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小母ちゃんのこと

学校へ行けなくなった少女の告白を、少女の語り口で綴っています。

わたしは小母ちゃんが大好きだった。

わたしが小母ちゃんと初めて話をしたのは中学二年になったばかりの春。

小母ちゃんはわたしのお婆ちゃんの姪で、お婆ちゃん宛の手紙や贈り物が来ていたが、わたしが小さいときにも時々遊びに来ていたらしい。

 九州から海を渡ってやってくるにはかなりの時間がかかると言ったけど、小母ちゃんはお婆ちゃんのことがよほど好きで、会いに来ていたのだろう。


 小母ちゃんがうちにやってきたその年の春、わたしは運命の分かれ道にいる丁度その時だった。

 わたしは小学六年生と中学一年の時には頑張って学校に通っていたけど、二年生の始業式で組替えがあって、あの子たちがいたのでもう駄目だと思った。

 学校から帰るなり、わたしはお母さんに、

「明日から学校には行かない」と宣言した。

 お母さんは五年生の時のことがあるから、それを聞いたときパニックになっていた。お父さんは怖い顔して、おまえのせいだと、お母さんを怒っていた。


 お母さんはおろおろしながらも、毎日新聞記事を細かく調べて、わたしの行く先を探していた。

 お姉ちゃんがその春高校へ入学して喜んでいたので、わたしだってこのまま家に居るのはしゃくだったから、どこかへ行きたいとお母さんに言っていたからだ。

 そんな時、お母さんの知り合いの学校の先生をしていた人から、新聞に載っていたフリースクールの記事を切り抜きしたノートを送ってくれた。

 お母さんは毎日それを見ていて、三重県の施設が良いようなので行ってみる、と出かけたとき、わたしはうれしくてお母さんの連絡を心待ちにしていた。


 お母さんは1人っ子の箱入り娘で、一人で旅に出たことなんかなかったけれど、それでも必死で新幹線に乗って目的地に着いたらしい。わたしは家で首を長くしてお母さんの連絡を待っていた。でも結局、施設の人から、わたしの学校からは遠いという理由で入れないと言われたと電話で聞いたとき、わたしはとてもショックだった。


 お母さんは次に、うちからは遠い県にある牧場の施設を見つけて、わたしを預けることに決めた。

荷物をちゃんとまとめて、布団も送ろうと話していた。



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