プロローグのはず
⋯死んだのか。これ…体が動かない…
辺りは目が痛くなるほどの白だ。何も無い。
ただその場で思考することだけが許されている。
なぜ死んだのか。ここはどこなのか。自分は誰なのか。
疑問が浮かぶが感覚も無いものだから口にすら出せない。
魂だけが残ったと言った方がいいだろうか身体が無いことは分かる。
怖い…
無いはずの体に恐怖の震えを憶える。
「またせたね。飯田 大輝君?だね。」
ふと声を聴いて我に返る。中性的で神秘を感じる声が響いた。
例えるなら女神だろう。落ち着く声だ。
それと俺の名前は飯田 大輝と言うらしい。
記憶は無いが自分の一部だと理解した。
いわばからっぽなのだろうね。
今は名前だけが生前の記憶となっている。
「突然だけどね…こちらの間違いで消える命ではない君を殺した…本当にすまない」
考えていると物騒なことが聞こえた。死?
急にそんなことを言われて焦る。が、理解するより怒りが先行した
自分が誰かさえ分からないのに…怒っていた。
俺を指して言ったのだろう
そんな…理由で…?
なんで俺が?なんで間違いで?なんでなんでなんで…
混乱する。
記憶は無いのに飯田 大輝として怒っている。
怒る理由など残っていないのに…死んだであろう体で成したいことが有ったのだろうか魂が反応した…
「…恨むなら恨んで欲しい…責任は全てこちらにある。…そこで君に提案があるんだ。聞いてくれないか。?」
高ぶる想いをまずは無い体で深呼吸(?)をして落ち着ける。
恨む…か。記憶も無く恨む理由など思い出せないのに反応したこっちが謝るべきだろう
記憶なんて残っちゃいないのに想いだけで咎めるなんて駄目だろう…
成せなかった事すら覚えていないのに。大人気ない…
…大人だっけ?
…まずは気持ちを抑え話を聞くことにした。消えた命だ。聞くしかあるまい。
「…!ありがとう…。続きを話そう!…望んでない死を与えたんだし生を与えなきゃね。」
「改めて、提案だけど異世界転生してみないかい?」
…え?
続きへ…