6/8
恋心の葬儀
恋心の亡骸がある。振られたりしたわけではない。失恋、文字通り恋を失った。そうせざるを得なかった。君が死んでしまったからだ。相手が死んでしまったとしても、想い続けることはできる。そんなことを言う人もいる。ただ、絶対に報われない恋心を抱く虚しさがわかるだろうか? だから、恋心を殺した。だけど、これを捨てることができない。君を想う気持ちを消してしまうのは今になって哀しい。亡骸を抱きしめる。殺したことを今になって後悔した。殺すのではなく閉じ込めてしまえばよかった。
新たな恋はできそうにない。君が恋しくて仕方ない。でも、これは君が選んだ道。後を追ってしまおうか。いや、君との想い出は自分しか持っていない。だったら、生きて君のことを書こう。それをすれば恋心の葬儀ができるだろう。生きて君のことを記す。これが死んだ恋心を供養してずっと一緒にいる方法だろう。
今日も君のことを想って、小説を綴っている。