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第一話 キオナという女

この小説は長編です。毎週木曜日に更新されます。

暴力表現があります。

ご気分が悪くなるかもしれません。

それでも良い方はお進みください。

チョコレートラテのような肌。ベージュを溶かしたような白の髪。猫のような目に八の字の眉。女の名前はキオナ。その目は美しいはずなのにどこか狂気を感じた。

 

 私は覚えていない。なぜここにいるのか、どうして死んだのか、死とは何だったのか。残っているのは、細胞が這いずり回るような痛みだけ。その他のほぼ全てはどこかに置いてきてしまった。どこにいけば取り戻せるのだろう。

 ———暗い。暗い…怖い…痛い…!!!どこまで落ちれば気が済むの…!!やり場のない怒りを脳内にぶつけながら叫んだ。

 そして私は、何度目かも忘れるほどの痛みと共に目を開けた。

 「またか…」そこは無であり暗であった。鉄棒を握った後の手のような匂いが充満している。血の匂いと言っても良いだろう。朝の森のような静けさと、肌を突き刺すような独特な熱さが肺を襲う。赤い霧が立ち込めているここは、、私にもどこだかわからない。

 "ゔ…がぁ、"カエルが潰れたかのような音の方向へ目を向けると人の形をした殻が蠢いていた。鬼火に触ったのだろう。

 なぜ私はここにいるのだろう。他にも何人か見かけたが、魂がないように感じたり見目が怖いので近づきたくはなかった。あれはなんなのだろうか。

 しばらく歩き続けると、この空間で分かった事がいくつかあった。

 ひとつめ。ここはどうやら地獄と言われる場所のようだ。

…ここを——(くら)と呼ぶことにした。ここには時間がない。夜とはまた違った暗さがある。

 ふたつめ。鬼火と言われる謎の炎がそこらにある。それを触ると細胞の一つ一つが焼けるたびに不意に沸騰したお湯が肌に飛んでくるような痛みを継続的に味わうことになる。死体はそこらにごろごろと転がっており、血のように赤い霧がそれを覆っていた。なんなのかはわからない。ただ、ひどい匂いだ。豚肉を三ヶ月腐らせ続けたようなそんな匂い。

 そして三つめ。ここでは死ねない。痛みを繰り返しているという事実だけを感じる。気づけば、なかったはずの傷が何個も何個もできていた。それは鬼火で焼かれ人の殻の傷跡と似ている。なぜだかわからない。記憶はないがおそらくここでは時系(じけい)が歪んでいるのだろう。

 ???


 空気が揺れ、「キオナ」—そう呼ぶ声がした。私の名前…?それをなぜ知っているの。お前は誰なの。でももう聞こえない。霧が揺れて、霧そのものが嘲笑っているかのようだった。もしかするとこんな所にいたせいで頭がおかしくなってきているのかもしれない。そう思ってもう一度歩こうと足を踏み出そうとした。

 —できなかった。死体の山が私の靴の行先を塞いでいた。生々しく引き摺り込まれるような重さが微かに残った温度を残しながらわたしの足首に触れた。

 ……動けない。触れた瞬間喉がひゅっと狭くなる感覚がして鼓動が速くなっていく。どく、どくどく、どくどくどくどく…!!息を吸わなければ。赤い霧がわたしの肺の中に吸い込まれていく。—痛い…痛い…!!痛い…!!!

 逃げないと危機は回避できない。そう思っていたのに体は動かない。

 ふと何かがそれを壊したい衝動に駆られた。そう思うと同時に足を勢いよく空中に上げた。考える暇なんてなかった。あぁ、体が震えて喜びを全身が受け止め始めているとしっかり感じる。ただそれを壊すためだけに動いた。まるで暇をしていた子供が新しいおもちゃを見つけたときのように。  "ドスっ…"鈍い音が響いた。何かを苦しめる感覚がわたしを襲う。呼吸なんてもうどうでもよくなっていた。その山の中から掴んできた手の持ち主を強引に引き摺り出し、何度も何度も痛めつけた。髪を引っ張り我を失ったようにひどく扱う。抵抗しないそれを火照った顔で見つめながら。ただ快感が体の全細胞を駆け巡り、幸せが頭の中からどくどくと溢れ出している事がわかった。

 ——もっと壊さなきゃ。そうわたしの中の何かが呼びかけている気がした。内部から何かをむしり掻き出したり、その後もしばらくそんなことを続けていたと思う。

 それから随分と時間が経った後わたしは疲れ始めて我に帰った。ただの肉塊になったそれを力無く見つめていた。

視界にゆらっと何か光が映った。

 ——小さな……炎…?危ないと思ったが少し遅かったらしい。自分のものとは思えない叫び声でのたうちまわった。すると頭の中で何かが駆け巡った。それを認識しようとすればするほど靄がかかったようにわからなくなっていく。女の笑い声と空中に上げた足。そこで何かが終わりやがて痛みも落ち着いた。静けさが残った。今のはなんだったんだろうか。

 ただ、あの痛みの中に不可解な何かを見てしまったような気がした。

 ———「お前もこっちだ」

 振り返っても誰もいなかった。ただ霧の奥に巨大な塔の姿を見た。今の答えがあるかもしれない。

 コツ  コツコツ 静けさが私の足音をこだまさせる。不気味なくらいにこれだけだった。異常であり狂気。


 歩き続けると山と同じ高さはあるでのではないかというくらい大きな門が現れた。

どうでしたでしょうか。

私の初投稿・創作小説なので至らない点があるかもしれません。

ご理解お願いいたします。

今回の第一話では謎が多かったと思います。第二話以降その謎たちを解き明かしてまいります。

どうか次回もよろしくお願いいたします。

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