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引っ越しとウソ

作者: 島波 奏楽

 

 ウソだろ……。

 

 俺は己の耳を疑った。


「おいっ、今なんて言った!?」

「だから言ったでしょ? 世界で一番遠いところに引っ越すことになったって」

 

 とてもうざったそうに言う幼馴染の小雪。


「でもなんでそんなところに……。しかも来月の頭って、もうすぐじゃねぇか! なんでそういう大事なことをもっと早く言わなかったんだよ!!」

「だって、別に啓介に言う必要ないでしょ」

 

俺はがっくりと肩を落とした。俺って小雪の中だとそんなに低かったのかよ……。俺の小雪への想いとの落差に絶望感すら感じた。



そんなやり取りをしてから二週間後、小雪たちは引っ越していった。

そう……引っ越していったはずだった。

なら、なんでココに小雪たち一家がいるんだ!? 


「おい小雪、なんでココにいるんだ? 世界一遠いところに行くんじゃなかったのか?」

「ふふふっ、言ったでしょ? 世界一遠いところだって」

 

小雪がにやにやと笑いながら言ってきた。その顔をみて、俺は嫌な予感がした。昔から何かイタズラをするとき、小雪は決まってこういう顔をする。


「ほら、私、昨日までは啓介の『左隣』の家だったでしょ? そして今度は啓介の『右隣』の家。ほら、地球をほとんど一周回ったところにある、まさに『世界一遠い場所』でしょ?」

 

俺は呆れと驚きが入り混じって、何も言えなかった。

いや……、確かにそうだけどさ……。

しかも今は四月一日の午後。エイプリルフールはもう終わっているからこれはウソではなく、本当に起こっている出来事だ。完全に小雪に一本取られた感じがして、少し悔しい。

 ……まあ、これからも小雪と過ごせるからいいとするか。



Fin


最後にニヤッと笑ってくれていたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] フレーズがすごく気に入りました。なんだかロマンチック と世界一遠い目をして言っております
2015/10/15 08:32 退会済み
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