炎陽 七(番外編)
紅葉目線になります
《紅葉目線》
突然ですが、告白します。
私には彼氏がいます!!
萩原翔という子犬みたいな性格なのに背が高くて優しそうで、周りと関わらない。
そんな感じの彼氏さんです。
いや、うん。
私といる時はそうかというと、全然違います。
何て言うか…忠犬みたいな感覚ですね。
ん?
あれ?
彼氏、何だよね…?
自分で言ってて何だか不安になってきました(汗)
ーー後で慰めてもらおーー
よし。
まず私と翔との出会いから話していこうかな!
出会いと言ってもクラスが同じになったって言う事ぐらいだったけど。
でも同じクラスだったからこそかな。
「おはよー!」
今日はいつもより遅く学校へ来た。
夜遅くまでゲームやってたせいだな…と思いながら重い体を引きずって歩く。
席に着けば真っ先に声をかけてくれるのが隣の席のあの人。
「おはよー紅葉。また夜中までゲームやってたの?」
萩原翔である。
ちょっと頼りない感じがまた面白い男子。
ゲームが趣味で今ハマっているゲームも私のハマっているゲームと一緒だったためか語り合ったことがきっかけで滅茶苦茶仲良くなったんだっけ。
ゲーム好きの女子って男子に嫌われるイメージの方が強かったけど案外そうでもないのかも?と思った事もある。
私にとっては親友に近いなーとも。
最もおこがましくて言えた事じゃないけどね(笑)
私は苦笑しつつ、うん、と返して机に突っ伏した。
「体調不良起こすまでゲームやるなって言ってるのにー」
翔は拗ねたように、また呆れたようにそう言ってせっかく梳かした私の髪をわしゃわしゃと撫でた。
「ちょ、せっかく綺麗に整えてきたのにー」
すぐに文句を言うと翔は戸惑う。
面白い。
そして翔は謝ってきた。
「ご、ごめん。けど何となく撫でたくなっちゃって」
そう言って顔を微妙に赤くされるとちょっと戸惑うなあ。
よくもまあそんな恥ずかしいセリフを口にできるものだ。
ある意味尊敬してる。
耐えきれなくなって笑うと許そうと思った。
「仕方ないなー」
そうしてニカっと笑うと翔も笑う。
いつもの朝。
そしてそれから約一か月が経った頃。
一年の始まりの学校行事である球技祭練習が始まった。
この練習の時だけ(ではないが)、女子と男子は別々だ。
しばらく一緒にいて楽で楽しい人と離れることになる。
そう思うと何だか辛くなった。
少なからず私は彼に頼っていたのかな。
その間は女子の友達とかと話すようにしていた。
思えばあの頃から陽月ちゃんが少し気になってたんだよなあ。
何て言うか一人の人間の筈なのに二人のオーラを感じると言うか…。
まあその頃は名前すらも知らなかったから気に掛けることはなかった。
最近話すようになってそれが確信に近づいたけど。
それはさて置き、私たちの思い出話の続きを話していこう。
それから順調に球技祭の練習は進んで行った。
そして当日。
朝7時35分頃教室にて。
「紅葉、付き合って下さい」
翔からゲーム中に突然の告白をしてきた。
目から鱗とはまさにこの事か!!(あってるかわかんないけど)
当然真剣なわけで、ゲームも一旦中止している。
さてどうなる?
そりゃもちろん付き合うよーとはなるはずもない。
そう思ったのは一瞬だった。
何となく直感的にこの人は私に安心感を与えてくれるような気がしたんだよね。
そう思った瞬間口が勝手に動いていた。
「はい」
って感じでした。
これが始まりで、結構イチャイチャとは遠い恋人同士の生活が始まりました。
いわば青春!!
これぞまさに高校生の恋愛でしょ!!
そう言って自分を正当化してます。
さて次は翔との思い出話をしましょう!!
そう、あれはドリームランドにデートしに行った日の事。
「じゃあ次の日曜日朝の5時半に駅集合ね!」
張り切ってそう言った私。
翔は苦笑しながら言う。
「何でそんな早く行くの?」
そんな質問をされた私はすぐに語り始める(笑)
「だってドリームランドは物凄く人気のテーマパークなんだよ!?お金も掛かるんだし早く行った方が得じゃん!どっち道行くのだけで時間かかるし!!」
そう言うと諦めたように笑った翔。
ーーよしっ!!--
幸い翔は折れてくれまして、5時半に待ち合わせすることになりました。
そんなこんなであっという間に当日。
私は待ち合わせ時間より1時間半前に起きてしっかり準備をしていた。
そこに1通のLAINが…。
ーーまさか翔、寝坊したとか!?ーー
今は4時40分を少し過ぎたところ。
もし寝坊していたんだとしたら申し訳なくなって、すぐにLAINを開いて、ズッコケた。
ただのLAINニュースの速報が来ていただけだったのである。
物凄く焦って損した(笑)
そうしてあっという間に時間は過ぎていく。
現在5時25分。
駅前のコンビニ前にて佇んでいる所。
落ち着かなくて、さっさと待ち合わせ場所に来たところ、早く気過ぎて今15分が経過中である。
ーー流石に張り切り過ぎたかなーー
ずっと待っていると変に不安になるのが辛い。
早く来ないかな、と落ち着くこともできない。
昨日はあんまり眠れなかったし、正直体はだいぶ疲れていた。
そんな時に限って変なのに絡まれたりするのである。
「おー君可愛いねーこんな朝っぱらから何してんのー?」
典型的な言葉を言い放ちながら近づいてくる成人男性。
私は当然無視をする。
私の態度にイラッと来たのかさらに寄ってくる猫背の男性。
命知らずめ。
そんな一言が出るほどに余裕の私には気付いていないようだ。
「無視すんなよー」
そう言って私の腕を掴もうとした瞬間、弾かれる男性の手。
横から別の誰かの腕が伸びていた。
目線を移せばそこには。
「誰だてめぇ」
般若のごとき怒りが小野翔が居た。
信じててよかった(笑)
男性は翔の放った一言に一瞬ひるんで、チッと舌打ちをした。
「男連れかよ」
そそくさと逃げて行った。
ホッとため息を吐く翔にすぐにお礼を言った。
「ありがと翔!!」
満面の笑みを向けると翔は呆れたように困った顔をした。
「あんなひょろひょろの奴なら紅葉でも倒せたよね余裕で」
その言葉に私は苦笑する。
なんせ私は前科があって…絡んできた不良どもを返り討ちにしたっていうね。
でも今それを言ったら悲しくなるだけだから言いません。
「倒せたかもしれないけど、翔が来てるの見えたから信じてみました!!」
いわゆる乙女心ってやつ!というと今度は怒る翔。
…何で?(汗)
「彼氏を試すような事しないの!本当に何かあったて手遅れになってたらどうすんだ!!」
おおう忠犬系男子の翔君が私の為に全力で怒ってくれています。
いい、惚れ直した。
思わずニマニマ笑いながら聞いていると、翔は長い長いため息を吐く。
「全く…危機感が足りないよ」
そして整えてある髪に遠慮しながら頭を撫でてくれた。
それが凄く優しくて、恥ずかしくなってすぐにやめるように言ったけど。
でも安心したのか眠くなってきた。
「ふぁあ」
思わず欠伸をすると、翔はまた笑う。
「頑張り過ぎだよ紅葉」
電車に乗るまで寝るの我慢して、と言って手をつなぐ翔。
やっぱり優しいな。
それから睡魔と闘いながら電車に乗った。
それから小一時間程翔の肩を借りて爆睡。
我ながら恥ずかしいと思ったが、おかげで電車を降りる頃には復活していたので良しとしよう!
それから乗り換え乗り換え、目的地まで他愛のない話をしながらドリームランドへ向かった。
着いたのは待ち合わせしてから約一時間半を過ぎた頃。
「ドリームランド入り口に到着~!!」
テンションMAXで翔に向かって喜びを表現すると一緒に笑ってくれる翔。
こういう時翔はノリが良くて最高です(笑)
そして意外なことに気付く。
「そっか!ドリームシティーの方が十周年記念だからこっち人少ないんだ!」
並ぼうと歩きながらそう言うと翔が苦笑。
何故だ…。
「それ事前に伝えたじゃん(笑)」
え?
そうだっけ?
首を傾げて考えてみる。
ーー確かにこの前そんなこと聞いたかもしれない…がーー
「忘れた(笑)」
また翔に苦笑される。
「全く…でもまあ早く入れるしいいんじゃん?」
そう言って微妙に慰めてくれた…ん?
あれ?
今って私が慰められるとこ?
よくわかんなくなってきたので考えることを放棄した。
幸い翔が気にしてないみたいなのでよかった。
「最初何乗ろう?」
そう言って翔は私に事前に用意したパンフレットを渡してきた。
何度か来てるからどんなアトラクションがあるか大体わかるけど、念のためにね(笑)
それを借りてアトラクションの名前を確認しながら答える。
「どれもドリームパスですぐに乗れるだろうから好きな奴優先で取りに行って時間があれば先にお土産買いに行こう!」
そう提案してみた。
まあちょっとだけ面倒だけど、早めにお土産は買ってしまいたい。
帰りだと物凄く混むから…。
翔は特に反対することもなく了承してくれた。
と言う訳でドリームランドを楽しんできます!!
それからというものめっちゃ翔と話しながらアトラクション乗りまくりました。
時にチュロスを別々の味を買って分けっこしたり、人が多いからって手をつないで歩いたり。
あれだね。
自称恋愛非リア充と言ってる友達に妬まれる行動だね。
でも楽しかったしいっか(笑)
時に喧嘩にもなりかけたけど、その時偶然にもドリームランドのスタッフの方がパフォーマンスを披露してくれて、あっという間に仲直りしたりした。
スタッフさんマジ感謝です!
流石ドリームランド!!
全てが夢の国だった。
また来ようね、と帰りの電車でお喋りしながら帰宅。
結局閉園時間まで居たんだっけ。
両親に注意されたけど翔は私の両親に滅茶苦茶信頼されてるのか褒められてた。
差別!?
これ差別!?!?
そんなこと口にしたら翔には苦笑され両親には笑われた。
何故!?
まあいいや、帰り際翔がちょっと乱れた私の頭を撫でてまた明日ねって言ってくれたから(笑)
それにしても、後で冷静になって考えてみたけど…。
ーーなんで閉園まで居たんだろ!?次の日学校なのに!!ーー
その後滅茶苦茶急いで支度して寝ました。
両親には呆れられていたが気にしない!
明日翔と一緒に学校行くためだ。
そんなこんなで楽しかったドリームランドでデートが終わった。
他にももちろんたくさんの思い出があるけど、これが一番新しい思い出かな。
また今度、遊びに行くんだけどその時はお金がかかり過ぎないところにしようねって言ってます。
本当楽しかった。
文化祭も一緒に回る予定だし、楽しみだね!
次に本日の文化祭一日目の朝について話そうと思う。
準備期間やら話し合いでは特にこれと言った出来事はなかったため省略。
「おはよー翔」
いつもと同じような時間に自分たちの出し物をする教室に入ってすぐ、翔が居たので声をかけた。
翔もいつも通り支度を終えてスマホを見ている所だった。
どうせゲームでもしていたんだと思う。
本当ゲーム好きだよね(笑)
人の事言えないかもしれないけど…。
案の定ゲームをしていたようで、すぐにこちらへと視線を移してくる。
「おはよう紅葉」
いつもと違うと言えば、雰囲気だろうか。
いつも以上に浮かれオーラが漂っている。
イヤー惜しげもなく文化祭楽しみオーラ放ってくれるもんだから、クラスの仲がぽかぽかしているようだ。
※気のせいです。
「嬉しそうだね~」
そう言って荷物を置いてさっさと支度をする。
翔は素直に笑って言った。
「だって紅葉と久々にデートできるんだよ?楽しみに決まってるじゃん(笑)」
あー…そう言えばここ最近は準備で全く遊びに行けてなかったと言うことに気付く私。
不満だったのか、離したりしては居たんだけどな…。
ちょっとだけ罪悪感に襲われる。
「準備期間中は紅葉凄い忙しそうだったから我慢してたけど、今日ははしゃいでもいいでしょ?」
今にもくぅ~んって泣きそうなくらいの顔でそう言われたらダメって言えないよ翔くん!!
ーー全くもう、仕方ないなあーー
呆れながらも私は了承する。
翔は嬉しそうに笑っていた。
そして久々に陽月ちゃんの所へ遊びに行った。
否、遊びに行こうとした。
しかし他の男子生徒二人と話していて、終わる気配もない。
仕方ないので諦めた。
ーー今度また来ようーー
そうして一日が始まりを告げた。
そして物語という一本の道は次第に暗い森の中へと続いていくのである。
そう言えばさ、一応私もフルネームで登場してるのに出番少ないよね…。
なんかちょっと悲しい……。
が、しかーし!!
その分翔とのゲームで盛り上がってるからいいんだ!!
ゲーム時間最高!
以上、紅葉目線の番外編でした。
次から元に戻ります




