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運命の方程式  作者: A9
23/23

誕生日×デート=Y

将也との誕生日デート。楽しいデートは急展開を迎える・・。

7月23日 夜7時


《橘家》


ガチャ

「ただいま。」

「えーやだぁ!何でぇ!」

「うるさいわねー仕方ないでしょ〈怒〉」

「お帰り洋介♪」

部活後、森山スポーツ整体に行ってから帰宅した洋介

リビングに入ると、愛実と愛華言い合いをしていた。

「ちょっとぉ、洋介どーいうことぉ〈怒〉」

愛実が洋介に詰め寄る。

「何が?」

「明日、亜美ねぇの誕生日なのに、亜美ねぇがいないってどーゆーことよー!!」

「え?」

洋介も初耳の事だった。

「あんたも知らなかったって顔ね。」

愛華は呆れたように言う。

「はぁ〈怒〉無駄に怪我するほど練習してないで少しは亜美ねぇの為に時間使わないからこーなんのよぉ!バカ洋介!!」

「・・・・」

愛実はイライラしながらソファーに移動した。


「洋介いいからお風呂は入っちゃいなさい。ご飯準備しとくから♪」

「あぁ。」

洋介は風呂場へ向かった。

(・・・プレゼントどうすっかな。)


《リビング》

「でもお母さんも言うの遅いよ。」

愛華はふてくされる愛実を見ながら言った。

「そうね~でも、こうなるの分かってたから逆に今日にしたのよ~♪」

意外と策略家の母

「・・・そう。」

(でも・・洋介にも話してないなんて・・亜美どうしたのかしら?)

違和感を感じる愛華。

「亜美ねぇデートかなぁ?」

淋しそうに言う愛実

「どーだか。この前来た真奈美ちゃんとかにお祝いしてもらうんじゃないの?」

「でも、いつかはこんな日が来てもおかしくないわよね~♪」

母は前向き。

「そーね。愛実だって、そのうちそーなるんだから、機嫌直しなさいよ。」

「うるさなぁわかってるもん。」

(かわいくねー〈怒〉)

怒りを抑える愛華。


数分後


ガチャ


洋介がお風呂から上がって来た。


「ごはん出来てるわよ♪」

「うん。腹減った・・。」

洋介が席に着くと

「ねぇ、あんたプレゼント買ったの?」

「うん。」

「いつ渡すの?」

「・・・。」

考える洋介。

「プレゼントなら、明日家に行くんだし由美にでも渡しておけば?」

母が笑顔で言う。

「ダメよ。」

喰い気味でNOと言う愛華

「どうして?」

「うちらはそれでいいけどさ、あんた達は直接渡さなきゃ。それでなくても最近話しもろくにしてないんでしょ。」

「別に。」

「別にじゃないよ、直接面と向かっておめでとうぐらい言いな。なんなら今からでもいいんじゃない。」

提案する愛華に洋介は

「・・いや、今日じゃダメ・・かな。」

「何で?」

「当日じゃないと・・。」

「は?何のこだわり?」

意味不明と言わんばかりの愛華

「あ~そうかぁ♪洋介の誕生日の時亜美ちゃん言ってたものね、プレゼントは当日じゃないと意味無いって。」

母はニコニコしながら言った。

「へ~あんたでもそういうとこは気を遣うのね。」

少し感心する愛華

もくもくと夕飯を食べる洋介。

「じゃ、明日亜美が帰ってきたら渡せば?あの子のことだからそんな遅くならないでしょうし、もしかしたらうちらがいるうちに帰ってくるかもだしね。」

そう言って愛華は席を立った。


洋介は何とも言えない気持ちで夕飯を食べ進めた。


《7月24日 東平駅 午後1時20分》


タッタッタッタ


「ご、ごめ~ん!!」

「亜美ちゃんおはよ♪」


将也のもとに走り寄る亜美。

それを笑顔で見る将也。


「走らなくて大丈夫なのに〈笑〉」

「でも、遅刻〈焦〉20分も遅刻しちゃったぁ・・ごめん」

申し訳なさそうに謝る亜美。

「いいって、さっ行こうか♪」

「うん。」


眩しい太陽のせいか、いつもより将也の笑顔が輝いて見える。


「今日はどこに行くの?」

「今日は亜美の好きな物巡り〈笑〉」

「何それ〈笑〉」

全く目的地の検討がつかない回答に笑顔になる亜美。

「まぁ、俺に今日は任せて♪」

「分かった。お願いします♪」


東平駅から歩いて10分程度の裏路地に入って行く将也。


「ここ通るの初めて。」

見慣れない路地に少しウキウキする亜美

「もう少しで着くから、絶対喜んでくれると思うんだけど♪」

「なんだろう楽しみ♪」


「ここ♪」

(あっ・・・。)

将也が足を止めた店は

「ペットショップだぁぁ♪」

テンションがあがる亜美

「さ、入ろう。」

店の扉を開けると


キャンキャン

く~ん

にゃぁおぅ


「わーめちゃ可愛い♡♡」

「よう、将也!今日は彼女連れかぁ?」

店長らしき人が近づいて来た。

「まだ彼女じゃないよ~〈笑〉」

(まだって・・〈恥〉)

「知り合いのお店なの?」

「そう、店長の小田さん。」

将也は亜美に店長を紹介する。

「どーも、今日はゆっくり見てっていいから。触りたいのいたら言ってくれれば出すよ。」

とても愛想の良い店長に、好感を持つ亜美。

「ありがとうございます。」


2人は犬や猫を次々と見たり触ったり。


「うわ~この犬可愛い~♪」

子犬をだっこして、満面の笑み。

カシャ

「えっ、将也今写真撮ったでしょーー!!」

「アハハ、だっていい顔してたから~♪」

「えー絶対変な顔してたよー消してよー」

「だーめ♪ほら、いい顔してんじゃん♪」

ケータイ画面を見せる将也

「やだぁ恥ずかしい、不意打ち卑怯〈照〉」

「じゃ、不意打ちじゃないならいい?」

「え~。」

「小田さーん、ちょっと写メってくんない!」

将也は店長を呼んで、携帯を渡した。

「いいって言ってないのにぃ。」

「ダメとも言ってないでしょ♪」

子供のような将也の笑顔に負ける亜美。

「ほら、子犬もって♪」

言われるがまま、子犬を持って携帯の方を見る2人

「とるよー。」

店長の一言の瞬間

ギュッ

(えッ・・〈驚〉)

将也は亜美の肩を抱き寄せた。

カシャ

「いいね~♪」

シャッターの音が鳴り終わると同時に肩から手を離した将也。

「どれどれ?」

「ほら、いい顔してる。特にお前が〈笑〉」

「だろ~俺写真写りいいからさぁ~♪」

まるで何事も無かったかのように。

「ほら、亜美も見てみろよ~♪」

「あ、うん!良く撮れてるね!」

慌てて返答する亜美

(い、意識し過ぎかな・・ハハ・・。)

「亜美の携帯にも送っとくね。」

「うん。」


一時間程度ペットショップを堪能し、次は映画館。

見た映画は、亜美が見たいと言っていたもの。

次は最近出来たクレープ屋さんでお茶をして、電車に乗って近くの海へ。


「今日も暑かったから、この時間の海はさすがに少し涼しいねー。」

海岸の遊歩道を歩きながら気持ちよさそうにする将也。

時間は4時半。外はまだ明るい。

「そーだね。てゆーか、ほんとあたしの好きなとこ巡りだぁ♪」

(あたしが好きとか行きたいとか・・些細な会話の中でしたことばかり・・。)

「喜んでもらえた?」

「もちろん最高です。」

亜美の返事に、ほんとに嬉しそうに微笑む将也。

「良かった。無理言ってお願いして、つまらない想いさせたらどうしようかと、ほんとは心配だったから。」

「将也って意外と気遣い屋さんだよね。」

「そう見える?」

「うん、いつも笑顔でいるってことは人間あり得ないもん。心配されたくない気持ちの裏返しとかさ。」

亜美の何気ない言葉は将也の心に深く沁みる

「そんな風に言うの亜美ぐらいだなぁ。」

(やっぱりこの子に賭けて見たくなる・・・ステータスやキャラとかじゃなくて・・俺を分かってくれる人・・。)


遊歩道の手すりを掴んで、黄昏るように海を見つめる将也の姿は少しいつもと違う雰囲気がした。

海水浴客も徐々に減り、静まり返る海は波音が2人を包む。


「亜美。」

優しく亜美の名を呼んだ将也。

「何?」

落ち着いた声で聞き返す亜美。

将也は、亜美の方に体を向け微笑んだ。


「誕生日おめでとう。」


「ありがとう♪」


笑顔で返す亜美。


「プレゼントあげたいから、目つぶってくれる?」

「えっ?」

「いいから、早く♪」

少し戸惑いながら目を閉じる亜美。


「右手前に出して。」

「うん」


目をつむりながら、右手を前に出す。


手首にシャララと言った感触を感じながら黙って待つ亜美


「はい。いいよ。」


将也の言葉でそっと目を開けると


「わぁ~・・」

シルバーの星のモチーフが付いたブレスレット

「可愛い。でもこんなの貰っちゃっていいの?あたし何も用意してない・・。」

喜びと同時に申し訳なさを感じる亜美


「気にしないで、素直に喜んで欲しいな。」

「でも・・。いつもいろいろしてもらってばっかりだし、今日だって、あたしの好きな事ばっかりして貰ってる。」

ほんとに申し訳なさそうな顔をする亜美を見て

「じゃぁ、俺が欲しいものくれないかな?」

「えっ・・」


ぎゅ


亜美が答える間もなく

将也は正面から亜美を抱きしめた


ドキ・・・・ドキ・・ドキ・・ドキ

将也の顔は見えない・・自分も今どんな顔をしているのかも分からない。

いつもならまだ明るい時間のはずなのに・・雲が出てきたせいでうす暗くなる空の下、心臓の鼓動だけが鳴り響く。


「ま・・さや・・?」

「亜美、俺と付き合って。」

「え・・。」

思考回路が働かない亜美


「俺、自分の事好きになる奴信じられなくて・・・皆俺じゃない何か別のもの見て俺を好きになるって思ってた。だから自分から誰かを好きになることも無かったけど・・亜美には好きになってもらいたいって思った。好きになった理由は、亜美を信じられるから・・。一緒にいると幸せに思えるから・・。」


将也の精一杯の気持が亜美の耳元で溢れてくる。

いつも余裕な将也とは違う、いっぱいいっぱいを感じる。

観覧車の告白より、現実味を帯びている将也の想いに亜美は冷静さを取り戻してきた。


「つーか・・付き合えないって言うなら・・このまま離れないから。」

「えっ!?」

急に声のトーンがいつも将也に戻る。


「やっぱ単純に好きだし亜美の事♪」


「うん。分かった。」


「え?それって?」


「宜しくおねがいします・・〈恥〉」


将也の真剣さに答えようと思った亜美は、付き合う事に決めた。


「マジ!〈喜〉」

「うん。」

ギュウ~

「えっ、ちょっと将也恥ずかしいからもう離れてよー!約束違う~〈焦〉」

「付き合ってくれたら離れるなんて約束してないもんね~♪」

「何それ~!」

「アハハ」


嬉しそうに笑う将也。

つられて、亜美も幸せな気分を感じ、2人して笑う。

ゆっくり亜美から離れる将也。

亜美の目を優しく見つめ、亜美の髪に触れながら

「ずっと一緒にいてね。大事にするから。」


「うん。」


そして亜美にキスをした。

ムードがそうさせたのか、亜美もキスを受け入れていた。


18歳になった日

初めての友達と過ごす誕生日。

初めての彼氏。

初めてのキス。


初めてだらけの忘れられない日になった。


その後、手をつなぎ海岸を散歩して、夕飯を一緒に食べて。

夜景を見て。


夜10時に帰宅した。


家では、まだどんちゃん騒ぎしている、橘家と日向家。

一気に現実の世界へ戻された気がした。

しかしそこに、洋介の姿はなかった。


「洋介、部活で疲れたからってさっき帰ったのよ。あっプレゼント用意してたから、悪いんだけどうちまで行ってもらってきなよ。」


と、愛華に言われ仕方なく洋介のもとに足を運んだ。



ガチャ


「洋介~?起きてる~?」


玄関のドアを開け、声をかけるが返事が無い。

(寝たかな?)

家にあがり、リビングを覗くがいない。

仕方なく、洋介の部屋へ


トントン


「・・はい。」

洋介の声がした

「亜美だけど、入るよ。」

「あぁ。」


ガチャ


ベッドに座る洋介


「ごめん、疲れてるのに。」

「別に。」

「マナねぇに言われてきたんだけど・・。」

「あ・・。」

洋介はカバンからピアスの入った袋を取り出した。


「誕生日おめでとう。」

「ありがと♪」

亜美はプレゼントを受け取り、笑顔を見せた。

「何かなぁ♪」

袋を開けると


「あっピアス!ちゃんと覚えててくれたんだ♪ありがとう!」

素直に喜ぶ亜美。

その姿をみて、うっすら微笑む洋介。


「そーだ、一応報告ね。」

「何?」

「あたし将也と付き合う事になった〈照〉」

照れながら言う亜美


「・・そう。」

一瞬変な間があいたのち、返事をする洋介。

「うん。じゃぁ、ほんとありがとね♪穴あけたら、一番にするねこのピアス♪」

そう言って亜美は部屋を出て行った。


「・・・そっか・・。」


処理の仕方が分からない感情が洋介の心に生まれていた。

今まで、亜美の喜ぶことなら、なんでも一緒に喜べていたはずなのに。

喜べない・・不思議な気持ちだった。


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