ディーゼルパンクの魔王は勇者の新しいルームメイトです
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
リョウは昨夜の悪夢のせいで少し寝不足だったが、ムスク・アマルのスタジオに行くと、温かい光と仲間たちの声がその疲れをそっと溶かしていった。
仕事が落ち着いた頃、ルセリが声をかけてきた。
「リョウ、ちょっと屋上に来てくれる? …見せたいものがあるの。」
彼女はいつもの朗らかな笑顔ではなく、どこか緊張を隠すような微笑みを浮かべていた。
リョウは迷いながらも頷き、ルセリの後に続いた。
***
スタジオの屋上は、夕暮れの柔らかな色に満ちていた。
赤紫の空の中、遠くの山々が静かに影を落とし、風に混じってクスコの街のざわめきがかすかに届く。
ルセリは柵に寄りかかり、深呼吸した。
「ねえ、リョウ。
最近、ちょっと…表情が暗いよね。
無理して笑ってるように見える。」
リョウは肩をびくりと震わせた。
「そ、そんなことは……」
「ううん。私は声でわかるの。
あなたがどんな気持ちで話してるか…声で感じるの。」
声優であり歌い手であるルセリの感覚は鋭い。
リョウは言い返せず、視線を落とした。
その沈黙を破るように、ルセリがそっと歌い始めた。
優しいケチュア語の歌だった。
子どもを励ますために村で歌われてきた、古い子守歌のような調べ。
その声は澄みきっていて暖かく、
胸の奥のひび割れた場所に静かに触れてくる。
歌い終えたルセリは、胸に手を当てたままリョウを見る。
「リョウ。
ずっと言いたかったことがあるの。」
夕風が彼女の髪を揺らした。
その瞳は揺れていない。真剣で、まっすぐだった。
「私…あなたのことが好き。あなたが作った映画の世界も。あなたは私と同じものを全部愛していることも。
」
リョウは息を呑んだ。
今度こそ心臓が跳ねるのを止められなかった。
「今すぐ返事をくれなくても大丈夫です。待っています。…」
ルセリは微笑んだ。どこか寂しげに、でも優しく。
その瞬間、遠くの街の灯がふっと点り始めた。
屋上に吹く夜風は少し冷たかったが、
リョウの胸の奥には静かに温かさが灯っていった。
「……ありがとう、ルセリ。
本当に。」
彼はそう言うのが精一杯だった。
ルセリは小さく頷き、夕空を見上げた。
リョウは思わず笑ってしまった。
気恥ずかしさと、救われたような気持ちが混ざり合っていた。
リョウはなんとか自分を元気づけようとしたが、部屋に着くと、思いがけない出来事が起こった。システマがそこにいたのだ。リョウは夢を見ているわけではなかった。しかし、システマはそこにいた。システマは現実世界に現れ、リョウだけが彼を見ることができたのだ。
システマはリョウに言った。「言ったでしょ。この世界は現実じゃない。現実にしては良すぎる。」
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