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運命の方程式  作者: A9
17/23

真奈美×愛華=Y

真奈美に勉強を教える事になる亜美。待ち合わせの駅で、愛華ばったり鉢合わせ。似た者同士の真奈美と愛華は意気投合し、愛華が真奈美に勉強を教える事に・・。愛華の部屋で勉強をしているさなか、亜美は父と晩酌・・・そして・・・。

6月5日 金曜日


《日向家》


「ただいまぁ~。」

「おかえり。」

「疲れたぁ~・・。」


亜美はグッタリした様子で、ソファーに倒れこんだ。


「何よ~若いのにそのざまわ。」

母は、亜美のだらしない姿に落胆する。

「だってぇ、体育祭の練習きついんだもん。」

「タイヤに乗ってるだけって言ってたじゃない。」

「それだけじゃないよぉ、綱引きがきついんだよ・・。」

「ヘタレねぇ~。」

「うるさい。」

「そういえば、洋ちゃんレギュラー獲得でいたんですってね~〈喜〉」

母は嬉しそうに言った。

「うん。」

「うん。って何よ~ちゃんとオメデトウ言ったんでしょうねぇ!」

「言ったよ。」

ロウテンションで言い返す。

その様子に違和感を感じる母。

「よいしょっと。着替えてくる。」

ソファーから起き上がり、自分の部屋へ行く亜美。


(なんか。ムカつく・・。)


部屋で着替えている亜美


ブーー―ブ―――


「電話?誰だろ。」

携帯を机から取り、画面を見ると。

「真奈美?」

ピッ

「もしもし。」

『亜美ぃぃ〈泣〉』

「ど、どうしたの??」

『数学教えてぇぇ〈泣〉』

「は?」

『ぜんっぜん分かんないのぉ。来週の月曜追試なんだけどぉヤバい~!』

「いいよ。明日うち来る?」

『土日はピアノで無理なのぉ!』

「えっ・・じゃぁ今日?」

『うん。ダメ?』

「別にいいけど、今どこ?」

『東平駅。』

「じゃあ、松木駅まで来てくれる?駅まで迎え行くから。」

『ありがと~分かったぁ♪着いたらメールするね♪』

「うん。」

ピッ


「大変だなぁ、真奈美も。」

急いで着替えて、リビングに行く亜美。


ガチャ

「お母さん、今から友達来るから。」

「今から?泊まり?」

「分かんない、勉強教えるから・・。」

「そう、分かったわ。」

「じゃぁ駅に迎え行ってくる。」

「行ってらっしゃい。」


亜美は玄関を出て、自転車で駅まで向かった。


《松木駅》


ブ―ブー

(真奈美からメールだ。なになに・・。)

〔着いたよ~♪ニューウィークの前に居るね♪〕

そのメールを見て、真奈美の待っている場所まで行く亜美。


「あ~、亜美ぃ~♪」

「真奈美お待たせ。じゃぁ行こうか?」

「うん♪急にごめんねぇ。」

上目使いで謝る真奈美。

「別にいいよ、気にしないで。」

笑顔の亜美

「あ、ちょっと待ってて、自転車とってくる。」

真奈美を置いて駐輪所に向かう亜美。

(亜美のおうち楽しみ~♪あっ超イケメン発見♪)

駅前の柱に寄りかかる二十歳ぐらいのイケメン。


(顔ヨシ、私服センスヨシ、スタイルヨシ、あっ時計ブランド品♪残すはステータスかぁ~♪)

男性チェックをする真奈美。


そこへ近づく一人の女性


(うわぁ~キレな人!大人って感じ~♪スタイル抜群♪しかもちょっと知的な雰囲気もある~♪やっぱり、いい男にはイイ女がいるんだよね~♪)


「お待たせ真奈美!」

亜美が戻ってきた。

「ねぇ見てよあれ~♪美男美女カップル♪」

笑顔で指さす真奈美。

「え~どれ~・・・えっ・・〈汗〉」

亜美はそのカップルを見て渋い顔をした。

「何?知り合い?」

「う、うん。あれ洋介のおねぇさんだよ。」

「うっそぉ!チョー美人だねぇ!」

真奈美は興奮状態。

「そーだね、綺麗だよね。」

亜美は真奈美を見てからまた視線を愛華に移した。


バチ。


「あ・・・。」

愛華と目が合う亜美。

すると、愛華は一緒に居た男性と分かれ、亜美の方に近づいて来る。

「こっち来るよぉ~♪」

嬉しそうな真奈美

「亜美じゃない。何してるのこんな時間に自転車で。」

「友達迎えに来たの。」

「あぁ、こっちのカワイ子ちゃん?」

微笑みなながら真奈美を見る愛華。

「きゃぁ~近くで見ると一段と綺麗ですねぇ~〈喜〉」

「えっ・・・ありがとう。お世辞でも嬉しいわ。」

(こんな子が亜美の友達・・・・)

(マナねぇ完全によそ行きモードだぁ。)

「お世辞じゃないですよぉ~♪」

「とりあえず、うちに向かおうよ真奈美。」

亜美は苦笑いをしながら真奈美を促す。

「あ、うん♪」

「あたしも帰るとこだから、一緒にかえりましょ。」

「うん。」

「やったぁ♪」

本当に嬉しそうな真奈美。


「そーいえば、最近めっきりうちに来ないわね亜美。」

「そーかな?」

「そーよ、父さんが寂しがってるわよ。あとメグもね。」

「そのうち行くから。」

(そっか、洋介と関わらなくなると、橘家に行く機会も減るんだなぁ。)

「あのぉお姉さん♪」

「愛華でいいわよ。」

「じゃぁ愛華さんって、大学生ですかぁ?」

「そうよ、こう見えて国立大学生よ。」

したり顔の愛華。

「すごーーい♪綺麗なうえに頭もよくて、そりゃ素敵な彼氏も出来ますよね~♪」

尊敬の眼差しの真奈美

「・・・彼氏?」

ポカンとした顔をする愛華。

「さっき一緒に居た人マナねぇの彼氏じゃないの?」

「違うわよ~、あんな見た目だけのクソ男なんて興味ないわよ~〈笑〉」

「クソ男!?」

(あ・・・マナねぇ本性出てきた・・。)

「真奈美ちゃん、男って言うのはステータスが大事なのよ♪」

「そーですよねぇ~♪真奈美も同意見ですぅ~♪」

「あらあなたも?」

「えぇ、男選びは、顔・スタイル・わもちろんで、大事なのはどれだけ自慢できる男であるかなんですよね~♪」

真奈美が意気揚々と言うと。

「違うわっ!」

「えッ?」

「どれだけ自分と釣り合うステータスの持ち主かって事が大事なのよ。自分磨きが出来てない奴は結局自分以下の人間しか寄って来ない。高嶺の花でいなきゃ、本物は寄って来ないわ。一生私に尽くしてもらわなきゃ意味ないのよ。分かる?真奈美ちゃん。」

ビシッと言い聞かせる愛華。


(・・・マナねぇ・・〈汗〉)


亜美は困り果てた顔でドヨンとした。


「真奈美感激ぃぃ♪愛華さんステキすぎる~♪もっと色々教えてくださぁい♪」

「マジッ〈怒〉」

真奈美の感激っぷりにドン引きの亜美


「いいわよ、教えてあげる♪あんた中々話わかるじゃない♪」

愛華も真奈美が気に入ったようだ。

「ちょっと、真奈美~勉強はどうするのぉ〈困〉」

「勉強?だったら勉強もあたしが教えるわよ♪今日うちに来なさいよ亜美!」

「えっ?」

「行こうよ~亜美ぃ♪」

「ええっ・・。」

困る亜美

「めぐも父さんも喜ぶから、いいから来なさいねっ!分かった?」

「はい。」

仕方なく了解する亜美。

「やったぁ♪」


《日向家》


ガチャ


「ただいま。」

「お帰り~♪あら?お友達は?」

「洋介んちに行った。」

「なんで?」

「マナねぇにたまたま駅で会って、マナねぇが勉強教えてくれることになったの。」

「そう。亜美はどうするの?」

「部屋着に着替えて、今から行くよ。」

「そう。じゃあ、皆に宜しく伝えてね。洋ちゃんにもおめでとうって伝えて♪」

「はいはい。」


着替えを済ませ、橘家に行く亜美。


《橘家》

ピンポーン

「はぁ~い。」

ガチャ

「亜美ねぇ♪待ってたよ~♪」

「メグちゃん久しぶり♪」


リビングに案内される亜美


「亜美ちゃん、久しぶりだね~〈喜〉」

「おじさん久しぶり~。」

「なかなか顔見せないから寂しかったよ~。」

「ごめんごめん、ちょっと忙しくて〈笑〉」

「亜美ねぇジュースでいい?」

「あ、いいよ。2人は?」

「2階にいるよ~お母さんも今2階に飲み物持っていってる。」

「じゃああたしも。」

ギュっ

亜美の服を掴む愛実。

「めぐちゃん?」

「愛華が、亜美ねぇは橘家と一家団欒しなさいって。」

ニコニコしながらいう愛実。

「え・・何で・・。」

困惑する亜美

「勉強はマンツーマンの方が身につくんだって、だからイイって言うまで部屋立ち入り禁止って。」

「あぁ、そっか。そーいえばマナねぇが勉強教える時ってそうだったね。」


ガチャ

「あらぁ亜美ちゃん♪元気してたぁ?」

「うん、元気お邪魔してます。てゆーか友達までごめんね。」

「何言ってんのよ~♪イイに決まってるじゃない♪」

明るく話す母

「ちゃんと勉強してました?」

「まだだったけど、成績表みたいなの見て固まってたわ愛華。」

(あぁ・・大丈夫かな真奈美・・・。)

「あの人バカそうだもんね~♪愛華に勉強教わりたいなんてドエムなんじゃない?」

笑顔で毒を吐く愛実

「メグちゃん・・〈汗〉」

(まぁちょっと待って、後でこっそり見に行こう・・。)


亜美は諦めて、橘家と団欒を楽しんだ。


《1時間後 PM7時》


(そろそろ様子見てこようかな・・。)

時計を見て席を立つ亜美。

「亜美ねぇどこいくの?」

「ちょっと様子見てくるね。」

「じゃああたしも行く~♪」

「うん。」

2人はこっそり2階へ

愛華の部屋の近くに行くと


「何で!?何でっこうなるのっっ??」

「え~♪」

「うそっっこれも・・・信じらんないっはぁ??」


愛華のギャーギャー喚く声が聞こえた来た。


〈亜美ねぇ、行くのやめたら。〉

〈・・・そ、そうだね・・〈汗〉〉


ゆっくり引き返す2人


ガチャ


「どうだったお友達?」

「愛華が怒鳴り散らしてたよ~。」

愛実はいとも普通の事のように言う。

「あらまぁ・・。」

母は心配そうに眉をしかめた。

「でも、愛華ねぇが苦戦するなら、あたしじゃ教えきれなかったと思うから、良かったのかも・・。」

苦笑する亜美。

「まぁいいじゃないかぁ~♪おじさんのお酒の相手でもしてくれよ~♪」

「あなた、亜美ちゃんは未成年よ♪」

「って言いながら何で缶酎ハイ出してんのよお母さん。」

「ホホホ♪ちょっと母親らしいこと言ってみたくて♪」

母は亜美に缶酎ハイを渡す。

「え?お酒?」

「大丈夫、由美には許可とったから~♪」

「ほらほら、洋介のレギュラー決定祝いも兼ねて♪ねっ。」

(洋介の・・お祝い・・ねぇ・・〈イラッ〉)

その言葉に何となくイライラ感が募る亜美。

「うん。飲む!」


《30分後》


タンタンタン・・・

勉強の休憩に階段を降りる愛華と真奈美


キャハハッハハハハ♪

「何か凄い賑やかね、下。」

「あれ亜美の声??」

あまりの笑い声に困惑する真奈美

ガチャ

「アハハ♪おじさんてばぁ~♪」

「アハハ亜美ちゃんもなかなか飲むねぇ~♪」


(・・・・・)


父の隣で、顔を真っ赤にしてテーブルをバシバシ叩きながら大笑いをする姿に2人は顔を引き攣らせ、歩みを止めた。


「あっ、愛華と亜美ねぇのお友達さん。」

気付いた愛実が何事も無いかのように声をかける。


「あれぇ~、勉強終わったぁのぉ?」

ポワンポワンした口調で2人に話しかける亜美


「ちょっとぉお母さんっ!なに亜美に酒飲ませてんのよっ〈汗〉」

「え~だって酔うと可愛いんだもん♪」

「はぁ~・・・ダメだ、真奈美ちゃんもうこの子ダメよ・・。」

愛華は片手で頭をおさえうな垂れる。

「もしかして、亜美って酒乱〈笑〉♪」

学校では見たことの無い亜美が真奈美には新鮮で面白く見えた。

「ほんっと酒弱いのよ・・・。当分飲ませなったのに・・何で今日に限って飲ませるかな・・。」

「まっなみぃ~♪」

ギュウ♪

「きゃっ。」

「きゃわいいねぇ真奈美わぁ♪勉強なんてぇ~しなくてもぉだぁいじょうぶぅ~ふふっふぃ♪」

真奈美に抱き付き顔をすりすりさせる亜美。

「ウケる~♪何これぇアハハ♪」

「ちょっとお母さん水飲ませなよ~〈困〉」

「無理だと思うよ~さっき渡したら、酒でも飲まなきゃやってられんとか騒いでたし。」

愛実は冷静沈着

「何?ヤケ酒?学校でストレスでも溜まってんの?まぁこんなアホっ子と付き合てたらストレス溜まるか。」

愛華は真奈美を見ながら言った。

「ひっどぉい真奈美のせいじゃないもんねぇ~♪ねぇ亜美~♪」

亜美の頭を撫でながら言う真奈美

「まっなみぃわぁいい子~だよぉ~♪」

「ほら、3人とも座りなさいな。」

「うん。」

「すいませーん♪ほら亜美座ろう~♪」

3人が席に着く

「勉強は順調なのかい?」

「まぁ、とりあえず9時目標で終わらせるつもり。9時40分の電車で帰るんだって。」

「はい、サンドウィッチ♪」

「わぁありがとうございま~す♪」

「泊まって行けばいいのにぃ♪おばさんは構わないのよ~♪」

「泊まりたいんですけど~、明日コンクールなんで帰ってピアノ練習しなきゃいけないんですよ~。」

「ピアノのコンクール?」

橘一家は目をパチクリさせた。

「まっにゃみぃすご~いんだよぉ~アハハ♪」

「真奈美ちゃんピアノ習ってるの?凄いわね~。」

「どんなコンクールにでるの?」

興味を持つ愛実

「華園国際コンクールの本選ですよ♪あっタマゴサンドいただきまーす♪」

「ハナコクの本選!?」

愛華は驚愕する。

「なんだ?そんなに凄いことなのかい愛華?」

「お父さん知らないのっ!日本で行う3大コンクールの一つよっ!本選なんて高校生が出れるようなものじゃないわよっ!」

興奮気味の愛華

(ただのバカじゃ無かったんだぁ。)

少し尊敬する愛実

「凄いのね~♪」

「いっぱい努力したんだろうね~♪」

いまいち凄さを理解していない両親

「そーなんですかぁ~知らなかったぁ♪」

真奈美自身も気にしていない様子。

「真奈美ちゃん、今すぐ帰りなさい!ピアノ明日なんでしょ?」

「別に~。学業優先なんでぇ~真奈美的にはぁ~♪」

「・・・学業優先な人のとる成績じゃ無いけどね・・・〈汗〉」

言ってる事とやってる事がめちゃくちゃな真奈美に気が抜ける愛華。

すーー・・すーー・・

「あ、亜美ねぇ寝ちゃった。」

テーブルに顔をつけて座ったまま眠る亜美。

「首寝違いちゃいそうね~♪」

「たく、友達来てるのに酒飲んで寝るかね〈笑〉父さん、洋介の部屋のベッドに亜美運んでおいて。」

「そーだな♪」

「えぇっ!洋介くんの部屋に寝かせるんですかぁ!?」

「そーよ♪亜美ちゃんが泊まる時はいつもそうなの♪」

「洋介はそこらへんのソファーとかで十分だからね。」

「へ~。」

(そりゃ、洋介くんを男として見なくなるわね・・・。)

「よし、あと一時間勉強するよっ!」

「は~い♪」

2人は部屋に戻っていった。


《数時間後》

バサッ・・ガタッ


(・・ん。ん~・・頭おも・・)

ゆっくり目を開ける亜美

(あれ・・ここ・・って・・・)

見覚えのある部屋

(あ・・そっか・・洋介の部屋かぁ・・。)

ガタッ

(えっ・・)

首を横に向けると

ぱち

「あ・・洋介・・。」

着替え中の洋介と目が合う亜美

「・・・。」

2、3秒目が合うが、シレっと無言で着替えを再開する洋介の態度に

イラ~・・・

ばさっっ!

布団を勢いよくめくり、起き上がる亜美だが。

「っつぅぅ・・・。」

お酒のせいで頭痛がする亜美は頭をおさえる。

「・・・はぁ。大丈夫か?水いる?」

溜息をつきながら、亜美に近づく洋介。

「・・のよ・・」

「ん?」

「何なのよっ〈怒〉」

「・・・・。」

「やっぱり、無理。当たり前と思おうと思ったけど、やっぱり無理だわっ!」

亜美はズキズキする頭を押さえながら、青白い顔で洋介を睨んだ。

黙ったまま亜美の前に立つ洋介


「洋介はいいかも知れないけど、あたし洋介はやっぱり友達以上に特別で、一番身近な存在なの!勝手に引き離さないでよっ!」


真剣な表情で、言い放った亜美。

何も言い返さない洋介。


「聞いてるの?」


「聞いてる。」


「じゃあ、何か言い返せば。」

洋介はそっと亜美の隣に座った。


「・・・亜美に彼氏が出来れば、俺は特別じゃ無くなる。」

「えっ?何言ってんの?そんな事ないよ。」

「俺もそう思ってたけど、世間一般では違うらしい。」

「そんなの知らない。」

腑に落ちない亜美。

「・・恋人でも無いのに、特別に思ってると周りが傷つくこともある・・。」


ズキッ・・


(何それ・・・やっぱりこのままの関係は無理って事・・だよね・・。何で・・。)

洋介の言葉に黙り込む亜美。


「亜美?」

「もういいや。分かった。」

「おい。」

「あたしの気持より、傷つくかも知れない誰かの事優先するんだね。その時点でもう、特別に思ってくれてない事分かった。ただの友達って事が分かった。」


悲しそうな顔で、立ち上がろうとする亜美。

その表情に無意識に引き留めようと、亜美の手を掴んだ洋介


ガシッ

バサッ

(え・・・。)

(あ・・・。)


態勢を崩し、ベッドに仰向け状態になる亜美に覆いかぶさる状態になる洋介。

想定外の事態にドキドキも何も起きない、頭真っ白の2人。


トントン

ビクッッッッーーー

ガチャ


「亜美ねぇ起きたのぉ~」

笑顔で入ってくる愛実


「う、うん。アハハ。」

「・・・・。」


ノックの音と同時に元の態勢に反射的に戻った2人

「洋介、女の子とベッドに座るとか、愛華に怒られるよ。じゃあね。」

冷めた目で洋介を見て部屋を出る愛実。

バタン


ドアが閉まると数秒の沈黙



「と、とりあえず。もう分かったから、これからは気にしなくていいし。あたしも友達として見る努力するから。この部屋にもたぶんもう来ない。」


そう言って、亜美は部屋を出て行った。


《リビング》

ガチャ

「亜美ちゃん大丈夫?」

「うん、なんかごめんね。」

「いいのよ~♪」

ふと時間を見ると

「えっ11時??真奈美は?」

「真奈美ちゃんなら、9時過ぎに帰ったわよ~愛華が送って行ったわ♪」

大きなため息をついてうな垂れる亜美。

「気にしないの~♪愛華もそのまま飲みに行っちゃったし♪」

「ほんとすいません・・・。」

「何か飲む?」

「ううん、もう帰るから大丈夫。」

「そう、じゃあ洋介に送らせるから、ちょっと待ってて。」

「いえっ、洋介部活で疲れてるみたいだから、一人で平気!」

慌てて断る亜美。

そこへ

ガチャ

「あっいいところに♪ほら洋介亜美ちゃん送って行って。」

「あぁ。」

「いいよ、いいから!」

「ダメよ、近くても何かあったら大変なんだから~!」

母の押しの強さに負ける亜美。


「それじゃ、お邪魔しました。」

「またね亜美ちゃん♪」


たった5分の距離なのに、今までに感じた事ないくらい長い距離に感じる。


「送ってくれなくていいのに。こーゆーのがダメなんじゃないの。」

「・・・うん。」

(何なのさ。)

「でも、友達でも送るだろ・・。セーフなんじゃね?」

「まぁ。そうかも・・。」

「喧嘩したいわけじゃないから・・。」

「そりゃそーね・・。なんか難しいね・・。」

「あぁ。」


幼馴染みとしての距離と、友達としての距離ってどのくらい違う?

同じ距離でもコースが違うだけなのか。

友達になるだけなのに、凄く遠くなる気がしていた。

でも実際は・・・。

答えはまだ出ないまま。


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