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放課後の絵描きさん  作者: 夢迷四季
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炎陽 九

恭夜くん目線アリです。


 さて、恭夜くんと文化祭を回ることになったわけですが…。

恭夜くんを追いかけてきて隣に並んでは見たものの、無言。

いや、何か話すべきだとは思うけど…。


ーーこういう時に限って話題がない!!ーー


しかも恭夜くんは元々話しかけるなオーラを出しているからなおさら話しかけづらい。

どうしたものか、この現状。

そんなことを悩み始めて約30秒ほど経ち。


「どこ行く?」


恭夜くんが唐突に質問してきた。

こういう時私は強い!!

そう自負しているので笑顔で答えました。


「図書委員のやってる古本市場行きたい!!」


我ながら地味だと思いましたよ本当。

恭夜くんは苦笑しながらも了承してくれた(笑)

優しいね!



私たちのやってるアイス屋は二階、東校舎。

そして図書委員のやっている古本市場は同じく二階の西校舎。

移動距離は少なくすぐに目的地へ来れた。

ただ人が多かった。


「古本市場ってこんな人気なんだね…」


私はびっくりして入り口で立ちすくんでしまった。

何だか人が多すぎて入りにくいと感じたせいである。

対する恭夜くんは。


「…」


無言で中に入って行った。

その時の私は思う。

恭夜くんは勇者だと。

そんな勇者について中に入ってまたまた驚いた。


「…古本市場の筈なのに何故かここ最近話題の本まで置いてある!!」


真面目に嬉しかった。

何故ならここ最近部活の方でも生徒会の方でも仕事。

仕事仕事仕事!!

だったせいで本屋に行けていなかったから。


ーーここは天国なのか!?そうなのか!?!?ーー


本気でそう叫ぶところでした。

けど喜んでいたのは私だけではない。


「あ、これ欲しかった本だ…」


そう呟いては次々と本を取り、読んで買いに行ってる人が居ます。

恭夜くんです。

今私が感動しながら本を眺めているこの間にもすでに三冊買ってしまった模様。

ちょっとヤバいって表情(かお)している(笑)


ーーでも買っちゃうやつね(笑)ーー


恭夜くんの面白い行動を見て和んだところで私も本を眺める。

人がたくさんいる割に皆買わずに読んでいるだけの様である。


「あ、これいいな…」


適当に本を取りつつあらすじを確認し、興味を持ったら金額の確認。

いつものように直感的に選んでいく。

あっという間に時間が過ぎて行き、約一時間が経過した。



結局私は四冊買いこんでしまった。


「流石に隠し通せない程買っちゃった…」


買ってから色んな意味で後悔している私と恭夜くん。

最終的に恭夜くんは本を七冊も購入していた。

苦笑するしかない。

けどここで本当に何もせず教室に戻れば怒られるだろう。


ーーそれは流石にヤバいよねーー


そこであることを思いついた。

まあいわゆるギブアンドテイク。

恭夜くんはちょっと沈んでいたので一人で行動に移した。


「あの、すみません」


古本市場のスタッフこと、図書委員の人に声をかける。

図書委員の人は笑顔で、とは言わないが愛想よく返してくれた。


「はい、何ですか?」


私は自分の持っていた少し大きめの宣伝用のカードを見せて、お願いをする。


「できればこの宣伝用のカードを飾って置いてもらえませんか?」


我ながら図々しいお願いだろうが、これしかない。

一度試してみるのも悪くないしね。

教室に何もせず帰るよりかはマシだと思う。

図書委員の人はあからさまに困った表情(かお)をした。

だがここで引くにはまだ早い。


「さっき私は四冊購入して、あそこで沈んでる男子は七冊も購入していました。それだけここが魅力的だったって事です」


私は図書委員の人の言葉を聞く前に言い切る。


「ここの事を私のクラスでも宣伝します。なのでお願いできませんか?」


最後の言葉でどうやら心が揺らいだらしい。

一生懸命さが伝わったと言う解釈をしておこう。

その図書委員の人は委員長に話に行ってくれた。



しばし待つこと約五分……。



先程の図書委員の人ではなく委員長が来てくれた。

そしてにこやかな表情を浮かべたまま話し出す。


「いいですよ、宣伝。できればこちらの宣伝用カードを持って行っていただけると有難いのですが…」


そう言って折りたたんである少し大きな紙を広げる。

何だか…図書委員って凄い人が居るんだなって思った。


「これはまた…ずいぶんと絵が上手いですね(笑)」


そう言いながら私はその宣伝用カードを受け取る。

私の言葉を素直に喜んで委員長の方は言った。


「美術部の方が居るので…本人に伝えておきますね。ではお願いします」


少しだけ頭を下げる図書委員の委員長さん。

私も釣られて頭を下げるのと同時に言う。


「こちらこそ、よろしくお願いします」


これで交渉成立!!

晴れて自分たちの教室に戻ることができるのでした。



《恭夜目線》


黒川が何か企んでいる。

気付いたのは本を買ってからしばらくしての事である。

俺と黒川はクラスの出し物『アイス屋』の宣伝のために教室から追い出されたのがきっかけで文化祭を回ろうと言う話になっていた。

まあ本当はだめだろうと思いながらも図書委員の古本市場に来てしまった。

その上黒川は本を四冊、俺は七冊も購入してしまったのだ。


ーー本当に俺はバカだーー


これではクラスに戻れないと、嘆いていたところだった。

黒川が何か話に古本市場のスタッフこと図書委員の人に声をかけていた。

それが遠くに聞こえていたがだんだん内容を理解してきて驚いた。

まさか恩を売って宣伝で返してもらおうだなんて。

誰が思いつくであろう。

…いや、まあ冷静に考えれば思いつくことかもしれない。


ーーただ俺は気付けなかったーー


なので黒川に一任した。

っていうか放棄した。

俺が居たところで何もできないからな。

とりあえず黒川の購入した本を預かって教室の外で待つこと約10分程度。

満面の笑みを浮かべた黒川が教室を出てくる。

その笑顔に一瞬心臓が飛び跳ねた。

キラキラして見えたのは何故だろうか…。

黒川は俺を見つけると笑顔のまま報告してくれた。


「交渉成立!!これで教室戻れるよ!仕事増えたけど」


そう言ってから本を俺から受け取ってありがと~とお礼を言ってくる。


★MA☆JI☆KA★


黒川ってこんな才能あったのか、と感心した。

正直ギブアンドテイクは無理だろうと思っていたのだが、まさか交渉成立するとは。


「黒川、すげえよ」


素直にそう感想を述べた。

俺は黒川が頑張っている時に全く役に立てなかったから余計に凄いと思ったから。

黒川の反応は…。


「そんな凄くないよ(笑)」


謙遜していた。

ダメだな…こういうところが妙に気になるんだよ。

そう思いながらも笑う。

釣られて黒川も笑ってくれたので嬉しかったのは事実である。

…とそこでふと疑問が浮かぶ。


「そう言えばさっき仕事増えるって言ってたけど…」


黒川は苦笑した。


「宣伝用のチラシ作りして明日使おうと思ってね…」


ああ、黒川は詰めが甘い。

そう確信した瞬間であった。


次回はカオスさんが暴れます。ご注意ください。

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