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放課後の絵描きさん  作者: 夢迷四季
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炎陽 二


 しばらく黙々と作業していたが、休み時間であったためにすぐやる気をなくした。

伊理塚遅れて参上!なんてことがさっき会ったせいでもある。

文化祭に日々近づいて行っていると思うと少し怖くもあった。

そのせいで最近また寝不足気味になってきた。

そろそろ安心して眠りたいとこの頃よく思う。




何となく進めていた飾り作りも詰み始めて、面倒になってきた頃。

作ったもののいくつかは飾りに行くことにした。

教室内は休み時間という事でわいわいがやがや。

楽しそうに雑談している。

流石に私は鬼ではないので誰かに頼まず飾りつけをしに行く。


現在はとりあえず当日使用する予定のない教室で皆作業を行っていた。

つまり場所を移動することになる。


ーー意外にも細かいものから大きいものまであるからな…誰かに頼むべきかーー


そんなこんなで悩むこと数十秒。

先程まで寝ていた筈の恭夜くんが声をかけてきた。


「飾り付け、一緒に行くよ」


そう言って近くに置いてあった大きい飾りを掴んだ。

その瞬間のさらっと微笑…。

ああああああ何てこと!!!

ドストライクボイスに加えイケメンスマイル!!

恭夜くん一体どうしたの!?!?


「なんか普段の恭夜くんのイメージが壊れてい「気のせいだよ」


私の言葉まで遮るなんて本当恭夜くんどうした!?

吃驚して固まっていると、恭夜くんが歩き出す。

無言のまま歩いていく恭夜くんを眺め、ハッと我に返ると急いで追いかけた。


ーーそのドストライクボイス上手く使うようになったのかなーー


そして当日使う教室に着くと、中が何やら騒がしい。

皆楽しそうな騒がしいの方ではなく、不安が過ぎる様なとげとげしい感じの騒がしさ。

何となく緊張しながらも教室の中に入ると、ちょっと大変なことになっていました。




「何で可愛いアイス屋さんやるのに氷山描くんだろうねー」


わざと聞こえるように言う派手なグループの女子。

つられて他にもいたその子と仲の良い女子がさらに口にする。


「しかも文句ばっかりだし三時間経ってるのに半分も終わってないじゃーん」


「当日間に合わなかったらどうするんだろー」


「私たちの意見も聞いてから描いてほしいよー」


そんな声がちらほら。

氷山?描く?

まさかと思いつつ黒板の方を見やれば、咲と彩がブツブツと何かを言いながら暗いオーラを纏っていた。

黒板にはまだ描き始めたばかりだと思われる氷山の一角。

そう言えば道理でさっき派手なグループが居ないと思ったわけだ。

ここにたむろっていたのか。

しかも悪口?

愚痴を言いながら。

笑麻は二人を宥めているようだが効果がないみたい。

戸惑っているのが遠くからでもよくわかった。


とりあえずこの現状がどうなっているのかわからないので、すぐ近くにいた割と仲良くしている女子に聞いてみた。


「この状況ってどうなってるの?」


その子はすぐに難しそうな表情をすると言った。


「話すと長くなるんだけど…」


どうやら咲と彩が美術部というプライドのせいで突っ走ったことが始まりだと言う。

で、それをよく思わない女子が悪口を遠くから行ったりとかしていたらしい。

何人かの女子は咲や彩に説得を試みたのだが、あまりにも怖い形相に恐怖し言えなかったと言う。

そして笑麻はというと、


「すでに二人の眼中にないみたいで…」


言いにくそうに言うその女子にお礼を言ってから、考えてみる。

つまりは二人がプライドでクラスの出し物なのに本気を出そうとしてしまった。

そして元々そう言うのが嫌いな女子に目をつけられた。

その派手女子等が言っていることはごもっともなのだが、言い方のせいで最悪の方向へと進んでいる。

そう言う事になるのだろうか。

そして笑麻はすでに同じ役割だという事を二人に忘れられている、と。


「最悪だな」


恭夜くんが一言。

まあ彼の言い分もわかるがしかし。

何だろうなあ。

ちょっと子供っぽいっていうか何て言うか。

とにかく笑麻、咲、彩に話を聞いてみることにした。



「笑麻、咲、彩、どうしたの?」


三人に近づいて声をかけた。

咲、彩は答えず、笑麻答えてくれた。


「二人が氷山がいいって意見変えようとしなくて」


二人はさらに機嫌が悪くなったらしい。

笑麻がそう言った瞬間咲が口を開いた。


「アイス屋だからそれにちなんだものがよかったんだよ!しかも赤とかのチョークが黒板につかなくて、仕方なかったんだよ!!」


彩も冷静になろうとしているのかいつもより冷気を発しながら言う。


「それに私たちが担当じゃん?美術部に任せたんだからちゃんとしたの作らないと私たちに納得できないよ」


言っていることは、まあ確かに。

けど傍から見ればそれはプライドからくる我が儘にしか見えない。

この二人はたぶんそれに気づいていない。

それにそのまま伝えたとしても聞き入れてはくれないだろう。


ーーさて、どうしたものかーー


そう考えていると、笑麻が二人に言う。


「二人の気持ちもわかるけど、でもこれは作品じゃないんだよ?」


そう言うと二人は固まる。

まるで裏切られたと言わんばかりの表情だ。

ちょっとまずいかも。

そして追い打ちをかけるように委員長が言った。


「クラスの出し物なんだから、私達の意見も聞いてよ」


それが止めを刺した。

全く、高校生と言ってもやはりまだ一年。

子供ではないとは言え大人でもないわけである。

彩はついに泣き出してしまい咲も震えている。


ーーどうしようかーー


正直私にできることはない。

どちらかと言えばどちらの見方でもないし、正論を言っている方が正しいと言う訳でもない。

お互いの意見の違いから生まれたトラブル。

私はただの部外者だからな。

まあとにかくこの場をどうにかしないと。


「恭夜くん、飾りとかお願いしていい?」


突然声をかけられて驚く恭夜くんの心情に構う暇がないのでとにかく唐突にお願いする。

笑麻は二人を相変わらず宥めているし、委員長含む派手グループには関わりたくない。

だが先生を呼ぶに行かないと、と思ったので恭夜くんに頼むことにしたのである。


「あ、はい」


何故敬語なんだろうと思ったが、とにかく持っていたものを置いて担任の下へと急いだ。

考えていた通り担任は丁度こちらに向かっている所だったので早歩きで来てもらい、咲と彩をお願いした。

笑麻は物凄く疲れていた。


「あの二人にね、『私何すればいい?』って聞いたら『特にしてもらうことないよ』だって!酷くない?私だって同じ担当だったのに」


他にも愚痴ってきた。

例えば、私たちに頼んだんだから何描いたって私たちの自由でしょと言っていた、とか。

描けないくせに偉そうに指図しないでよ、とか。

じゃあ自分で描けよ、等。


あいつら派手グループの言い分は確かに物凄く偉そうだった。

咲がそう言いたくなるのもわかるし彩が泣くほど嫌な思いをしとこともわかる。

けど二人も言っちゃいけないことを言っていた。

それは、そう。

人を見下すような言葉だ。

私達は美術部だからと、他の人たちが描けないと見下してしまった。

本人たちは無意識だろう。

そう言う事を言わせたのは委員長達派手グループのせいだからな。


私は笑麻にとりあえず聞いてみる。


「笑麻はさっきのトラブルについて、どう感じた?」


笑麻は少し考えてから、一言。


「派手なあのグループたちが発端だったし、挑発された咲たちが我慢できなかったのも仕方ない。お互い様だなあって、思った」


私は少し委員長等に仕返しがしたくなった。


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