新しい世界を選んだ日
これは創作における新しい物語です。皆さんが楽しんでいただければ幸いです。
涼は、また一日の過酷な仕事へ向かう電車の中で、自分の人生を振り返り始めた。彼は日本の若者で、芸大を卒業したばかりのアニメーターだ。卒業以来、大手の2Dアニメ制作会社で働いているが、涼の専門はアートアニメーションだった。ストップモーションやクレイアニメーション、川本喜八郎の人形アニメーションのような技法を扱う仕事だ。
子供の頃から、川本喜八郎や岡本忠成、そして日本の多くのアートアニメーターたちの作品に心を奪われていた涼。しかし、アニメ業界の現実は夢とは程遠かった。長時間の労働に低賃金。アートアニメーターは物語に命を吹き込む芸術家であるにもかかわらず、ファンは声優、特に女性声優のアイドル的存在に注目するばかりだった。
電車を降りる前にスマートフォンを見ていると、遠く離れたペルーという国で新しい野心的なアニメスタジオが設立され、世界中から才能ある新人を募集していることを知る。ペルーは学校で学んだ通り、かつては帝国だったが、スペインに征服された土地だ。
涼は思った。スペイン人征服者にとって、ペルーもアメリカ大陸も「異世界」だったのかもしれないと。
職場に着くと、彼は勢いで上司に辞表を提出した。上司は言った。
「君は辞められない。君みたいな経験の浅い新卒を雇うところは他にない。」
涼は答えた。
「違います。僕を欲しがっている人たちがいる。新しい世界に――ペルーに。」
皆さんが楽しんでいただければ幸いです。この物語の次のエピソードをすぐにアップロードする予定です。