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わたしのきもち

 小母ちゃんがわたしの家にやってきたのは丁度そんな時だった。

小母ちゃんは優しかった。いつもメガネの奥から細い目でわたしを見て、にこにこして話してくれた。


 わたしは本当のお母さんてこんな人のことを言うのじゃないかなと思った。小母ちゃんと話していると、胸の中があったかくなるような気がした。


 わたしはそれまで、さびしくてかなしくて仕方がなかった。

うちにはお父さんもお母さんも、お姉ちゃんもお婆ちゃんもお婆ちゃんのお姉さんも、沢山の人がいたのだけど、わたしは一人ぼっちのような気がしていた。


学校の先生も友達も声を掛けてくれたけど、わたしの心の中にその声は入って来なかった。

 わたしは学校にいると、緊張して身体も心も冷え切ってしまうようだった。

 わたしは心の中に温もる場所が欲しかった。


 学校を休み始めてから、校長先生や受け持ちの先生が家に来ると、わたしは奥の部屋の押入れの中に隠れた。一日中誰とも会わず部屋にいると、むしゃくしゃした。

新しく建て増しした奥座敷の障子に火をつけたら、めらめらっと障子の紙が燃え始めた。


 怖くなってお母さんに知らせに行ったら、お母さんは血相を変えて飛んできた。その時はもう障子紙は焼けてしまっていたけど、火は消えていた。


 お母さんは仏壇に置いていたお経の本が無くなったと騒いでいた。翌日の朝、裏庭に投げてあったお経の本を、犬がくわえて座敷に上がってきた。外で飼っている犬が家の中に入ったことはなかったので、お母さんは驚いていたし、このお経の本があったから助かったんだと言っていた。


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