現状維持ー猪突猛進=X
有希とワタケンはまたいつも通りの関係のまま体育祭の準備を行う。そんな中、将也が亜美と一緒にお昼を食べる約束をする、それを知った知佳は彗に相談に行くと・・・。
有希とワタケン2人きりにさせた次の日。
「ゆーきっ♪おはよ~♪」
ギロッ〈怒〉
(キャーこわーい♪)
登校中に有希に声をかけた真奈美は無言で睨まれた。
「怒んないでよ~」
「あんたね、せっかく待っててあげたのに、あたしを置いて帰るってどーいう神経してるわけ〈怒〉」
有希は真奈美に詰め寄る。
「だってぇワタケンがぁ~何か話あるっぽかたったしぃ。気を使ったんじゃん♪」
「変な気を使わないでよっ、つーか、ワタケンじゃなくてあたしに気を遣えないわけ?」
有希は呆れた表情で言った。
「で、何の話だったのぉ?」
真奈美は有希の言葉を無視して、尋ねる。
「・・・・言わない〈怒〉」
有希は冷たい視線で真奈美を見て、スタスタと歩き出した。
「え~!なんでよー!教えてよ~!」
「うるさいっ〈怒〉」
《1年3組》
「それでね~、昨日さぁ・・」
「亜美ぃ~知佳ぁ~〈泣〉」
教室に入ってくる亜美と知佳に駆け寄る真奈美。
「真奈美?おはよう・・。」
「どーしたの真奈美?」
悲しそうな顔をする真奈美を見て戸惑う2人。
「聞いてよ~、有希が意地悪するのぉ~。」
「有希が?」
2人が有希の席に目をやると・・・
ゴゴゴゴゴゴ
(あ・・・〈汗〉)
有希は3人を睨んでいた。
〈亜美、やばくない・・。〉
〈う、うん、確実に怒ってるよ・・・。〉
「ねー、ねーってばぁ!聞いてるの?」
真奈美は2人に必至で訴えかけるが、2人は聞く耳を持たない。
「亜美、席に着こうか。」
「うんそうだね。」
スタスタスタ
「え~ちょっとぉ!」
真奈美の存在が無いかの様に、自分たちの席に着く。
「有希かなりお怒り、どうする?」
「どーしようか・・。でも、真奈美はさすがだよね・・・。」
「えっ?何が?」
「ほら。」
亜美が目で知佳を誘導すると
「有希ぃ~意地悪しないでよ~」
イライライライラ
「・・・〈怒〉」
「ねぇ有希ってばぁ!」
イライラ・・
「・・・。」
「ねぇ聞いてるぅ~?」
どよ~ん
「・・・」
「あっ、怒りを通り越してテンションが下がったみたい・・・。」
「あれだけ悪気も無く、付きまとわれたら・・そーなるよね。」
有希は、真奈美のしつこさに負けた。
《2限目 体育祭準備時間》
「ほんとあんた凄いわ。」
知佳は真奈美を無表情で褒めた。
「え~何か褒められてる気がしないんですけど~♪」
「しつこ過ぎなのよ、真奈美は・・・。」
有希はぐったりしながら遠くを眺める。
「だって、気になるんだもん!」
「だから、昨日、体育祭の競技決めの時の事謝られただけだって言ってるでしょ。」
「ほんとにそれだけなの~?」
「・・・〈怒〉」
「まぁまぁ、有希がそう言ってるんだし、信じようよ。」
亜美は有希の心情を察し、話を止めた。
「お~い、そこの仲良し4人組~」
高橋が、亜美達を呼んだ。
「なに?」
「何じゃねーよ、しゃべってねーで手伝え。」
笑顔で言う高橋。
「ごめんごめん。で?何すればいい?」
「応援合戦班は、打合せすっから、河合の所に集まって。」
「わかった。」
4人は河合の席の周りに移動した。
「じゃあ、打合せ始めるわね。」
「ちょっと待って、高橋は?」
知佳が尋ねる。
「高橋くんは、他の作業班にってるわ。体育委員2人ともここにいる訳にいかないから。」
「そっか。」
皆が納得する中、真奈美は、ワタケンと有希をチラチラ見ていた。
「応援合戦は持ち時間5分。どんな応援をするかは自由。審査員の得点がクラスの得点に加算されるから、なるべく印象的なものがいいわ。いい案があったら出して言ってくれるかしら?」
「印象的なものね~・・・。」
「あっ、インパクトで言ったら!」
金井がニヤつきながら発言した。
「何?何?金井くん!」
皆が金井に注目する。
「よっしーの成績表拡大コピーして日向に清めてもらうとか〈笑〉」
アハハハハ
「ばっかかお前〈怒〉」
松村は赤面して金井の頭を叩いた。
「あはは、大丈夫だよ松村くん、ここにもう一人お清め必要なのいるから。」
知佳はそう言って、真奈美を指さした。
「なっ、ちょっとぉ!」
真奈美は知佳をポコポコ叩いた。
アハハハ
「ったく、くだらないことばかり言わないでくれないかしら。」
いつも冷静な河合も思わず笑っていた。
「なんか、河合さんが笑ってる姿新鮮。」
亜美が思わず口に出した。
「そうかしら?」
「うん。」
全員が頷く。
河合はキョトンとした。
「あっ、なぁなぁ。」
伊藤が何か思い立ったかのように皆に声をかけた。
「どしたのじジュンジュン?」
ワタケンが尋ねると
「応援組で、俺と、ワタケンとトシと知佳は同じ中学で仲いいけど、他ってあんま繋がりなかったじゃん!」
「そーだね。で?」
「だから、これから一か月ちょい一緒に色々やるんだし、皆、あだ名か呼び捨てで呼ぶことにしねーか?」
伊藤の思わぬ提案だったが、皆はその話乗った!といった感じになった。
「確かに、河合さんだけさん付けっていうのも何か壁あるもんね~。」
「そうかしら?でも皆それでいいなら、あたしは構わないわ。」
「じゃぁ俺、真奈美って呼んでいいのか?」
松村は真奈美を見て嬉しそうに言った。
「・・・いいけどぉ別に~。」
真奈美の顔は引き攣っていた。
「じゃあ、前田さんは真奈美で、日向さんは、亜美。金沢さんは有希でいい?」
「うん♪」
「いいよ。」
「河合さんは・・下の名前って?」
「美歩よ。」
「じゃあ、ミッポにしようよー♪」
「いいじゃん、ミッポ!」
真奈美の提案に、ワタケンは笑顔で乗っかった。
(・・ミッポ・・。)
(よびづれーよ・・・。)
(ちょっとギャップがあり過ぎ・・。)
皆の表情が一瞬で曇った。
「えっと、美歩でいいよな、シンプルで・・なぁ、河合さん。」
「あたしはどちらでも。」
(ミッポありなのっ!?〈驚〉
「何でミッポ却下するわけ!?」
真奈美は腑に落ちない。
〈河合さんが、ミッポってキャラじゃないでしょ!〉
真奈美の耳元で有希が言った。
〈そうかなぁ~。〉
「あと、知佳は知佳な。」
「OK~。」
「男子は、ワタケンはワタケンで、高橋は、トシって俺は呼んでんだけど・・。」
「いいんじゃない?トシで。」
「じゃぁ、トシで。金井は、金井だな。」
「えっ何か寂しいんですけど・・。」
アハハハ
「じゃぁ武にするか?」
「おう、その方がテンション上がる。」
「じゃぁ、武で。」
「じゃあ、ジュンジュンはジュンジュンでいいよな♪」
ワタケンが伊藤を指さして言う。
「お前ぐらいしか呼んでねーぞそれっ!」
「いいじゃん、ジュンジュン。」
楽しそうなワタケン。
「ジュンジュンさんせーい♪」
真奈美は笑顔で言うと。
「あたしもいいよー。」
「うん、全然OK。」
「わたしも構わないわ。」
「いんじゃない?」
女子メンバーが全員同意した。
「・・・マジか・・。じゃぁ・・それで。」
「俺は?」
松村が自分を指さし真奈美に言う。
「何で、あたしに聞くわけ~〈汗〉」
さすがの真奈美も困った様子。
「お前はヨッシーだよ。」
金井がすかさず突っ込む。
「そう、ヨッシーでいいじゃない。」
真奈美は軽くあしらう。
「冷たい。でもその感じもイイ。」
松村は恍惚とした表情。
真奈美のテンションがどんどん下がっていくのが分かる。
「良かったね真奈美、ほらヨッシー野球部だよ。」
有希はせせら笑いをしながら言った。
どよ~ん・・・。
「じゃぁ、呼び方も決まったことだし、本題に移りましょう。」
河合の一言で、応援合戦会議が再開した。
授業終了まであと10分を切った頃、高橋が応援合戦組に加わると。
「あっトシ遅いよー。」知佳
「トシ?あ・・ごめん・・。」
「トシ、大体決まって来たぞー。」伊藤
「そうか、良かった。」
「トシこいつ何とかしてぇ~〈困〉」真奈美
「えっ!?トシ??つーか松村何してんだよ?」
「トシ、こんな感じ何だけどどうかしら?」河合
「えぇぇぇっ!!!」
高橋は、河合までも自分をトシと呼んでいることに驚愕し固まった。
「あーごめん、皆で呼名決めたんだよ~〈笑〉」
高橋の動揺するさまを必至で笑いを堪えて見ていた伊藤が、吹き出しながら言った。
「動揺し過ぎだからぁ~クックック」
知佳ももう笑いが抑えきれない。
「でもそりゃ驚くよねぇ~フフッ・・。」
亜美も有希も涙目になりながら必至に笑いを堪えていた。
「な、なんだ。そーいうことかよ。マジビビった。ちょっと異次元世界に来たのかと思った・・。」
高橋は安心しながらもまだちょっとドギマギしている様子だった。
「ごめんなさいね、皆につられて私まで、悪乗りしてしまったわ。」
河合は笑顔で高橋に謝罪した。
「ほんとだよ、他はともかく・・河合まで。そんなキャラだったのか〈笑〉」
「そーみたい。」
アハハハ
そして2限目は終わり、休憩時間。
「さっきは面白かったねー。」
「トシのあの顔面蒼白状態面白すぎっ〈笑〉」
ブーーブーー
「あっごめんメール来た。」
「うん。」
亜美はおもむろにポケットから携帯を取り出した。
「てゆーかなんなのヨッシー〈怒〉うざすぎ・・。」
「好かれていいじゃない。」
(誰だろ?・・将也からだ。)
【おはよー♪今日の昼休み話したいことあるんだけど、屋上で一緒にお昼食べない?】
(・・・なんだろ話したい事って?まぁいいか・・。)
ピピピ・・
【おはよう。いいよ~。】
亜美は携帯をしまった。
「誰からだったの~?」
真奈美が聞く
「将也から。」
(将也っ!呼び捨てかよっ!)
知佳は驚愕。
「何だって?」
「何か、話したいことあるからお昼一緒に食べようって。」
なんの躊躇も無く話す亜美に3人は眉をピクピクさせた。
「で?何て返したの?」
知佳は恐る恐る尋ねる。
「いいよって返したから、今日お昼一緒に食べられないや、ごめんね。」
笑顔で言う亜美。
「ねぇ、付き合ってるの将也くんと?」
真奈美は単刀直入に聞く。
「違うよ~、友達。でもねー、話してみると凄いしっかりしてるし、アドバイスも適格なんだよね~。人って見かけと違うよね~!」
感心する亜美。
(ギャップ論!!つーかアドバイスって何?!)
知佳の顔が青ざめた。
キーンコーンカーンコーン
「授業始まるよ。」
「うん。」
4人は席に戻った。
(こ、これは彗に報告しなきゃ・・・。)
知佳は3限目の間ずっと将也への悪意を抱いていた。
《昼休み》
「じゃぁ行ってくるね。」
「う、うん」
「いってらっしゃーい♪」
「いってらっしゃい。」
教室から出てく亜美。
「ちょっとぉ・・・どーなってんの?」
知佳は頭を抱えた。
「どーなってんだろうね?やっぱり洋介君と付き合いだした感じじゃないし。」
有希はさっぱりといった表情をしている。
「告白かな~呼び出しって事は♪」
真奈美は相変わらず楽しそう。
「やめてよ~・・。」
知佳はうな垂れる。
そこへ
「あれ?亜美は今日一緒じゃないの?」
通りかかった金井と松村。
(げっ・・。)
真奈美は明らかに嫌な表情をし、2人を見ないようにした。
「今日は別なの。」
有希は何も無いように言う。
「ふーん珍しいな、あっもしかして将也ってやつと一緒か?」
3人は一斉に金井を見た。
「な、なに?どうした?」
「何で知ってるの・・?」
知佳は目を大きく見開いて金井に聞いた。
「えっ、ほんとにそうなの?」
3人の驚いた様子に、逆に驚く金井。
「いいから、何で、若村君と亜美の事?」
「いや、先輩が言ってたから・・・。」
「何て!?」
「休みの日に、洋介が幼馴染みの子と2人でプラザで買い物してたって話から、その子が放課後、将也とかいうやつと楽しそうに一緒に帰ってたって。」
「なんで、先輩があいつの事知ってるわけ!?」
知佳は大混乱
「あー将也ってやつ、去年卒業した野球部のキャプテンの弟なんだってよ~♪」
松村が真奈美に言う。
「そーなの!」
有希も驚きながら話を聞く。
「まじかぁ・・・ただのチャラクソやろーじゃなかったのかぁ・・・。」
(チャラクソ・・〈汗〉)
「で、あいつはどんな奴なの?」
知佳は眉間に皺をよせ聞いた。
「・・・いや・・俺らはそいつ知らないから。なぁ?」
「うん、全然しらねー。」
知佳はガッカリしながら、うな垂れた。
「でも、亜美が選んだ相手ならちゃんと祝福しろよ~友達なら♪」
「付き合ってないからッ」
知佳は全力で否定した。
「あ・・・そうなのか・・。なんかすまん・・。」
《屋上》
「あっ将也、ごめん待った?」
「全然♪」
「とりあえず、お昼食べようか。」
亜美はあたりを見渡し、座る場所を決めた。
(・・・なんかカップルばっかり・・・。)
コンクリートの床にお弁当置き、食べ始めた。
「亜美ちゃんはお弁当自分で作ってるの?」
「まさかぁ~あたし朝弱いから無理だよ〈笑〉」
亜美は照れ笑いをしながら答えた。
「将也は購買派なんだね。」
「まぁね。でも手作り弁当っていいよね。」
将也は笑顔で言った。
「うん、親にマジ感謝だよ。」
そう言って亜美が、ミートボールをフォークに差し口に運ぼうとすると。
パクッ♪
「え・・・。」
将也が横から食べてしまった。
「ん~美味しい♪」
本当においしそうに食べる将也を見て思わず笑う亜美。
「ちょっとー、あたしのおかず〈笑〉」
「あーごめん、つい手作りの味が恋しくなって〈笑〉」
「でもそれは、手作りじゃないよ。」
「・・・・そっか。そーいえばそーだ。」
将也と亜美は顔を見合わせて笑った。
「はい。」
「え?」
亜美は、手作りの卵焼きをフォークに差して、フォークごと渡した。
「いいの?」
「いいよ、手作りの定番卵焼き。まぁ味は保証しないけど。」
「ありがと、頂きます♪」
将也の顔をじっと見る亜美。
「うん、うまいっ!」
その言葉に思わず喜ぶ亜美。
「よかったぁ♪・・ってあたしが作った訳じゃ無いのにね〈笑〉」
「フフ・・そうだね〈笑〉」
自然と弾む会話。
気を使わない存在。
「なんか、将也って昔から知り合いだったみたい。」
「どーいう意味?」
「なんだろ。凄い自然体でいられるって感じ?洋介と同じかな。」
「洋介と同じかぁ~・・。」
将也は何か言いたげ。
「そうだ、話って何?」
「そうそう、この前映画行った日、洋介と何かあったの?」
「えっ・・。」
亜美は一瞬動揺した。
「あ~動揺してる~♪」
からかう将也。
「別に、動揺なんてしてないからぁ~!」
顔を赤らめムキになる亜美。
「でもさー。なんかさー。いつもの洋介じゃ無かったしなぁ?」
将也はわぞとらしい言い方。
「まぁ、そーだったけど。あたしが、何もしてない洋介を無視してたから怒らせちゃったみたいで・・。」
「それだけ?」
「うん。それを謝って、仲直りしたって感じ。」
「ふ~ん・・。てっきり嫉妬でもしたのかと思った。」
将也は少し腑に落ちないながらも、安心した様子を見せた。
「嫉妬?」
「そう、嫉妬。幼馴染みが、俺といい感じだったから♪」
ニコニコしながら言う将也。
「いやいや、色々間違ってる〈笑〉」
亜美は冗談だと思い、笑顔で返した。
(う~ん伝わらないかぁ〈汗〉)
将也は残念な心境ながら、明るい笑顔を見せる亜美につられて笑った。
「話ってそれだったんだ。」
「うん、何となく気になってたんだけど、聞こうかどうか迷ってたら、もうもどかしくなっちゃってさ、今更ごめんね♪」
「全然、こっちこそおいて帰っちゃったのに、謝らなきゃだったよね。」
申し訳なさそうな亜美。
「いいって♪そうだ、土曜日暇?」
「土曜?うん用事ないよ。」
「じゃあどっか遊びいかない?」
「いいよ♪じゃあさぁ知佳達も誘っていい?」
亜美は満面の笑みで言う。
「あ・・・うん。いいよ。」
「やったぁ、将也も友達連れてきたら?」
「そうする♪」
(・・・仕方ないか・・・。)
「じゃあ、後で皆に予定聞いて連絡するから♪」
「OK♪」
「もう時間だから戻ろうか。」
「そーだね。」
こうして亜美は教室に戻った。
《1年3組》
「ただいまー。」
亜美が笑顔で戻ってきた。
「おかえりー何の話だったの?」
真奈美は速攻亜美に尋ねる。
「別にたいした話じゃ無かったよ。」
何食わぬ顔で答える亜美。
「あれ?知佳は?」
「知佳なら、どっか行ったまま帰ってきてないよ。」
有希も知佳が戻らないことを不思議に感じていた。
「そー・・なんだぁ。」
その頃
《1年1組廊下》
知佳は彗と話し込んでいた。
「もう、どーしよ・・。あいつのアプローチが止まらないよっ!!」
「どーしようも無いけど・・・。なんで洋介は野放しにしてんだよ。嫉妬するくせに・・。」
「えー嫉妬じゃないらしいよー♪」
「嫉妬じゃないって・・えっ!!」
「やぁ、知佳ちゃん♪」
戻って来た将也が彗と知佳の会話に割り込んだ。
「なんであんたがココにいるわけぇ!」
知佳は将也を睨んだ。
「将也戻ってたのか・・。」
「うん、でさぁ。洋介は嫉妬じゃなかったらしいよ。亜美ちゃんさっきそう言ってたから♪」
怯むことなく、余裕の態度で言う将也。
「何?聞いたの直接!?」
「うん。だって俺には聞く権利あるでしょ。目の前から連れ去られたんだから。」
(なんかすごーーーい腹立つ・・〈苛々〉)
「でも、洋介が嫉妬したかどーかは本人にしか分かんねぇだろ。」
彗が冷静に言った。
「そーよ。激ニブの亜美の言った事なんかあてにならない。」
どうにか将也をねじ伏せようとする、2人。
「あはは、確かにねぇ♪でもそんなこと俺にはどーでもいいんだよ~。結局は亜美ちゃんが誰を好きになるかって事が大事なだけ♪」
将也は全く動じず、笑いながら言う。
「おい、将也。あんまセコイやり方すんなよ。」
彗が意を決したような面持ちで言った。
すると将也は心の中を見透かすような表情をし
「分かってるよ。今後俺と亜美ちゃんがどうなっても良い様に、洋介には釘打ったから。」
そう言いながら、去って行った。
残された彗と知佳は、堂々とした将也の態度に、不安な感情が湧いて顔を曇らせていた。
《放課後》
「知佳?」
「あ。何?」
「どうしたの?お昼休み後から何かおかしいよ?体調悪いの?」
亜美は心配した。
「大丈夫。で?」
「え・・帰ろう。」
「あーそっか、ごめんごめん。」
知佳は慌ててカバンを持った。
(どーしたのかな・・知佳?)
「そーだ、今度の土曜あいてる?」
「土曜?たぶん。何で?」
「将也に遊びに誘われたんだけど、知佳もどう?」
亜美は屈託のない笑顔で誘った。
「将也が?また誘われたんだ。」
知佳は無意識にも凄く冷たい言い方をしてしまった。
「・・・あ、嫌だよね。知佳、将也嫌いだもんね・・。ごめん無神経に誘った!」
亜美は少し気まずい空気を察し、わざと明るく誠意を込めて謝った。
「えっ、違うのごめん!怒って無いからね、不機嫌でも無いし。ちょっと考え後してただけだから!」
知佳は必至に亜美に弁解をした。
「な、ならいいんだけど。でも土曜の件は気にしないで!有希と真奈美は行くって言ってたし。」
「えっ・・・。」
「昼休み、知佳ギリギリだったから、話せなくて。」
「あーあたしも行く!もちろん行くっ!」
知佳はさっきまでと打って変わって、気合の入った表情をした。
「えっでも・・。」
「行くッたら行くの!」
「了解・・。」
(洋介くん派じゃない奴らばかりじゃ・・・心配すぎる・・・〈汗〉)
その頃
《野球部》
ジ――――・・・。
「何だよ・・彗・・・。」
「別に。」
ジ――――・・・。
「・・・何・・〈汗〉」
「べーつーにぃぃぃ。」
彗と洋介のにらめっこが永遠続いていた。