな」

 玉城兄妹に手を振られながら、ルナ達は荷物を手に部屋を後にした。

 マンションを出ると、待ち伏せでもしていたのか、梛原結理が腕を組み仁王立ちで佇んでいた。

「ストーカーかよ……」

 呆れた顔で溜息と共に吐き出した宰緒に見向きもせず、結理はルナに歩み寄る。

「ストーカーじゃないわ」

「そう言われても……」

「観光案内でもしてあげようかと思って」

「あ……いや……サクがいるし、その点は間に合ってると言うか……さ、サク、早く泊まる所に」

 一歩二歩と後退り、宰緒に眴せすると、想定外の言葉が返ってきた。

「泊まる所なんて考えてねぇけど」

「え!? だ、だって、さっき……」

「あそこに長居したくなかったから出てきただけだけど」

「え……じゃあ、夜はどうするんだ?」

「さあ……ネカフェとか?」

「え? ごめん、それ何かわからない……」

「ネットカフェ知らねーのかよ……」

 雲行きが怪しくなってきた。宰緒を信じて部屋を出たが、早くも雪哉にヘルプの電話を掛けたくなった。

 すると二人の間を割って、ご機嫌な結理が提案してきた。

「夜を明かす場所がないのなら、私の家に泊まるといいわ。無駄に徒広いから、十人や二十人泊まっても問題ないし遠慮はいらないわ」

 十人や二十人で押し掛けはしないが、それだけの人数を物ともしないのなら、余程広い屋敷にでも住んでいるのだろう。謎が多い結理だが、宿という点では申し分ないのかもしれない。だが謎が多い上にルナの双眸が狙われているとなれば、おちおちと彼女の根城に赴くわけにはいかない。眠っている間に両眼を失う危険性も充分に考えられる。危険だ。それに椎と灰音のこともある。先の畸形騒動で同時に起こった未夜(みや)の件。治安維持を名目に、イタリアでの一件を調べていた未夜。そのことが結理の耳にも入っているかもしれない。同じ治安維持コミュニティに属しているのなら、同じ目的を持っているはずだ。イタリアでの一件に椎達が関与していると知っていれば、何をされるか――。

 こくりと唾を呑んでいると、宰緒が先に口を開いた。

「お前の家には泊まらねぇ。行くぞ、青羽」

「あ、ああ、うん」

 ふいとそっぽを向き歩き出した宰緒の後を慌てて追い、その後ろに慌てて椎がつき、灰音も結理に一瞥をくれ後につく。

「あら、泊まる所もないのに、違界人の二人も連れて行くの? 見た所違界から来て日が浅そうだけれど、大丈夫かしら? 迷惑にならないかしら? その点、私の家に泊まると安心よ? 私も違界の仲間だもの」

 確かに、こちらの世界のことをまだよく知らない椎と灰音を連れ歩くのは大変だ。目を離すとすぐ何処かに行くし。一瞬心が揺れるが、ルナはぎゅっと口を噤んだ。が、代わりに宰緒が口を開いた。

「じゃあ椎と灰音だけ結理の家に泊まれ」

「え?」

 当てが外れたのか、珍しく結理がきょとんとする。ルナも一緒に引き摺り込めれば、とでも考えていたのだろう。

「ちょ、サク!?」

「貸しを作っとくのも悪くねぇだろ? 椎と灰音に何かしたら青羽の目は手に入れらんねぇかもだけど」

「……まあ、取引きかしら? 確かに貸しを作るのは悪くないけれど、あまり私に利点はなさそうよね?」

「お前のことだ、どうせ青羽の携帯番号も知ってんだろ? その二人に何か問題があれば連絡してこい」

「物凄く一方的に二人を押し付けられた気がするんだけれど……でもまあいいわ、久しぶりの東京だものね。あなたが大した理由もなくこっちに戻ってくるなんてないだろうし、貸しにしておいてあげる。あなたのお家にも黙っておいてあげるわ。この際だからたくさん貸しを作っておきましょう」

「じゃあ任せた」

「わかったわ、後でまた連絡するわね、青羽君」

 不敵に微笑まれ、ルナにぞくりと寒気が走った。

 勝手に話を進められてしまった椎と灰音は、思わぬ所に放り込まれることになってしまった。

 椎は頭の中で反芻した後状況を呑み込み、眉根を下げ困惑する。

「結理の家に行くの……? ルナは? ルナは一緒じゃないの?」

 母親から引き離される子供のような顔で見詰められ、ルナも対応に困る。

「すぐ……迎えに行くから……な?」

「ルナと一緒って言うから来たのに!」

「ごめん……」

「っ……すぐ、迎えに来る?」

 困惑の顔を伏せるルナに、椎もそれ以上は言えなかった。ルナは悪くないのだ、違界から来た自分達にルナも困っているのだ、と自分に言い聞かせる。

「うん……何かあったら、梛原さんに言って……」

 ちらりと結理を一瞥すると、小さく頷いてくれた。目の問題がなければ、結理は良い人なのだが……。

「じゃあ、また後でね! ルナ!」

「うん、また後で」

 ぶんぶんと手を振る椎に手を振り返し、ルナと宰緒は背を向け歩き出した。――目的地もなく。


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