炎陽 四
やってきました文化祭!!
今日は張り切っていつも以上に早く学校へ来ようとして早起き。
いや、だって年に二日間しかない楽しい祭りのようなものだよ?
しかも準備とか全部自分たちだし。
アンケート取ってどこが一番よかったかとか最後に発表されるらしいし。
楽しみで仕方がない。
ただ不安もあるわけで…。
とにかくそんなこんなで朝早く行こうと思ってね。
早起きしようとしたわけですよ。
そしたらさ、何が起こったと思う?
時計壊れてて、結局いつもよりちょっと遅い時間になったんだよ?
なんで今日に限ってそんなことが起きるの!?って感じでした。
まあいつもより少し遅いだけで早いことに変わりはないんだけどね(笑)
「おはよー川村」
いつも通り声をかける。
まあいつもと違って今日は自分の席がないから、教室内で立ち尽くしているけど。
「おはよう黒川」
お、珍しい。
にやっと笑って挨拶してきた。
川村も少なからず今日を楽しみにしてたって事かな?
しかしそれは一瞬の事で、すぐに真顔になった川村は至極真面目に一言口にした。
「今日は楽しむのもいいけど警戒もしろよ?」
説明しよう。
川村には中学時代の同級生の瀬奈の事は伝えてある。
ただ恭夜くんが助けてくれたと言うところまではしっかり伝えたが、中学時代の黒歴史は誤魔化しておいてある。
流石に恥ずかしいのであるがため。
またまた珍しい。
自分に関わること以外興味ない川村が心配、というか忠告をしてきた。
うーん、根は良い奴だとわかっているけど、なんかフラグ立ってる気がする。
一瞬悩んだが、素直に忠告を受けることにする。
「うん、もちろんそのつもりだよ。けど楽しみながらね」
注意を怠らないこと、それに気を付けていれば大丈夫だろう。
はなっから死亡フラグは立たせませんよ!!
死亡フラグ立ったら真面目に怖いけど。
「とにかく誰かと一緒に行動しろ。一番安全だからな」
そう言ってくれた川村に悪いんだが。
残念なことに私の休憩時間と笑麻、咲、彩との休憩時間がズレていて、今日は一緒に回れそうにないんだよね。
そんなことを川村に伝える。
川村はめっちゃ驚いていた。
普段感情を表に出さないようにしているあの川村が!!
誰が見ても分かるくらい驚いていた。
ーーい、意外過ぎる…。ーー
「なんでズレてんだよ」
「委員長グループの人たちが勝手に決めたんだよー」
全く、人の話を聞かない人たちに任せる先生もどうかと思うよ。
そういって川村を観察。
今度は呆れている。
誰に呆れているんだろう?
「ったく、先生は何であんな自分勝手グループに頼んだんだろうな」
話し方が微妙に変わってきてるが、まあいいや。
呆れ口調の川村に同意。
「正直人選ミスだと思う」
川村はうん、と頷いてから少し間をあけて言った。
「とりあえずあんまり一人行動しないように気をつけろよ?」
そう言ってスマホに視線を移す。
私は見ていないだろうけど、笑顔で返した。
「うん、ありがと」
それからしばらくは一人で、持参した本を読みながら教室内を観察していた。
飾り付けは結局完璧に終わらせられなかったが、皆大満足の様で笑顔で帰っていくのを昨日見ていた。
ーー咲達は今日、来るのだろうかーー
そんなことを考えながら読書をする。
ちらほらと登校してくるクラスメート。
皆どこか浮かれ気味なのがまた新鮮だ。
…この中にリア充とかいるのだとしたら、ちょっと恨むが。
そして明枝がやってきた。
今日はなんかカバンがマッチョ柄になってる。
しかも人面アルパカが三つ!?
何でそこ、人面犬じゃないんだろうと疑問に思う。
「おはよー黒川ー」
いつも通りのテンションでそう声をかけてきた明枝。
もちろんちゃんと笑顔で返す。
「おはよう明枝、今日はまた凄い柄のカバンだね」
早々に突っ込みを入れれば明枝は楽しそうに笑う。
うん、いつも通り。
「いやーいつもより学校来るの楽しみでさ、何となくお気に入りのバッグにしようと思って」
あ、お気に入りなんだ(笑)
「それお気に入りなんだ?てっきりかわいい系のものが好みなのかと思ってたよ」
そう言って苦笑すると、明枝はきょとんとした。
…え?
なんか間違ってた?
「俺、可愛い系の物もマッチョも大好きだよ?」
あー素直だー。
まぶしいなーー。
明枝の中では一番とかそういう考えはないみたいなのですぐに話題を変えることに。
「そう…ところで今日は咲と一緒に文化祭回る予定はないの?」
明枝は目に見えて分かるくらい動揺して、真っ赤になりました。
やばい、めっちゃ面白い(笑)
青春だねえ、初々しいけど。
「そ、それは……回る、けど…」
……え?
聞き間違い?
空耳?
今聞き捨てならない言葉が…。
「ごめん、もう一回言って?」
私は聞き返す。
確認のためにもう一度!
「今日の文化祭、藤野と回るんだ」
今度ははっきりそう言った。
更に真っ赤になってたけど…。
★MA☆JI☆KA★
いやあああああすばらしいいいいいい!!
これは、まさに、
★KI☆SE☆KI★
「よくやった明枝!!」
そう言ってにんまり笑う。
急に態度を変えた私の笑顔に戸惑いながらも「お、おう」という明枝。
これは咲が変わるチャンスだ!!
まあ本人に許可取ってないけど。
とりあえず私は部外者なので応援だけ。
「いい文化祭になるといいね!」
明枝は、嬉しそうに笑って言う。
「どんな結果でもな!!」
そして話は終了した。
それぞれの時間を大切にするべく会話を自然に打ち切る。
残ったのはこの文化祭が一つのきっかけになると言う楽しみな気持ちだけだった。
長くなるのでいったん切ります。




