日輪 五
シリアスです(*^^)v
生徒会信認選挙が終了し、また平和な日常生活がやってきた!
今日は生徒会初仕事スタート日である。
説明しよう。
生徒会初仕事とは、水曜日の放課後なんでも相談室(なんか名前が決まってた)である。
内容は、カウンセラーのような相談、学校生活についての改善アイディア等。
まあ要は生徒と直接話そうという仕事である。
そして現在放課後1-4教室内。
私、咲、恭夜くん、(何故か)明枝が揃っていた。
とりあえず明枝の事は置いといて…。
「帰りのSHRではこの企画の事は伝えたし、仕事分担も出来てる」
咲が言った。
「メンバーも揃ってるし問題ないよね」
続けて私がそういえば恭夜くんが頷く。
問題はなさそうだし、となったところで、皆一斉に明枝の方を向いた。
「「「なんで明枝もいるの(いるんだ)!?」」」
いきなり注目されてもまるで他人事。
しれ~っとしながら答える明枝、ある意味凄いと思う。
一体どうしてここにいるんだろう。
「いや、だってこの教室広いから筋トレしやすいし、どうせ一角しか使わないんだったらいいかなって」
うん、もっともな理由のように思えてだいぶ間違っております。
そもそも水曜日の放課後は生徒会が教室を使うから速やかに退出することって、先生言ってたんだよ!?
「先生が帰りのSHRで言ってたこと理解してる!?」
私は思わずそう言ったが、明枝はきょとんとした。
「なんか言ってたっけ?」
ぅおおおおおおおおおおぃ!!!!!!!
なんちゅう天然!?
自己中とも言うのかな!!?
なんてことでしょう、今の今まですっかり忘れていた。
説明しよう。
あだ名『きんにくん』こと明枝太志はとんでもない脳筋男子です。
人の話は聞いていないことがしょっちゅうであり、集中してると周りが見えない。
筋肉、筋トレの事と魚釣りのこと(あと咲の事)以外は興味が薄い。
正真正銘『きんにくん』なのである。
それから変なもの、可愛いものが好きっていう謎の一面もある。
話を聞かないクラスメート第二位の座は伊達じゃあないってことか。
「『水曜日の放課後は生徒会がこの教室を使用するので速やかに退出してください』。先生が帰りのSHRで三回程伝えてたよ?」
そう伝えると、今初めて知ったと言う表情をされて、ちょっと困った。
ーーこの人ここまで重症だったのか…ーー
そんなことを考えていると恭夜くんが言った。
「妹のこと考えてたんだろ?だったら仕方ないよ」
ん?
明枝の表情が一変した…?
妹さんがどうしたんだろう。
「ごめん、無神経かもしれないけど聞くね。妹さんがどうかしたの?明枝」
わかってる。
自分が物凄く無神経なことを口走ってること。
普通の人ならここは空気読んで聞くことなんてしないだろうけど…。
ーー私はずっとあの時の表情が忘れられなかったからーー
少し前、体育祭の練習が始まる前ぐらいだったろうか。
朝明枝と遭遇し話した時の事。
『なんで筋トレしてるの?』
『元はただの趣味みたいなものだったけど、消防士、目指すようになって…』
何処か悲しそうにそう言った明枝の表情は影を落としていて、どこか悲しそうだった。
今にも泣きだしそうな程の悲しい表情の明枝。
あの時以上に濃くなっている悲しみの色が見えた。
ずっと気になっていたその表情の理由が知りたい。
「無理にとは言わな「妹が、怪我で、今日は一時帰宅してくる日なんだけど…その、家に帰りたくなくて」
私の言葉を遮ったことを咎めるのは場違いだ。
そう思い、そこら辺をスルーして思考を巡らせていく。
苦しそうにそういう明枝から察する。
妹さんが怪我…?もしかして…。
「まさか明枝が消防士になりたい理由って…」
私が思わずそう呟くと明枝は頷いた。
「あいつの通ってた塾が火事になって、それで両足に大火傷負った。だから…」
それであんな悲しそうだったのか。
ようやくあの表情の謎が解けた。
「ごめん、無神経過ぎた。けどそれならなんで早く帰ろうとしなかったの?」
妹の事を考えていたというのなら尚更、早く帰りたいとは思わなかったのかと。
私は最低かもしれない…いや、傍から見れば物凄く無神経な人間だろう。
ーーだけどこれは、無視していいとも思えないーー
明枝の問題だ、と言われればそうだろう。
だが明枝自身がその問題から目を背けているのだとしたら、それはクラスメートとして放っては置けないから。
そんなことを考えながら明枝の返事を待つ。
ちょっとだけ戸惑うそぶりを見せてから、恥ずかしそうに笑って言った。
「妹と喧嘩しちゃって、大火傷負ったのが先生の不注意だったって言う事実を受け入れようとしないから、思わず怒鳴っちゃってさ」
「それで気まずくなって帰りたくない、と?」
私は明枝の言いかけたことを口にする。
それってさ…。
「明枝、ちゃんと妹さんの話聞いてあげた?」
「え?」
頭の上に?マークが飛んでいるように見えるが気にしない。
「妹さんとちゃんと話し合ってみないとわからないじゃん?事実の裏の事情って」
そう言って笑う。
妹さんが話したかったのはおそらくそれだろう。
例えば…おそらく塾兼家だろうから、小さい子供とかペットが居たりするかもしれないわけで。
全て先生の責任ではないんだ、と言いたかったんじゃないかな。
これはあくまで私のたとえ話でしかないけど。
そんなことを言ってみると、明枝は物凄く焦った表情に早変わり!
「うわ、そうだとしたら俺滅茶苦茶最低じゃん!!じゃ、俺帰るね!!バイバイ!!」
その後の行動は早かった。
すぐに帰り支度を済ませると猛スピードでかけて行ったのだ。
イヤーでもまあ関係ない人は帰ったし、と咲と恭夜くんを見ると二人とも目を見開いて私を凝視していた。
「えっと?」
よくわからず首を傾げた瞬間咲が奇行種になった。
「ひゃあああああああああああよくやったあああああああああ」
そうして私に飛びつくなりぎゅううっと抱き着いた。
ーーく、くるし、いーー
息が出来なくなるほど強く抱きしめてきた咲はバッと顔を上げるとキラッキラした目で見つめてきた。
「陽月なら放課後なんでも相談室できるね!!」
一体どういう事だろう。
「カウンセラーの仕事を初めてやったにしては上出来って事だと思う」
恭夜くんが付け加えてくれて理解した。
明枝問題を解決したことでどうやら合格をもらえたらしい。
多分咲には。
「恭夜くんはどう思った?」
ちょっと気になったので聞いてみると、即答された。
「無神経だった」
だよねえ…。
自分でもヤバいなとは思ったんだよ。
けれど恭夜くんの言葉は続いた。
「…でも確実にポジティブ思考に変えられたんじゃないかとも思った」
ふむふむ、それならいいか。
「結果良ければ全て良し!!」
笑いながらそう言えば、咲は大笑いする。
恭夜くんは…物凄く優しく微笑んでいたのが見れたので、満足です。
追記。
恭夜くんのドストライクボイスううううううううううう!!!!!
以上。
生徒会の初仕事、放課後なんでも相談室第一回目は無事終了することができた。
しかし今後文化祭やらテストやらがあるために、企画を見直すこととなった。
そんなこんなで平和(?)な日常生活が終わりを告げる。
日輪はこれで終了です!
次は烈日が始まります。
多分カオスさん復活します(笑)




