表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の方程式  作者: A9
3/23

野球≦心配=X

野球の為に入学したはずの高校なのに、部活に入部しない洋介。

その理由とは一体・・・。

東平高校に入学して約一か月が経った頃。



《1年1組 お昼休み》


「あ~。いい天気だなぁ~・・。」

ベランダに座り込み大きく背伸びをする亮

その周囲には、数人の男子が集まっていた。

ほんわかした昼下がりに、教室の中から洋介を呼ぶ声がした。

「お~い洋介~。」

「ん?」

洋介は立ち上がり、教室の中を見る。

「いたいた、何か2年生が呼んでるぞ。」

教室の入り口を指さすクラスメイト。

(・・・・。)

「2年?」

ベランダに居た男子達は、2年からの呼び出しと言う言葉に反応し座ったまま洋介を見た。

「お前なんかやったのか?大丈夫か。」

亮が心配そうに聞く

「別に。」

洋介は表情一つ変えずにベランダから出ていった。

「おいっ・・。」

亮も立ち上がり、ベランダの窓越しに洋介を見る。

(・・・2年2人か・・・。なんだ・・?)

ざわざわ

教室内でも少しざわめきが起きていた。

「どんな感じの2年だ?」

「けっこうガタイのいい人と・・何か優しそうな人、今話し始めたみたいだけど。」

亮がベランダにいる奴らに説明する。

「大丈夫かよ洋介。」

「何したんだマジ?」

カラカラ

ベランダのドアが開く

「よう♪」

「よう。彗。」

亮がそっけなく挨拶を返す。

宮沢(みやざわ) (すい) 1年1組 野球部、そして洋介と幼いころからの親友。

「なんだよ、何か冷たくね?皆どーしたぁ?」

ノー天気に話す彗。

「今洋介が、2年に呼び出されたんだよ。」

「2年?」

彗は亮の視線の先を見る。

「あ~。あれなら大丈夫だぜ、野球部のスカウトだから。」

そう言って腰を下ろす彗。

ベランダの男子達は、一斉に彗を見た。

(・・あん?何その目・・?)

しかめっ面で彗を見る視線にプレッシャーを感じる彗。

「何でまた洋介が野球部にスカウトされんだよ〈笑〉」

冗談だろといった風にせせら笑う男子達。

「いやあいつ、中学時代は名のあるピッチャーだったんだぜ!」

信じてない友達に説明する彗。

「マジかよ!ギャップ激しいだろっ!」

「やる気出すのかあれが?亮知ってたのか?」

未だに信じきれない様子。

「俺も初耳〈笑〉」

「だからうちの高校にしたのかな洋介。」

「・・・ん?なぜ部活やってないんだあいつ!?」

キョトンとした空気が流れる。

そんな中、彗の大きなため息。

「それがさー、早く入部届だせって俺がいくら言っても・・『うん。』って言うだけで出す気配ないんだよ〈困〉」

どうしようもないといった感じでうな垂れた。

「ハハ・・それで先輩が直接勧誘に来たってわけか。」

亮は納得した様子で、ベランダに座り込んだ。

「なんだよ、俺の辛さ分かってくれないのか亮さんよー〈泣〉」

亮の足に縋り付く彗。

「高校で部活する気ねーんじゃねー?無理やりは可哀想だろ。」

友達のうちの一人、若村(わかむら) 将也(まさや)は窓枠に肘をつき真顔で彗を見た。

「やる気無い訳ねーよ。その為にここに入学したんだからあいつ。」

「やっぱりそうなんだ。」

「俺、洋介と10数年の仲だから、いくら無口で無表情でも、今何か考えてるって事だけは分かる。」

亮と将也は真顔で話す彗を見て思わず笑っていた。

「何だよ、何がおかしい?」

「洋介の事そこまで分かるので10年かかるのかと思って〈笑〉」

「3年じゃ、あいつの笑った顔すらたどり着けそうにねーなぁ〈笑〉」

アハハハハ

ベランダに笑いが響いた。

「笑いごとじゃねーよ!言っとくけど、あいつの感情を読み取る重要ワードがあるんだ。知りたいか?知りたいだろ!」

彗は、皆にに詰め寄った。

「あぁ〈困〉」

「うん、聞きたい・・。」

彗は満足げに頷いた。

「じゃぁ教えてやろう。洋介は、『うん』、『別に』、『・・・』、『なんで?』の単語でよく会話をするんだ。」

「会話にならんだろそれ・・なぁ亮・・。」

「あぁ・・。」

「でもな、その単語は使い分けがあいつなりにあるんだよ!何も考えてない訳じゃない!」

「そーなの?なんも考えてないだけにみえるけどな、無表情だし。」

「いやいや、あるんだよ。まず、『うん』は普通なら『分かった』的な意味だけど、あいつのは、から返事だから!何も了解してないし行動に移す気ほぼ0パーセント」

彗は右手の親指と人差し指で0を作りそこから2人を覗き込んだ。

「じゃあ、入部の件もまだ何も考えてないって事じゃん。」

冷静に発言する。

「そーゆーこと・・。だから今は何言ってもダメなんだよ。」

彗は溜息まじりに答えた。

「で、『別に』は?何か一番よく聞く単語なんだが・・。」

「おう、『別に』はニュアンスで多少異なるけど、主にあいつが使う『別に』は『別にそれで構わない』的なプラス思考気味の回答なんだよ!なんつーのあいつなりに考えがある時に使うってゆーか・・。」

彗は顎に手を当て険しい表情をしている。

「じゃあ、別にの時は何か考えてんだ・・・。」

「そう、だから『別に』って言われた時の会話が例えば2択の質問だとするだろ!」

「選択肢系の会話の時に『別に』って回答ありなの!?」

将也は半笑いで言った。

「あいつはアリアリ。野球やる?サッカーやる?って質問に『別に』って回答した時は、別にどっちでもいいけど、やる気はあるんだよ!その時の回答が、『うん』の時は特にやる気も無い感じなんだよ!」

「お前すげーな・・・。」

皆は彗の観察力に少し感動した。

「で、『・・・・』は、あいつが本当はいいたい事あるけど言わない時。」

「言わない?言えないじゃなくて?」

亮は目をパチクリさせた。

「違うんだなぁ、相手に気を使って言わないんだよ。」

「へ~・・。」

「『なんで?』は、あいつ自身本当に何が悪いのか分かってない時。ってゆーか別にそれで俺はいい思ってる時〈笑〉」

彗は笑って言った。

「じゃぁこないだの会話・・・。」

亮は目を大きく開いて将也を見た。

「何?こないだの会話って?」

彗は不思議そうに亮を見た。

「こないだ?」

将也も目をパチクリさせて亮を見た。

「あれ、あの時だよ。洋介が遅刻ギリギリでひなっちゃんと登校してきたときに、誤解されてひなっちゃんが可哀想だとかって言ったら、洋介確かに『なんで?』って言ってた。」

「あっ、言ってたかも!?」

「じゃぁ、洋介その子に・・ラブ?」

全員が、どよめいた。

冷やかしていた割に、洋介が恋をすることに現実味が帯びた瞬間、全員の心に、

まさかぁ!?といった躊躇いが生まれたのだ。


「ひなっちゃん?もしかして日向亜美のこと?」

「そう。あ、彗は同じ中学か・・。」

「あ~・・亜美ね〈笑〉あれは洋介の特別だから・・・。」

彗は少し困った笑顔をした。

「特別って?好きってことか?」

全員は興味津々

「う~ん、本人気づいて無いだけで、たぶんそうだと思うんだけど・・。なんか亜美を中心に生活してる節があんだよ。」

(あ。本人自覚無いのか。何か安心した)

なぜか安堵の表情を浮かべる連中。


「しかも。亜美の浮いた噂聞いたことないから、お互い恋愛に興味無いんじゃないか?」

「そんな女子いていいのか!?なんなら俺があの子に手を差し伸べてもいいんだぞ!」

将也は何故か少し嬉しそう。

「何だよ手を差し伸べるって!?」

「俺と付き合って女の喜びを知るとか。亜美ちゃんの未発達な恋愛脳をかい・・」

将也がウキウキで振り返ると

「よ、洋介・・〈汗〉」

「話終わったのか?」

「先輩に何て言われたんだよ相棒!」

洋介は無言でベランダに座った。

「洋介~さっきのは冗談だよ~〈汗〉」

将也は洋介の右隣からササッと近寄り無理やり笑顔を作った。

チラっ

ドキッ

洋介は一瞬将也を見て無表情でまた視線を逸らした。

(えぇーーーーこれはどんな感情なんですかぁ!?さっきの解説には無かったんですけどぉ〈焦〉)

「おい、洋介。お前何で入部しない訳?理由教えろよ。」

彗は真剣。

「・・・わりぃ。」

(あっ・・ニュー単語。)

亮は少しニヤッとした。

「お前のわりぃは、ほんとに悪いと思ってるのは分かってるよ。理由だよ理由。」

彗は、洋介の左隣でどっしりとあぐらをかいた。

「さっき先輩にも言ったんだけど・・。」

「何?」

「朝練・・出れないから無理ですって。」

洋介は無表情で彗を見て言った。

彗は眉間にしわを寄せて洋介を見た。

「・・・は?何お前朝強いじゃん・・?早朝ランニングしてるよな??えっ急に低血圧?あ?何か家の事情?」

ポカーンとする彗。

「それで先輩納得したのか?」

亮は心配そうに言った。

「さぁ。」

「さぁって!えっ何?どーした洋介!?朝なら俺が迎えに・・あっ!!!!」

彗は何かに気づいたかのように頭を抱えた。

「何だっ彗!?どーした?」

将也と亮は急に頭を抱えた彗に戸惑った。

「・・・そーゆーことだから。わりぃ。」

(どーゆーことっ〈困惑〉)

洋介と彗の会話に着いていけない友達達。

「お~ま~え~〈怒〉そんな理由通じるか!!」

彗は怒りながらも呆れてた。

〈お、おい亮・・・どーゆーことだよ・・?〉

〈さぁ・・・〉

「おいっ洋介待てっ!」

洋介は片手をあげ、ベランダから出ていった。

「あいつーーー〈泣〉」

「なぁ、彗何なんだ?」

将也は彗の肩に手を当てて聞いた。

「いや、俺ちょっと行くとこ出来たわ・・・。じゃぁ。」

目を据わらせてベランダから出て行く彗。

「彗、もう午後の授業始まんぞ!」

亮が彗に呼びかける

「保健室って先生に言っといてくれっ!」

怒りに身をまとった彗の様子に戸惑う亮。

「お、おう。」

「どーしたんだ彗?腹でも痛くなったのか?行くとこってトイレか?」

将也は首を傾げた。

(でももしかして、洋介が朝練出れない原因って・・〈笑〉)

ピンときた亮はクスッと笑った。

その様子を見た将也はさらに首を傾げた。

「あれ?洋介もいない・・?あいつも保健室か?」

「あいつこそトイレじゃないか。」


(たくっ・・洋介のやつ〈苛々〉)


《1年3組》

ガラガラッッッ

勢いよく、教室のドアが開く。


「亜美いる?」

「ひ、日向さん?」

「そう。」

(・・・なんかこの人怖い・・・。)

「あれ~彗じゃん!どーしたの~?」

ギロッ

(えっ何!?あたし睨まれてる〈怖〉)

「ちょっと、何か亜美睨まれてますけど・・・」

知佳の顔が引き攣った。

「えぇ・・同中の男子何だけど・・何かしたかなあたし・・。」

亜美は知佳に身を寄せて彗との距離をとった。


「ちょっと来い!話がある!」

「えっでももうすぐ授業始まるけど・・。」

「サボれ!いいからサボれ!」

「なんつー横暴なっ!やだよ!話なら次の休み時間でいいでしょ!」

スタスタスタ

(えっ・・・。)

ガシッ

(えぇぇぇぇぇ!?)

「あ、亜美!?」

「いいから来い〈怒〉」

彗は亜美の腕を掴み、教室から連れ出した。

「ち、知佳ぁぁぁ!!」


(あ・・連れ去られた・・。)

知佳は彗の迫力に圧倒されその場に立ち尽くした。

〈何あれ~、チョー強引!〉

〈何か憧れる~〉

〈あれ野球部の人だよー彼氏かなぁ!〉

教室は黄色のざわめきがおきていた。

「何よあれ!ただの男好きなんじゃないの!二股でもして怒らせたんじゃない!」

「そーだよ、どんな男にもいい顔しいなんじゃなの~」

「ひっどーい女」

理沙と舞と由依が皆に聞こえるような声で言い放った。

「やめなよそーゆーこと言うの」

「そーだよ。」

真奈美と有希が3人に言った。

「本当のことじゃん。言って何が悪いのよ」

舞が2人を睨んだ。

「で、でも・・・」

ポン

「知佳・・。」

知佳は、有希の腰に手を当て余裕な表情で2人の顔を見た。

「何よ知佳文句あるの?」

「べつにー。亜美の悪評立てることでしか亜美に勝てないような負け犬に興味ないから〈笑〉さっ、授業始まるから席に着こう。」

知佳は満面笑みで、3人に言い、有希と真奈美と席に着いた。

クスクス・・・

教室では、啜り笑いが聞こえていた。

理沙達3人は、顔を赤くして下唇を噛んだ。


キーンコーンカーンコーン


《一方、屋上にて》


「・・・ちょっと彗〈怒〉」

亜美は怒っていた。

「何でお前がキレてんだよ!」

「授業サボっちゃったじゃんか!!バカっ!何よ何なのよ!」

「と、とりあえず座れ、なっ。」

彗は亜美の両肩を下に押して無理やり座らせた。

そして、彗も亜美の正面に座って向かい合った。


「何?告白ならお断りよ。」

「違うから。」

彗は喰い気味に答えた。

「じゃあ何?」

「洋介のことなんだけど。」

「は?洋介が何か?」

「部活入部してくれないんだけど。」

彗は悪意を込めた言い方をした。

「はぁ〈怒〉それがぁ?」

「お前のせいで。」

「・・・・・はい?」

亜美は鳩が豆鉄砲を食らったような表情をした。

「はい?じゃねーよ!亜美おかしいと思わなかったか?あいつが野球部に入部してないこと!」

「いや、それは気になってはいたけど・・本人がやる気ないのかと。えっあたし関係ないでしょ?」

亜美は彗の言っている意味が分からなく困惑している。

「理由きいたか?」

「聞いたけど、確か・・別にって言ってたかな。」

「それで?」

「えっ?それでってのは?特にそれ以上聞いてないけど?」

亜美は瞬きを数回した。

「なんでだ!お前どんだけ洋介と一緒にいてあいつの気持を理解出来ないんだ〈泣〉」

彗は絶望感に襲われた。

「何気持って〈笑〉彗どうしたの?大丈夫?」

喜怒哀楽の激しい彗の様子が滑稽に見えてきた亜美。

「はぁ~・・・あのさ、洋介朝練出れないから入部出来ないって言ってんだよ。」

「朝練?え~何その言い訳~〈笑〉洋介早起きじゃんバカみたいに。」

亜美は笑いながら言った。

イライライラ

「ん?何怒ってんの彗?」

「お前、洋介に鈍感すぎ!」

「へ?」

「あいつはっっ」

「彗。」

えっ・・

聞き覚えのある声に亜美と彗は屋上の入り口の方を見た。

「洋介~♪」

「よ、洋介・・〈汗〉」

そこには洋介が立っていた。

「洋介もサボり?珍しいね。」

亜美は笑顔で言った。

それに対し、彗は動揺していた。

「何でお前ここにいんだよ〈焦〉」

洋介は何も言わず2人の方へ近づく

「洋介も座りなよー、何かさぁ、彗が洋介が部活入部しないってあたしにいちゃもんつけんだよ!」

「イヤイヤイヤ、そっそっそ・・」

(ヤバイヤバイ・・・・)

彗は慌てふためいた

「・・別に亜美は関係ないから・・。」

「だよねー、彗が変なんだよ~〈笑〉」

「いや、絶対亜美のせいだろ!あ・・・」

彗は思わずちょっと待てとばかりに突っ込んでしまった。

「はぁ?何でよ?」

亜美が冷めた目で彗を見ると、亜美の背後から更に洋介の無言の圧力を感じた。

―ゾゾゾ・・・・―

彗の顔から血の気がひいた。


「ん?彗?」

亜美は彗の様子がおかしいことに違和感を感じた。

「なんでも・・・ないよ・・・〈シュン〉」

シュンとした彗を見た亜美は、少し可哀想になり

「ねー洋介、良くわかんないけど野球やりたくないの?」

「別に。」

「やりたくない訳じゃないなら、入部したら?なんか朝練出れないとか訳わかんない言い訳してないでさ。」

(言い訳っておい・・・・)

表情が曇る彗。

「別に。」

「あたしは、洋介野球やった方がいいと思うな。彗と洋介が野球やってる姿を見るのが、ある意味あたしの日課だったし。」

「・・・・。」

「そーだよ!ほら、亜美もお前の野球バカ姿見たいってよ!」

(亜美もっと言え!もっと言え!)

「まぁ、一緒に登下校出来なくなるのはちょっと寂しいけどさ、特に朝は洋介のおかげで遅刻逃れてたからさぁ~〈笑〉・・ん?」

「・・・。」

3人に少しの沈黙・・・


「あれ?彗?もしかして、ありえないと思うけど・・・えっ?洋介?まさか・・・」

「はぁ~・・」

彗は斜め下に視線を落とし溜息をついた

洋介は無表情のままボーっと立っている。

「えっ何マジ?!」

亜美はバッと立ち上がり、顔を青くして洋介の目の前に立った。

「・・・・。」

「あたしが遅刻するのを心配して、朝練出れないとかいってんのあんた!?」

(・・・やっと気づいたか・・)

彗は安堵の表情を浮かべた。

「ねぇ、そーなの!洋介!」

亜美は洋介の肩をガクガクと揺らした。

(・・うっ・・)

「なんで!洋介ごめん!そんな気にしないでよ・・・、家族ぐるみの付き合いだからってそこまでしなくていいんだよっ!自分の大事にしてるものを大事にしてよ!そこまでしてもらう筋合いない(・・・・・)からっ!」

ガシッ

(あ・・。)

洋介は亜美の両手を掴み、無表情で亜美の目をじっと見た。

無表情だけれど、いつもと少し違う雰囲気を感じた。

「洋介?」

「・・・あ。」

自ら掴んだ亜美の腕に目をやりそっと手を離した。

「うん。別に・・。」

その様子が、彗の目にはどことなく寂しそうに映った。

(・・・たぶん洋介ちょっと傷ついたな・・。)

「別にって・・。え・・・」

洋介はそっと横になった。

「寝んのかい!」

「洋介、入部は!?」

「・・・・するよ。」

洋介の言葉に、亜美と彗は目を合わせ


「やった・・・。」

「やったね!彗やったね!」

アハハハ

2人は顔を向い合せ喜んだ。


「なんかごめんねー彗!」

「いいっていいって、入部してくれるならもう何でもいい!」


そして、翌日。

洋介は野球部に正式入部した。


この日から、洋介と話す機会も減り。

2人の噂も嘘のように無くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ