赤日 三
恋愛的トラブルがまだなくて申し訳ないです((焦り
つい昨日の事、担任の先生により学校行事の一つ『体育祭』でやる種目の説明?報告?があった。
皆バラッバラのこのクラスを焚きつけるような事ーー即ち『頑張ったらバーゲンダッツを買う』と言う約束ーーを言ってしまった先生に呆れる何人かの生徒、この体育祭は乱戦になりそうな予感である。
さて、体育祭練習が始まった。
今日は体育の授業があったので早速練習やらをするらしいが、何と今日は男女混合の『長縄跳び』の練習らしい。
ーー文句を言う生徒とが多発しそうだーー
数分後、案の定一部の男子と女子がブーブー文句を言い放ち、怖いと評判の体育担当の先生が激怒。
いきなり何やらかしているんだと呆れていれば彼らは早退してしまった。
ーーなんでそんな反抗するのかよくわかりませーンーー
もう知りません勝手に地獄へ墜ちてって(笑)
激怒しながらも授業を進めてくれる先生に感謝をしながら、長縄跳びの説明を聞いた。
「我が校の体育祭でやる長縄跳びは単に数を競うのではなく、跳んだ数と跳んだ人数を掛けた点数で競う。つまりただ跳べばいいのではなく休む人を減らして尚且つたくさん飛ぶという競技だ。現在では20以上跳べているクラスがないので頑張ってください。説明は以上ですので早速練習を始めてください。記録が出たらすぐに跳んだ数と人数を報告しに来るように。練習始め!!」
わかりやすい説明だったかと問われればいいえと答えるくらい面倒な説明だった。
先生なのに面倒で聞き取りにくい説明はよしてほしいかな。
ーー正直…疲れます。ーー
まあ色々な先生がいらっしゃるから仕方ないけどね。
とにかくこの全員バラッバラのこのクラスはいったいどうなる事やら。
ついに練習が始まった。
まず学級委員と体育委員のひとが話し合い、縄を回す人をどうするか話し合っている。
ーー体力とリズム感のある人でなければならないのが一番選ぶのが難しい条件だと思うが、果たして誰になる事やらーー
そんなことを考えているとどうやら決まったらしく話し合いをしているメンバーがきゃあきゃあ叫び始めた。
楽しそうだねえと思いながら体育館の舞台近くにいる人たちが戻ってくるのを待つ。
こうしてみるとメイクしている奴がとんでもなく目立つな。
全く学校と言う場所になんでメイクしてくるのだろうか、正直学校でそんなことがバレて生徒指導とか考えないのかな。
ある意味凄い人たちだと思う。
「長縄回す人を発表しまーす…矢満田と明枝でーす。早速二人は五分間練習してくださーい」
委員長は戻ってくるなりすぐに癖のある話し方でそういった。
まさかの矢満田と明枝だとは、ちゃんとやってくれるかなあ…。
正直どちらも乱暴と言うか細かいこと気にすることができない人たちだからなあ。
まあお互い頑張ろうといったところかな。
そういえば五分間の練習時間を彼らに与えていたっけ、委員長は。
どの間はどうするか…並び順の確認、調整をする。
「身長の高い人が真ん中になるように並んでー」
委員長、中央に並んでって言おうよ、そこ。
一応私たち高校生なんだからさ、しっかりとした口調で言わないとバカな男子達が調子に乗り出して練習できなくなっちゃうよ。
「えーめんどーーー」
ほら言わんこっちゃない。
早速クラス内一番の問題児こと、真也が文句を言い始めた。
…って、委員長さんなんで悪乗りするのかな?
練習しないと連帯責任で私達関係ないクラスメートまで怒られるんだけど!?
クラスの中でも派手な人たちのグループがワアワアキャアキャア言い始めてどんどんどんどん学級崩壊に近づいてゆく。
「委員長、練習しないと先生が―――――――「それでさあ昨日ね~キャアキャア」
はい、私の怒りが爆発しそうです。
なので一旦引いて冷静になろうとしたところ、まさかの人物が動きました。
「今は体育の授業中で長縄跳びの練習する時間だと思うんだけど」
いつもは遠くから見ている人って感じなのに珍しく恭夜くんが注意した。
あ、そっか、男子の体育委員て恭夜くんだったね、忘れてた(笑)
けれどそんな優しい言い方では彼らのことを怒らせるだけ…なのである。
「はあ!?俺らに指図すんじゃねーよ」
バカな男子代表ーー真也ーーが軽く恭夜くんを突き飛ばし、不意打ちでやられた恭夜くんはその場に倒れこんでしまった。
それを見て笑う派手なグループと委員長。
ーーもう限界なので殺ってきます(笑)ーー
ズダーーーーン、という破壊音が突如響き、体育館が一瞬にして静かになった。
音の発端は、もちろんこの私『黒川陽月』である。
説明しよう。
黒川陽月は二重人格とまではいかなくとも、キャラが変わって様々な能力が上がるというファンタジーのような能力持ちなのである。
人並み以上になるだけだが、陽月は合気道をやっているのでそれなりに強くなるのである。
もちろん使用条件と言うものも存在する。
陽月のキャラ切り替えスイッチは即ち『感情』である。
まあ見ていればわかるだろう。
もちろん派手なグループメンバーも委員長も若干引いているのだが、肝心な先生方はニコニコと微笑んでいる。
まあ予め頼まれていたからね、さもありなん。
私は全力で体育館の壁の一部を殴りつけて静かにしたまでなのだが。
ーー言っとくけど本当に破壊なんかしてないよ!?ーー
「委員長、クラスの代表であるあなたが遊んでいては授業も練習もできないでしょう?」
それを聞いた委員長は真っ赤になって言った。
「お前みたいなブスに関係ないでしょ!」
あらーバカがここにも居たとはね、しっかり改心させてあげよう。
「残念ながら私も委員長と同じクラスメートなので関係あります。口にはしていないようだけど他のクラスメートの人も先生方も迷惑に思っていますよ。私的にはあなた方のせいで連帯責任とらされるの嫌なので注意しました」
一気に言ってしまえば、どうやらようやく自分たちの行動を見直したらしい。
皆顔面蒼白になっている。
ただ一人を除いては…。
「偉そうに指図するなよ!」
バカ代表ーー真也ーーが私に向かって襲い掛かってきた。
あっけにとられていた生徒たちは動けず、先生たちも遠く離れていたので助けてもらえない。
力の差的に私に勝ち目はないのだけど痛いのは嫌だな。
どうにかよけて逃げるも腕を掴まれて動けなくなった。
ーーどうしようーー
そう思っているうちに振り上げられる真也の拳が見えて、思わず目をつぶった。
ーー殴られる!!ーー
そう思ったのに全く痛みを感じないのは何故だろうか。
固く瞑った目を開けてみれば、まるで漫画の世界のような事になっていたのだ。
「い、伊理塚!?なんで」
そう!伊理塚が私を庇って真也からの攻撃を受けてくれていたのである。
どうやら腕を殴られたらしく痛そうに抑えてうずくまっていたが、私が問うと苦しそうに笑って答えた。
「女性を守るのは当然でしょ」
うん、こいつはちょっとキモいし偽善者みたいなこと言ってるけど、今回はちょっと見直したかも。
全く…何やってんだか。
「ありがと」
私はただ一言そう言って、仕方がないから保健室についていった。
「大丈夫だった!?」
伊理塚を保健室まで連れて行き、体育館に戻ってくるまでの10分間でどうやら皆我に返ったらしく、ちゃんと長縄跳びの練習を行っていた。
そして戻ってきて最初に言われたのがさっきの『大丈夫だった!?』である。
誰が言ったのかは大体予想できるだろう…そう、笑麻だ。
「あんまり無茶しちゃだめだよー!?」
あまりの心配様にちょっとびっくりしながらも笑って返す。
「大丈夫だよ、心配ありがとう!」
…笑麻なんて普通な方だったということをこの後で知ることになるのだ。
咲なんてなんか目をキラッキラさせながら近づいてきたよ怖いよ!!!
「凄いね陽月!よくあんな言ったね!普通なら嫌われそうって言わないよ?」
そう言って肩をバシバシ叩いてくる。
ってその言い方だと私が普通じゃないって言っているようなものだと思うよ!?
「でも今後はあんな無茶しないでね!次は無傷じゃ済まないかもしれないんだから!」
それでも最後は心配してくれる咲。
「うん、ありがと」
へにゃっと笑ってそう言えば咲も笑ってくれる。
さてそろそろ練習に加わらなきゃ、と思ったところで呼び止められた。
「黒川」
こ、このドストライクボイスは…あやつしかいない!!
「恭夜くん、どうしたの?」
あくまで荒ぶっているのは内心だけなので、いつも通りに接しながら彼の方に視線を向ける。
恭夜くんは少し眉間に皺を寄せながら言った。
「腕、痛めてるだろ」
そして先ほどおバカ男子代表ーー真也ーーに掴まれた所を指した。
ーーなんで気付いたのかなーー
そう思いながらも袖を伸ばして隠していた部分を露わにする。
もちろんそこまで酷くないだろうと思ったから隠していたんだけど、そうやらそれは勘違いだったらしい。
真也は無意識に爪を立てて手加減せずに行動したらしく、血が少し流れていた。
ーーげ、マジかーー
幸い笑麻も咲もさっさと練習に戻っていたので騒がれなかったが、まさか恭夜くんに気付かれるとは吃驚だった。
けどまあこれくらいならほっといても大丈夫…と思って言おうとしたのだが。
「保健室行くよ」
有無を言わさずにそう言って先生に伝えるなり私を保健室に連れて行った。
なんだか逆らえず黙ったついていくことにした私だが、正直現状についていけていない。
少し前を私が付いてきやすいように歩く恭夜くん。
けだるげなその歩き方がまた絵になる、と言うかよくいそうなイケメンアニメキャラみたいで、素晴らしい時間だった。
…腕は痛いけど。
結局恭夜くんは保健室に着くまで一言も発さず振り返ることもなかった。
保健室についてすぐ。
「失礼します」
そう言って中に入っていく恭夜くんの後を追うように中に入ったのだが…。
「先生、いないみたいだね」
私はそう言ってベットの置いてあるところに視線を移す。
先ほどの出来事で怪我をした伊理塚がやたらと授業に戻ろうとするので先生と手を組んで軽い睡眠薬を飲ませ、ベットに寝かせているはずなのだが大丈夫であろうか。
「…何してるの?」
恭夜くんが訝しげにそう言ってきたので苦笑して返す。
「実はさっき伊理塚を保健室に連れて着た時、あいつすぐに練習戻るって聞かなくて。仕方がないから先生と手を組んで軽い睡眠薬飲ませたんだけど、ちゃんと効いてるかなって思ってね」
そう言って少し開けていたカーテンを閉めた。
軽くても睡眠薬は睡眠薬なのでもちろんしっかり効いていた。
それをわかっていて先生は保健室から出たのだろうけど、やはり実際に使った経験がないと不安は残るものだ。
そう言った私を見て恭夜くんは興味を失くしたのか何も言わずに絆創膏等を取り出している。
ーーもしかして応急手当的なことするんですか?そんなことするほどでもないけどーー
黙ってみていれば本当にそうするようで、椅子に座るように促してきた。
「恭夜くん応急手当できるの?」
私の問いは無視されるかとも思ったが意外なことにちゃんと答えてくれた。
「何度かやったことあるからできなくはない…不安?」
意外なところで聞いてくる恭夜くんは、私が恭夜くんがする応急手当を不安に思っているのかと思ったらしい。
ーーやってくれるなら上手だろうと下手だろうと有難いものだから不安になんて思わないけどなーー
「不安なわけないじゃん(笑)」
問題があるとすれば、現在は伊理塚も寝ているから実質この保健室に二人であり、恭夜くんのドストライクボイスが聴き放題と言うところであろうか。
「それならいいんだけど」
そして話しているうちに思った。
変に話しかけるなオーラは一体どうして出ているのか、何となくわかった気がする。
ーーまあまだ本人には言わないけどね。恭夜くん自身が気が付かないと成長しないからさーー
それからはほとんど話さずに恭夜くんは応急手当を終え、丁度チャイムが鳴ったので保健室を出たのであった。
なんか微妙な意味深で終わってしまいました"(-""-)"
ひとつ言えるのは
もはや何でもありです!
物語がどんな方向に進んで行くのか自分にもわからなくなってきたので
そろそろ内容を確認しなおそうと思います。