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運命の方程式  作者: A9
6/23

当たり前-幼馴染み=X

毎年恒例行事、洋介の誕生日。毎年恒例という言葉がいつまで続くのか初めて考え始める亜美・・・。

5月23日 土曜日


ピンポーン

「はぁい。」

ガチャ

「亜美ちゃんいらっしゃい。」

「こんにちは~こないだは彗とお邪魔しましたぁ。」

今日は洋介の誕生日プレゼントを買いに行く日。

「いいのよ~、さ、あがってちょうだい。」

洋介のお母さんは、気立てが良くて優しい人。

「お邪魔しまーす。」

「洋介~亜美ちゃん来たわよ~。」

「あれ?今日誰もいないの?」

「そーなの、お父さんは朝からゴルフで、娘2人はそれぞれ遊びに行ってて。」

「そーなんだ、おばさん一人じゃ暇じゃない?一緒に買い物行く?」

「いいわよ~、誰もいなければのんびりお昼寝でもするから〈笑〉」

「そう?」

ガチャ

「おはよー洋介。」

「おはよう。」

「ほら、洋介。これで美味しい物でも食べといで。」

おばさんは洋介にお金を手渡した。

「えーおばさんいいよぉ!」

亜美は遠慮した。

「なぁに、遠慮なんて覚えちゃダメよ亜美ちゃん!デートは男が支払うもんなんだから!」

「いやデートじゃないけど。」

「いいのよ、こーゆーこと教えるのも母親の仕事なの♪洋介のリハビリだと思って頂戴。」

(おばさんには口答えできないなぁ〈笑〉)

「わかった、じゃあ遠慮なく。行こうか洋介。」

亜美と洋介は家を出て東平駅前のプラザへ出かけた。


「なんか久しぶりだね~2人でこうやって出かけるの♪」

「そうだな。」

「・・・?」

亜美は洋介の顔をじっと見た。

「何?」

「いや、今日はちゃんと会話になってるなって思って・・・。」

「・・・・。」

洋介は亜美から視線を逸らした。

「えっ何?」

「いや・・昨日・・。」

「昨日?何?」

「・・・・。」

《昨夜の回想》

バタン

「洋介~!」

洋介の部屋に愛華が押し入って来た。

「・・何・・。」

「明日、亜美と買い物行くでしょ?」

「あぁ。」

「ちゃんと会話成り立たせろよ。亜美につまんない思いさせたら只じゃおかないからな。」

「・・・。」

「分かったのかっ?」

愛華は洋介の前に仁王立ちし、睨みをきかせた。

「あぁ・・・・・。」

「よし。明後日、ちゃんと亜美に確認するから。相手が亜美とはいえ、2人で出かけるんだ、男の責任とれよ!」

(・・・責任?)

「あっ、楓からもそう言われてるから。じゃ」

バタン


「・・・って。」

「ぷっ・・アハハ」

亜美は思わず笑った。

「何がおかしいんだ?」

「ごめん、洋介はマナねぇと楓兄には弱いよねー。」

「・・まぁ。」

洋介は意気消沈した表情

「じゃあ今日は、洋介がリードしてくれるんだ。」

亜美はニヤッとして洋介を見た。

洋介は浅い溜息をついた。

「あー溜息!」

亜美はいつもと少し違う洋介を見ているようで心から嬉しかった。


《プラザ》

「ひゃーやっぱり休みの日は人多いね~。」

「うん。」

「とりあえずお昼でもたべよーか、お腹すいたでしょ?」

「・・・何食べたい?」

ニヤニヤ

「いちいちニヤニヤするなよ・・・。」

洋介は顔を背けた。

(きゃーしんせーん!!洋介照れてる〈喜〉)

「うんとねー、ピザ!」

「ピザ?じゃぁ・・・」

洋介は店内案内板を見て、店を探している。

(あ・・ここなら・・。)

「亜美、五階・・」

洋介が振り返ると、亜美の姿が無い。

(どこ行った?トイレか・・・?)

洋介は近くのベンチに座って待とうと、ベンチの方へ移動すると・・・。

「ほんと偶然だね~、何買いにきたの?」

(あ・・亜美。誰と・・ん・・将也)

「俺は服買いに。」

「友達と来たの?」

「うん、同中の奴と。亜美ちゃんは?」

「あたしは洋介と。」

「亜美。」

「おう、洋介!何デート?」

「あぁ。」

(マジっ〈驚〉)

「ばかっ違うでしょーが!ちゃんと否定しなさいよっ!」

「アハハ、びっくりした~。幼馴染みだもんね、2人で買い物なんて普通の事なんでしょ。」

将也は亜美をなだめる様に言った。

「そーゆーこと。」

「まさやーお待たせ―。」

「友達来たよ、じゃぁまたね。」

「うん。今度は俺と2人でデートしようよ亜美ちゃん♪」

「アハハまたまたぁ。」

「じゃーな、洋介」

「あぁ。」

将也は颯爽と去って行った。


「いきなり声かけられてびっくりしたよー。」

亜美は笑顔で洋介に言った。

「・・・。」

「何?何か言ってよー」

「・・あ、五階にピザ食べられるとこあった。」

「じゃあそこ行こうか。」

「あぁ。」

5階まで上がる為エスカレーターに乗りこむ。

「亜美、前。」

「え?」

洋介は亜美を自分の前に誘導した。

この日亜美はスカートでヒールを履いていた。

洋介の後ろは中年のおやじ。

(こーゆーとこ優しいんだよなぁ洋介)


《5階》


「ここだぁ、結構混んでるね。」

入り口に行列が出来ていた。


「洋介並ぶの平気?」

「うん。」

「なら良かった。」

行列に並ぶ2人。


「若村君て、明るくておもしろいよね。」

亜美は洋介に尋ねた。

「あぁ。元気だよなあいつ。」

洋介は無表情で答えた。

「洋介と真逆って感じ。」

「・・・うん。」

洋介は亜美の方と逆の方を向き答えた。

「そーいえば、洋介って中学時代モテたんでしょ?」

「別に。」

「嘘つけー、真紀が言ってたもん。何回か告白されてたって♪」

(・・・そうだっけ?)

「洋介とそんな話しないから知らなかった、何かちょっと寂しかったな。」

亜美は少し寂し気に言った。


「・・・聞かれたことないから・・。」

「じゃぁ、聞いたらちゃんと答えてくれるの?」

亜美は目を輝かせて洋介を見た。


「まぁ・・。」

「マジ?じゃあさぁ、彼女いたこととかあるの?」

「無い。」

「何で付き合わなかったの?」

「めんどうだから。」

「ハハ・・洋介らしいね。じゃ、好きな人はいるの?」

「・・・・・。」

洋介は黙り込んだ。


「えー秘密な感じ?まぁ言えない事もあるよね♪」

「次のお客様どうそ」

「あっうちらの番、行こう」

亜美は店員についていった。


「やっと座れたねー何食べようか?」

メニューを見て嬉しそうな亜美。

注文をし、料理が来るまでの間も、笑顔が絶えない。


「楽しそうだな。」

「うん。だって、いつもより洋介しゃべるし、今まで知らなかった事も知れたし。」

「そう。」

「うん、まぁ彼女とか出来たら教えてよね!幼馴染みの特権で♪」


「・・・亜美はいるのか」

「え?彼氏?」

「いや、いないの知ってる。」

「好きな人?」

「うん」

「いないし、告白とかしたこともされたこともないし〈悲〉」

亜美は言っていて悲しくなってきた。


「なんかごめん。」

洋介は淡々と謝罪。


「やめてっ何か余計悲しくなる!」

亜美はテーブルに伏せた。


その様子をじっと見る洋介。

「な~に~よ~・・・可哀想な奴とか思ってんじゃないでしょうね!」

「別に・・・。」

「まぁでも恋愛なんてこれからでしょ!」

亜美は起き上がり胸の前で両手をグーにして意気込んだ。


「欲しいのか?彼氏?」

「うーん微妙だけど、皆そういう経験あるのに自分だけ無いのも悲しいじゃん。」

「・・・そーゆーもんか?」

「さぁ?でも自分を好きになってくれる人がいて、その人の事嫌いじゃなかったら付き合ってみてもいいかなって思う。」

「お待たせしました。マルゲリータとベーコンのピザになります。」

「来た来たぁ~」

亜美はお待ちかねのピザに幸せそうな顔をしている。

そんな亜美を見て、洋介は微笑んだ。


「洋介食べよう♪」

「あぁ。」


数分後


「あー美味しかった。」

「あぁ。」

「じゃぁ、メインを買いに行きますか。」

そう言って、2階のスポーツ用品店へ。

「バッティンググローブ、バッティンググローブ♪」


「よう、橘。何してんだ?」


「あ、こんにちは。」

洋介が男の人2人にあいさつをしている。


(誰だろ?)


「・・・バッティンググローブを買いに。」

「そーか、一人か?」

「幼馴染みと一緒です・・・。」

「幼馴染み?」

2人は洋介の後ろを覗き込んだ。


「どうも・・。」

(めっちゃ見てる・・・)


「えっ、女と2人で買い物か!?」

「橘が?」

「・・・はい。」

アハハハ

2人は爆笑している。

〈ねぇ、洋介誰なの??〉

亜美は洋介に後ろからこそっと尋ねた。

洋介は顔を亜美の方に向け

〈部活の2年の先輩。〉

〈あぁ・・。〉


「彼女って訳じゃねーの?」

「違います・・・。」

「橘と同級なの君?」

先輩の一人が亜美に話しかけてきた。

「あ、ハイ。私も東平高校です。いつも洋介がお世話になってます。」

亜美は、笑顔で頭を下げた。

「まじ~ちょう出来た子だね~。」

「名前は?」

「日向 亜美です。」

「亜美ちゃん、こいつ普段もあんまりしゃべんないの?」

「まぁ、そーですね。」

「橘と2人で出かけて楽しい?」

「あたしは慣れてるんで。」

(なんかこの人めちゃ失礼・・・。)


「おい、赤津失礼すぎ。」

「あ~わりぃ・・。なんかギャップがさぁ~まさか女づれで買い物してるとか予想外過ぎて。」

「ごめんね亜美ちゃん、気を悪くしないでね。橘も。」

「別に、大丈夫です。沢木先輩。」

(沢木先輩って人何か大人な感じでちょーいい人っぽい!)

「じゃぁ、邪魔してごめんな。」

「じゃーなー」

「はい。」

2人は去って行った。


「なんか、あの赤津って先輩無神経だね。」

「・・・あぁ。」

「でも沢木先輩はステキな人だね~大人って感じで背も高いし!」

(あっ、何か知佳のタイプっぽい〈笑〉)

「沢木先輩は・・・いい人だな。」

洋介は笑顔で言った。


その後2人は、お目当ての品を買いプラザ内を見て周り家路に着いた。


《洋介宅》


「あらお帰り、お目当ての物はあったの?」

「あったよー♪でも渡すのは明日にするの。」

「今日でいいって言ったんだけど・・・。」

「だーめ、こーゆーのは当日に貰うから意味があるの!」

「そーよ洋介、女心理解しなさい。」

(・・・・。)

「じゃあ、明日また来るねー。」

「待ってるわ。」

「送る・・。」

「大丈夫、まだ明るいから!」

「そう。」

「じゃあ、お邪魔しましたー。」


晴れやかな気分で家路につく亜美だった。



《翌日》


5月24日、日曜日。洋介16歳の誕生日。

橘家と日向家は、子供たちの誕生日は両家でお祝いをするのが昔からの習慣。


《日向家》


「母さん、洋ちゃんのプレゼント持ったか?」

「えぇ、バッチリよ♪」

母は楽しそうにプレゼントを胸に抱えている。

「お母さん達何あげるの?結構大きい感じだけど。」

「秘密よー♪」

「どーせセンスのない物だろ・・。」

楓は冷めた口調で両親を見る。

「そーゆー楓兄は?」

「俺?男のロマン。」

楓が淡々と言ったその言葉に家族の冷めた視線。

「まさか・・・・」

亜美は嫌な予感。


「楓、あんまりいかがわしい物はいかんぞ、めぐちゃんも年頃なんだからな。」

「そーよ、大丈夫でしょうね?」

「もう手遅れ〈笑〉」

楓は悪い顔をした。

「ちょっとーマジ何あげる気!」

亜美は楓に詰め寄った。

「大丈夫だって、冗談だよ。」

(信じられない・・・。)

疑いの眼差しを向ける亜美。


「ほら、もう行くわよ♪」

ウキウキして楽しそうな母。

「うん。」

日向家は4人で橘家に向かった。


《橘家》


「愛華~これ運んで~。」

「うん。愛実あれどかしといて。」

「はーい。」

「ちょっと、お父さん座ってないで手伝って!」

「あぁ、何をすれば?」

「洋介呼んできて、もうすぐ日向家くるでしょ?」

「そーだな♪」

父がリビングから出ると。


ピンポーン


「はい~。」

ガチャ

「こんばんは~♪」

「いらっしゃい。」

「洋一さんが出迎えてくれるなんて珍しい~。」

母は洋一に笑顔で言う。

「洋一くん久しぶりだな~。」

「本当久しぶりですね~、要さんも、元気でしたか?」

「私はこの通り元気だよ~。」

洋一は、立派に育ったお腹をポンと叩いて見せた。

「ちょっと、お父さんたら~♪」

アハハハハ

(かなめ)は亜美の父。母は由美(ゆみ)

笑い声を聞いて実華がリビングから顔を出した。

「お父さん、そんなところで話してないで、あがって頂戴。」

「さ、どーど。」

「お邪魔しまーす。」


「あー楓だぁ~」

愛実が楓を指さす。

「よう愛実久しぶりだな~。」

楓は愛実の頭をグシャグシャと撫でた。

「やめてよっ!変態ッ!」

「あぁ!誰が変態だよっ!」

アハハハ

ガチャ

「洋ちゃん、何か久しぶりね~。」

洋介が洋一と一緒にリビングに入って来た。

「そう?」

「朝会わなくなっちゃったから~。実華、手伝うわ。」

「ありがと、由美♪じゃあこれお願い。」

女性陣は、テーブルに料理を運ぶ。

「それにしても、愛華ちゃんも、メグちゃんも少し見んうちに大きくなったもんだ。」

洋一はソファーに腰掛けながらニコニコしている。

「そー?おじさんも少し大きくなったんじゃない?」

愛華は、洋一のお腹をつまんだ。

「あっはっは、ほんと愛華ちゃんにはかなわねーなぁ~。」

「ちょっと、愛華洋一さんに失礼でしょ!ごめんなさいね。」

実華は困った表情をした。

「いいのよ、お父さん愛華ちゃんにメロメロだから〈笑〉」

由美は笑顔で実華に言った。

料理が出揃い。

「さ、座って~始めましょう。」

9人はリビングのテーブルの周りに座った。


「めぐ、亜美ねぇの隣~♪」

愛実は亜美の隣に座った。

「あたしも亜美の隣に座ろうっと。」

愛華も亜美の隣に座った。

「じゃあ洋介、お前はここ。誕生日席な〈笑〉」

「・・・。」

楓は要を誕生日席へ座らせ、自分はその向かいの席に座った。


「楓の席も誕生日席じゃん。ずうずうしー」

愛実は生意気な口調で言う。


そして洋介の誕生日会という名目の会食は始まった。


「洋ちゃん、誕生日おめでとうな。これおじさんとおばさんからだ。」

日向家の両親から洋介にプレゼントが渡された。

「どうも・・。」

「洋介開けてみなさいよ。」

愛華が洋介を促す。

洋介は愛華に促されるまま、袋を開けプレゼントを取り出した。


「・・・・・・。」

「えーこれ〈笑〉」


愛華はプレゼントを取り上げて笑った。

「イエスノークッションじゃない!」

「やだぁ~洋一さんと由美ったらぁ~。」

実華は照れながら大笑い。


(バカ親!楓兄のこと言えないじゃんかぁ!!じゅうぶん如何わしい!!)

亜美は心の中で激しく突っ込んだ。


「良かったなぁ洋介~〈笑〉」

洋一も笑っている。


「洋介彼女ないのにこれ必要?」

愛実は鼻で笑った。

(メグちゃん軽くあしらってるしーー〈驚〉)


「これからよねー洋介♪」

洋介は無表情で固まっている。


「じゃ、これ俺から。」

楓は商品券のようなチケットを渡した。

「どうも・・。」

「何?」

「無料食事券・・。」

「食事券??」


「それ俺のバイト先の食事券。ペアでコース料理無料だぞ!しかも特別無期限にしてやった。」

「まじっ、楓あたしにも頂戴よ!」

食いつく愛華。

「無理言うなよ・・・。」

「良かったじゃないか洋介、いい子出来たら一緒に行ったらいいじゃないか。」

洋一は意気揚々としている。

(・・・いい人・・。)

「俺のバイト先は、結構な人気店だからな!早く連れて来いよ。」

楓はニヤニヤしている。

「・・ありがと。」

「じゃあ、これ洋介。誕生日おめでと。」

亜美もプレゼントを渡した。

「ありがと。」

ニコ

「何よーなんで、亜美ねぇの時だけ笑うわけ~。」

亜美は昨日買ったプレゼントを渡した。

「なんだっけ、バッティングなんとかだっけ?」

愛華は半笑いで洋介を見た。

「そう。」

(なぜ半笑い・・。)


その後大人達はお酒を飲み、亜美は愛実とおしゃべり。

洋介は、愛華と楓に絡まれていた。


「なー洋介、実際どーなの?」

「何が・・?」

「彼女とか作る気ないわけあんた?」

「別に・・。」

「ほんとにマナねぇの弟かよっ!」

「どーゆー意味よ〈怒〉」

「すいません・・つい。」

「高校生になったんだし、少しはそーゆーことに興味持たない訳?」

愛華は険しい顔をした。

「お前、部屋にいかがわしい本とかないだろ!」

「・・・・。」

洋介は遠い目をして2人の話を聞き流している様子。


「健全じゃないわねー。」

「じゃぁ・・・亜美と付き合ってたりは?」

楓の突拍子の無い質問に、愛華は口をポカンと開けた。

「・・・ない。」

「そりゃそうでしょ・・、つーか亜美も色気無さすぎと思わない?」

「わが妹ながら、変に純情派と言うか、鈍感と言うか・・。」

愛華と楓は溜息をついた。


「てゆーかさ、洋介がそんなだと、亜美が男を男と見なくなるのよね。」

「まぁ亜美も浮いた話ないからなぁ、わが妹ながらちょっと悲しいなぁ。」

「普通なら、亜美は結構可愛い方だし、亜美を好きになったことのある奴1人ぐらいはいるはずなのよ。でもおそらくアプローチされても今まで気づいて無いんだと思うわ。」

「えっ?可愛いか?」

楓は顔を引き攣らせて亜美をチラ見した。


「中の上はいってると思うけど?」

(そうか・・〈疑〉)

「まぁ、高校男子なんて飢えた狼だし、少しでも可愛いと思えば、今後手を出しにくるでしょうけど。あの子がアプローチに気づくかが問題。だからちょっとぐらい強引な方がいいかもね~。」

「まぁ確かにそれはあるな。」

「どーせ本当の愛なんてそこにはないし、恋してますぅなんて妄想してるだけだからね。」

冷めた目でせせら笑う愛華。

「マナねぇちょっとひねくれてね?」

「別に。真実よ。」

愛華は見下すように言う。


「と、とにかくお前も、少しは女に興味持てよ。」

「・・・。」

無言でジュースを飲む洋介。


そして夜も更け。


「お邪魔しました~。」

「また来てねー。」

日向家は家路に着いた。


「あ~何か疲れたー。」

楓は背伸びをしながら風呂場へ向かった。

「いやぁ飲んだ飲んだ。」

父は満足気にソファーに座った。

「楽しかったわねーほんと。」

母は台所でお茶を入れている。

「てゆーかさぁ、一番いかがわしいのあげたのお母さんたちじゃん〈苦笑〉」

亜美は呆れた顔で、母に言った。

「だってぇ洋ちゃんにも春来て欲しいんだもん。」

「はぁ~。洋介困ってたよリアクション。」

「アハハ、洋ちゃんはもともとリアクションしねーだろう。」

「そーだけど。」

「来年は、彼女と過ごすから無理とか言ってくれないかしら♪」

「そしたら洋ちゃん抜きでパーティだなぁ!アハハ」

(そっか・・。)


毎年恒例のパーティ。

毎年恒例のプレゼント。

毎年・・毎年・・そう言っていられるのはいつまでなのだろう。

一番身近な存在でいられるのは・・いつまでなのだろう・・。

当たり前の日常から、幼馴染みという存在を引いたのなら、私と洋介の間には何が残るんだろう・・・。


楽しかったはずなのに、答えの出ない淋しさが残った。

そんな幼馴染みの16歳の誕生日の夜だった。



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