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誰も知らない異世界へようこそ

これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。

飛行機のタラップを降りた瞬間、涼しい風がリョウの頬を撫でた。長旅の疲れはあったが、それを上回る期待が胸の奥で静かにふくらんでいく。隣では、キアラが太陽に目を細めながら伸びをしていた。


「さ、タクシー拾わなきゃ。スタジオは空港から少し離れているの」

「了解。いよいよだな……ムスク・アマルか」


 二人はさっと荷物を持って、空港の前に停まっていたタクシーへ乗り込んだ。窓の外の街並みは、どこか異国的でありながら、どこか懐かしい——そんな不思議な色合いを帯びていた。舗装のひび割れ、風に揺れる看板、小さな露店。どれも現実味があるのに、どこか夢の層に重なっているように見える。


 しばらく走ると、丘の上に白い建物が見えてきた。まるで小さな町の中心のように優雅に佇んでいる。


「あれが本社。ムスク・アマルの心臓部よ」

「……想像してたより、ずっと綺麗だな」


 タクシーを降りると、入口で一人の爆乳女性が手を振っていた。


「キアラ! ようこそ!」

「ルセリ!」とキアラが駆け寄る。


 ルセリはキアラの親友であり、その笑顔には人を安心させる力があった。

キアラはリョウをルーセリーに紹介した。


「さあ、まずは三人の“ボス”に挨拶しないとね。初日は大事なんだから」


 三人は建物の中へと入った。内部は高い天井と木の梁が温かさを演出し、どことなく古い劇場のような柔らかい光が漂っている。


 奥の広間に入ると、そこにはすでに三人の男がいた。独特な存在感をまとい、妙に静かな空気を揺らしている。


「ふむ、君がリョウ・ミナセ君か」

 優雅な物腰で近づいてきたのは、ミロス・リッチオット。白いスーツに金色の指輪がよく似合う。


「遠いところよく来てくれた、リョウ」

 次に声をかけたのは、ガストーボ・マンフレール。朗らかで、どこか陽気な匂いのする男だ。


「我々は君の作品を見た。実に面白い。期待しているよ」

 最後に口を開いたのはシャルル・ムッセンカイザー。背筋を伸ばした姿が妙に絵になる人物だった。


 リョウは強張った肩を落とし、深々と頭を下げた。

「……ありがとうございます。まだ未熟ですが、全力を尽くします」


 三人の創業者は満足げに頷いた。


「その言葉が聞ければ十分だ。ここでは、才能よりも“続ける心”を尊ぶのだよ」

「まずは周りの人間をよく見ること。それが第一歩だ」


 不思議と圧力はなく、代わりにやわらかな期待だけが広間に広がっていた。


***


 挨拶が終わると、ルセリとキアラがリョウを連れて建物の外へ出た。スタジオの周囲には、小さな家々が環状に並んでいる。どの家も白い壁と赤い屋根で統一されており、温泉町に迷い込んだような落ち着いた雰囲気があった。


「ここらの家はぜんぶ、三人の創業者の持ち物なの。スタッフはみんなここに住んでるから、家賃も光熱費もかからないよ」

「助かるな……正直、日本じゃ考えられない待遇だ」


 やがて、二階建ての小さな家の前で二人が立ち止まった。


「ここがリョウの部屋だよ」

「荷物を置いたら、また明日ゆっくり案内するね」


 玄関の鍵を手渡されると、二人は満足そうに微笑んだ。


「じゃあ今日はゆっくり休んで。ようこそ、ムスク・アマルへ」

「おやすみ、リョウ!」


 軽やかに手を振る二人は、夕日の向こうへ歩き去っていった。


 残されたリョウは、鍵を見つめたまま小さく笑った。


(……しかし、あんな爆乳の美人が二人もいるとはな。今まで見た中でいちばん魅力的……)


 胸の奥が飲み込めないほど熱くなり、同時にこの新しい世界の空気が静かに染みこんでいく。


 こうして、リョウのムスク・アマルでの新しい日々が幕を開けたのだった。

このエピソードを楽しんでいただければ幸いです。次のエピソードはすぐにアップロードします。

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