第五話 愛故に
はい、前回投稿よりは早く出せたのではないかと思われます、。あと、文章量もちょびっと多くなっているのではないかと。
実家は美味しいものが色々あり、橋が進むのを止められません助けて。
今回は、前回登場の妹とその兄の話の、兄視点で進みます。ではどうぞ……。
世界には、愛する者のために底知れない力を発揮する者がいる。
世界には、常軌を逸した行動をとる者がいる。
愛を原動力に変えているあたり、二つは相反するもののように見えて、似たものなのだろうか。
ここにも、家族から注がれる、狂った愛に飲み込まれた男が一人。
「……ちゃん!」
「…いちゃん!」
……ん……?声……?まるで誰かを呼んでるみたいだな。
「お兄ちゃん!!」
「…ぅん?」
僕は、必死に僕を呼ぶ声と、頭にくる鈍痛によって意識を覚醒させた。そして、目の前には年齢の割には小さな身体と、声からは想像もつかない程大きな狂気を孕んだ少女が、僕の部屋のベッドの横に立っている。なぜ僕はベットで寝ている?鈍痛は?ケータイもないぞ。いや、それよりも先に聞きたいことがある。
「雪花、どうしてここにいるんだ……?何故僕の家の場所を知ってる?」
「どうしてって、急に会いたくなっちゃったからだよ。何でか…か。それは、血が繋がってなくとも、大好きなお兄ちゃんの場所くらいすぐにわかるから……かな?」
「なら、何故僕を殴った?」
「どうしてか分からないけど、お兄ちゃん、逃げちゃうかもしれないって思ったの!」
雪花は、理巧を殴ったということに全く罪悪感を感じている様子もなく、まさに正しいことをしていると疑わない子供のように、終始嬉しそうに話をする。
理巧は、雪花をここまでにしてしまった自分の行動を呪った。ちゃんと会っていれば。もっと電話の頻度を、メールを…と考え出せばきりがないのだが。だが、ここで一度も雪花を責める考えが浮かばなかったのは、理巧が優しすぎるが故か。そんな雪花から放たれる狂気を受け、機嫌を損ねてさせてはいけないと、理巧の頭には警告が常に出されている。
「ね、お兄ちゃん、僕、お兄ちゃんと遊びたい!何して遊ぶ?トランプ?テレビゲーム?ボードゲーム?お外へは出して挙げられないけれど…」
遊びたがる雪花に対し、なるべく刺激を与えないよう理巧は言葉を発する。
「そうだね、僕も雪花と遊びたい。でも、お兄ちゃんは、仕事場に少し用があるんだけど、行ってはいけないか?」
理巧はその時、一瞬にして部屋一面が凍りつくのを感じた。
「お兄ちゃん?僕はお兄ちゃんをここから出してはあげられないよ?」
「ならせめてケータイを返してくれ。指示を出さないといけないんだ。」
理巧は、少しでも行動を取りやすくするための譲歩を雪花から引き出そうとする。
「わかった。僕、お兄ちゃんに迷惑はかけられないもん。その代わり、僕も見てていい?いいよね?」
有無を言わさない雪花に気圧されながら、理巧はメールを送る。
【睦葉君。突然失礼する。そのしらすの飼育方法を伝える。初めてなのにすまない。そこまで手間はかからない生き物だ。
変に触らず、餌を入れておけば問題はない。観察、レポートはよろしくお願いする。そして、急に熱が出てしまって僕は少し顔を出せそうにない。迷惑をかける。それでは頼む。】
「これでいいか?」
「うん。誰に送ったの?女の子?」
「最近一緒に観察のレポ作ることになった子。後輩の女性だよ。」
「そっか、じゃあその子のアドレス教えて」
雪花の声が、一段と低くなったのを感じた僕は逆らうこともできず、彼女のアドレスを教えるしかなかった。
うん……嫌ですよ?鈍器で殴られるとか。それも家帰ってすぐに。
なんかこれ書いてますと、「お兄ちゃんどいて!そいつ〇せない!」なんて言葉を思い出したりしちゃいますね。
さて、話変わって最近は暖かくもなり始めましたが、読者様いかがお過ごしでしょうか。私はこたつの化身として家を守っております。
と、無駄なあとがきを残して、このへんでおいたまさせていただきます。ではでは〜




