別次元干渉がしたい(恭夜の番外編)
今回は恭夜くんの番外編になります。
ここにぶっこんだ理由は内容的にここに入れないとタイミング的におかしくなりそうだからです。
…すでに時間軸がおかしくなってますが(;'∀')
というわけで本編関係なしのショートストーリーです!
かなり短いのでよかったら読んでみてください!
俺はずっと前に友人二人を含めた三人で別次元干渉をしてみたいと言う話をしたことがあった。
多加木の親戚の叔父さんがその別次元干渉体験者だと言うので、冒険話を聞きに行った時の事だ。
まだ中学の時。
『多加木の叔父さん、別次元干渉ってどんなだったの?』
面白半分で聞いてみた事である。
当時は中学一年で、まだまだ子供だったせいだろう。
多加木の叔父さん(素哉さん)は俺たちのわくわくした表情を見て話を盛っていたかもしれない。
でもその話は興味深いものだったと思う。
『仕方ないな、話してやる(笑)』
叔父さんは冒険物語を語り始めたんだ。
それは俺がまだ高校二年生の頃の事だ。
夏休みはとにかく暇で暇で仕方がなかった。
そんなある日、就職した先輩が車の免許を取ったと言う話を聞いて、皆で旅行に行くことにしたんだ。
まあ先輩も免許取ったばっかだったし近場のキャンプ場に行っただけだけどな。
んで皆でバーベキューして帰ったんだが、帰りにある学校の横を通った。
その時先輩が急に車を止めたんだ。
「ここ、俺が引っ越す前に行ってた学校なんだ」
そこは確か…今はもう更地になってたかマンションになってたかな。
で、先輩が何となく行きたそうだったから皆で忍び込むことにしたんだよ。
しばらくは皆で一緒に行動してたんだが、つまらなくなってきたもんでそれぞれで探検することにした。
俺はその時一人で校舎裏を見て回ってたんだ。
『それで!?どうなったの!?!?』
多加木は興味津々で先を促す。
叔父さんの話の前振りが長すぎて正直興味を失くしかけていた俺とは大違いだな。
しかし高校生とは心底羨ましいな。
早く大きくなりたい。
そんな独り言をしていると叔父さんは苦笑して続きを話した。
『そんでな、その学校にはちょっとした怪談話があったんだけどな……』
ある場所に行くと神隠しに合うらしい。実際そこで行方不明になった男の子が昔いたらしいのだが、今はどっかで元気に生きてるとかなんとか適当なことを言って、先輩は一人ずつで行ってみようぜ、と提案してきた。
「ジャンケンで決めるか!」
そんで決まったのがたまたま俺だったわけだ。
「んじゃ行ってこい!場所は体育館裏の倉庫のすぐ横にある井戸だ!すぐわかると思うぜ、そう遠くないしな(笑)」
先輩に背中を押されて、ほんとは少しビビってたんだが、まあどうにか勇気を振り絞っていったわけなんだが…。
その井戸にはもう一つ噂があったんだ。
それは次元の境目が現れるって言う噂。その境目に触れたものは異次元へと引きずり込まれるらしいという、にわかに信じ難い噂だったんだが。
『叔父さんな、その次元の境目らしきもん見つけちゃったんだよ(笑)』
『は?』
『え!?実際にあったの!?』
『ああ、本当さ。今はどうだか知らんが、確かにこの世のものとは思えないようなものを見た。境目と呼ぶのが一番しっくりくるものだった』
そして思わず俺はその境目に触れたわけだ。
それからしばらくはどうやら眠っていたらしい。ふと気が付くとそこは俺が境目のようなものを見つけた場所で、さっきまでと何ら変わりのない場所だった。
なんだ、噂はただのデマだったのかって落胆したんだが、如何せん納得がいかないというか、胸のあたりがざわざわしてな。
違和感とか不安とか何かがおかしいっていう思いがグルグルしていたんだ。
とにかく何もなかったと先輩たちに報告するために来た道を戻っていったのだが…。
「君、何してるの」
上から唐突に力強い女の子の声が聞こえてきて、思わず立ち止まって頭上を仰ぎ見た。
声の主はすぐに分かった。なんでかって?木の高いところに上ってこちらを見下ろしていたからさ。
「何って噂が本当かどうか検証しにきたのさ。そっちこそ何してんだよ」
ぶっきらぼうな口調なのは環境のせいだから仕方ないと思うも内心ひやひやしながら質問し返した。女の子はふっと自嘲気味に笑みを浮かべる。
「あんたみたいな迷い猫を追い返す仕事してんのよ」
「…はぁ?」
素っ頓狂な声をあげてしまったのは仕方がないと言えんだろ。だって迷い猫ってなんだよ、意味わかんねーってな。
ところが女の子は全く態度に変化がない。まるで事実だからこれ以上言うこともない、と言いたげな感じだった。
なんとなく不安だったから俺は噂のことを聞いてみた。
「なあ、次元の境目が現れるっていう噂、嘘だよな?あと神隠しとかなんとか…」
「事実だよ」
帰ってきた返事を聞いた時には耳を疑った。だってそんな非現実的なことが本当にあり得るとは思わないから。実際信じられなかった。けどな、彼女は言うんだ。
「現にあんたがここにいるじゃない」
「ここにいるって、さっきからずっと先輩たちといたぜ?何言ってんだ。そっちこそ急に現れたんじゃねーか」
するとどうだ?急に女の子は高笑いしだした。
「アハハッ何言ってんのよあんた!周りよく見てみなさいって、ここに初めて訪れた時ちゃんと見てたんならわかるから」
ンなこと言われても…と思いつつ辺りを見回したわけだ。当然決定的な違いが判らなかった。
ふと、女の子は真剣な表情になって俺に聞く。
「…本気で言ってんの?」
もちろん嘘はついてねーからな、もちろん頷き返す。
「はぁ~~~~~~~~」
盛大にため息をついたかと思えば、ぴょんっと木から飛び降りて俺の前に仁王立ち。
女の子の方が猫じゃんって思わずツッコミ入れそうになって慌てて口を押えたが、女の子は完全に無視して説教を始めた。
「こっちだって暇じゃないんだから…今度から心霊スポットとかに遊び半分で近づくんじゃないよ?実際に神隠しにあったりとか命を落としたりすることもあり得るんだから…etc」
くどくど言い続ける女の子は最後に「ま、聞きっこないだろうけどね」と言って諦めたように説教をやめると、ポケットから何か取り出した。
「ビー玉?」
「この中覗き込んで。…移ってる世界はあんたがいた場所で会ってる?」
そう言われてなんとなく中をじっと見つめると、だんだん先輩たちの姿が映し出されてきた。
確かに俺がさっきまでいた場所で、先輩たちも記憶通り。
少し違うのは俺のことを探しているように見えるとこだけ。
「間違いないと思う…けど、先輩たち何してんだろ」
俺の質問は当てもなく空中をさまよって消え、女の子はビー玉をしまった。
「まだ間に合いそうだし、このままいくよ。酔ったら自己責任だから。…それじゃあね、二度と来るな…よっ!!」
言いながら俺の両肩をつかむなり、女の子にしてはあり得ないほどの怪力で空中に投げ飛ばされて…。
「うわあああああああああ」
最後に見た女の子の意味ありげな笑みは俺にトラウマを植え付けた。ほんと怖かったよ…。
ドッシンッッ!!バサバサバサ…。
「いった…くねえ。…あれ?」
気が付いたら女の子はもういなくて、さっきと変わらない場所に居た。
つまりは井戸のすぐそば。
けどさっきと違って遠くから先輩たちが俺を読んでる声が聞こえるのと、あたりがなんだか薄暗くなっていた。
「げっ!?もう夕方かよ!」
慌てて俺は先輩たちのところに戻った。
『って話よ!』
そう話の幕を閉じた叔父さんはガハハハッと笑って俺らの頭をガシガシと乱暴に撫でた。
『キャハハッ!頭が揺れる~(笑)』
『ちょ、痛い痛い!!』
叔父さんは気が済むまで撫で続けた末に一言。
『結局な、先輩たちには言ったけど、信じてもらえなかったんだ』
『お前らも信じなくていいが、俺が言いたいのはな』
そこでいったん区切ると叔父さんは懐かしいと言いたげにどこか遠くを見つめながら言った。
『今を大切に生きろ。俺は、俺だけは信じたあの出来事みたいなことが必ず起こるとは限らんがな。何より時間を大切に、今を楽しむんだ』
そう言って俺たちの頭を再び、今度はまるで大切なものに触れるかのように優しく撫でた。
今でも思い出す。
あの日もしも叔父さんに会っていなかったら、俺はきっと今ほど『今』を大切に生きようなんて思わなかった。
そして栞を失ったあの日に死んでいただろう。
ただまあ、栞の死を受け入れられずに別次元に行くことばかりを考えているのだから、良くも悪くも影響を受けた。
あの後叔父さんは肺がんを患って亡くなったが、最後まで笑顔を絶やさないでいた。
だからまさか、栞によく似た雰囲気の黒川から、『源栞』という単語が出てくるなんて全く予想していなかった。
なんで、どうして、一体どういう関係なのか。
あまりに複雑すぎる感情の嵐に耐え切れず、聞くことができないまま病室を飛び出してしまった。
あの時の黒川の表情は似ても似つかない栞の顔と重なっていたのが恐ろしく感じる。
叔父さん、俺…どうやら今を大切にできるほど大人になれないみたいだ。
ただひたすら訳も分からず走り回って、気が付いたら家の前にへたり込んでいた。
多加木くんの叔父さんと恭夜くんのちょっとした昔ばなしでしたが、いかがだったでしょうか?
かなり端折っていたりしたのでそもそも物語として成立してないって思われてたらすみません。
しばらく書けていなかったせいでさらにダメダメになってしまったようでして…なんて言い訳はしませんが、とりあえず書ききれるように頑張ります。
次回こそちゃんと本編を投稿しますので、読んでくださっている方、もうしばらくお待ちください。
今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。




