炎陽 十
さて、前回はというと。
クラスの宣伝という口実で教室を追い出された私と恭夜くん。
どうせなら文化祭楽しもうという事で文化祭を回ろうとする。
向かった先は図書委員の出し物『古本市場』だった。
そこで本を大量に購入すると言う致命的なミスをする。
沈む恭夜くんを見てどうにかできないかと思い考える私はダメ元で行動に移すことに。
「宣伝、お願いできませんか?」
それは図書委員の人にギブアンドテイクという事で宣伝を頼み込むことだった。
図書委員は良くも悪くも冷たい感じの人が多いが、了承を得た。
交渉成立!!!
しかし喜ぶにはまだ早い。
仕事が増えたことに苦笑する私と嘆く恭夜くん。
今回は前回の続きで陽月目線であります。
※カオスが暴れます、ご注意ください。
《陽月目線》
現在クラスの出し物をしている教室の隅。
笑みを張り付けて無言で仕事をこなしていく私。
仕方がないと言い聞かせずにはいられないこの状況はどうしてくれよう。
「さっきから何を作ってるの?」
休憩に入ったらしいクラスメートの女子に声をかけられた。
まあ見た感じ最初の仕事にはなかったものだからね。
興味が湧くのもわかるので笑顔で答える。
「チラシ作りだよ」
一言でまとめてしまったがまあそのままの事である。
そのクラスメートはそれを聞いて大体わかったらしい。
「そっか~大変そうだね、手伝おうか?」
その子は名を未菜と言う。
なんて優しい人だろう!!!!
私は嬉しくなってテンションアゲアゲで、それでも確認する。
「え!?でも予定とかは?」
だって予定潰してまで頼めないし(笑)
未菜ちゃんは笑って答えてくれた。
「予定が皆とズレちゃって…暇だったんだ」
そう言うと私の隣に座りこんで笑顔を向けてきた。
ああ、天使が降臨した。
私はそう思った。
「私は何すればいいかな」
質問してくる未菜ちゃん。
私は感動で答えられない。
ーーああああああああああああ何で天使がああああああああああ!!!!ーー
内心嵐でしたので、仕事の割り振りは恭夜くんに丸投げです(笑)
私の様子をちらりと確認してから未菜ちゃんに用件のみを伝える恭夜くん。
「…これ、写してって」
差し出された見本の書かれた用紙と無地の用紙をいきなり渡された未菜ちゃんはちょっと困惑気味の様だった。
しかし私がここで声を出すと言葉にならない気がしたので口を抑えて様子を見守るのみ!
未菜ちゃんはぎこちない笑みを浮かべて恭夜くんに返事した。
「りょーかい」
…今チクリと胸を刺すような痛みを感じたが気にしないことにしよう。
恭夜くんは無言でうなずいて作業に戻った。
何だか前以上に話しかけずらいオーラを纏っている気がする。
ーー朝はあんな話しやすい雰囲気だったのにーー
そこで気付いた。
この人、緊張すると無口さんになるのか。
ーーなんか可愛い………ーー
ちょっぴり意味深なことを思った今日この頃でした。
結局チラシ作りはその後人数を増やしてその日一日行われ、明日に備えることとなった。
しかし作ったはいいが私は明日、クラスの出し物には参加しない予定である。
「めっちゃ作ったのに自分で配りに行けないのが悔しいね(笑)」
後に戻ってきた笑麻にそう愚痴ると、笑麻は笑って返してくれる。
「皆に任せときゃ大丈夫でしょ!!」
妙にテンションが高いのはたぶん真翔くんのおかげかな(笑)
笑麻が言うならきっと大丈夫だろう。
今回は素直にそう思った。
そして笑麻をちょっとだけ弄ってみた。
「何かいいことあったん?凄く機嫌が良い様だけど(笑)」
そう聞けば笑麻は嬉しそうに語りだす。
「真翔師匠の話が面白くてねー」
何と真翔くんは笑麻の愛するけいちゃんの居るアイドルグループこと、NE〇Sのライブに何度も言った事があるらしい!
しかもメンバーがまだ6人だった頃からだそう。
私は一言口にする。
「真翔くんってNE〇S信者か何か…?」
まあ疑問だよね(笑)
笑麻は真翔くんを神だと崇め始めているけど…(笑)
それだけ好きでいられる精神が凄いと思う。
私は笑麻と真翔くんを尊敬するに値すると感じた。
とりあえず似たようなマシンガントークを繰り出され始めたところで一旦終了。
現状の確認である。
今は校内発表の時間を終えて明日の準備に取り掛かっている所だった。
修正が必要な個所の直しと在庫の確認。
そして先生の奢りというサプライズ。
「先生からアイスのプレゼント~」
そう言ってクラスメート一人一人にアイスを配っていく。
先生太っ腹だな!!
先生ありがと!!
そんな声があちこちから上がった。
差し入れみたいなものだろうか。
きっと先生から見たら今は物凄く順調に事が運ばれているのだと思う。
じゃなきゃこんなサプライズのような差し入れはしないから(笑)
私もアイスを渡される。
「ありがとうございます」
礼儀正しく、と先生にお礼を言えば苦笑された。
…何故だろう。
とりあえずアイスを頂きました!!
疲れていたせいか余計においしく感じたよ!!!!
そして咲のカオスが出てきたよ!!
「ふぉぉぉぉぉぉぉおおうんまぁぁぁぁぁあいい!!!!」
滅茶苦茶でかい声でそう叫んでは一気に口に入れて頭を抑える。
隣で笑麻も苦笑しながら頭を抑えていた。
「疲れてると何でもおいしいんだねえ(笑)」
…ん?
笑麻、今日はシフト入ってなかったけど、疲れた?
それって真翔くんと何かあったって事…?
ちょっと心配になって聞こうとしたところで笑麻はまた一言。
「人酔いって辛いわあ」
…よかった。
疲れたって言ったのは真翔くんが原因じゃなかった。
人酔いしたせいだった。
本当安心した。
そこで笑麻に声をかけてみた。
「真翔くんと回ってきて楽しかった?」
一番重要なことを聞いてみる。
真翔くんとの相性はいいはずだが(ただの勘です)…。
どう思ったのか聞いておきたかったし(笑)
まあ笑麻はというと。
「楽しかったに決まってるよ!!!!」
即答でした(笑)
真翔くんについても語り始めたので私は一旦席を外す。
「真翔くんについての話はまた今度聞かせてね」
そう言って明日の準備をしているグループの下へと行った。
名残惜しそうに見ていた笑麻だが、さっさとSHRを終えてきた真翔くんを見つけるなりすぐにそちらへと走って行ってしまった。
ちょっと寂しい。
けど仕事に取り掛かった。
明日は一日オフだからね、今日は目一杯仕事させてもらおう!!
そして明日は文化祭二日目、一般公開日。
運命の一日となる。




