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束縛の対価
君のことが好きでたまらない。だから、どこにも行かないように、付き合って監禁することにした。君は何も言わず、ただ笑って従っている。それを見ていると、「君も私のことが好きなんだな」と感じた。
私は君に献身的な世話を続けた。私が外に行き、お金を稼ぎ、必要なものを買い、君を部屋に閉じ込めた。家の中ではどこに行っても、何をやっても全て私が見て、手伝いをした。君が笑っているところを見ると助けになっていると感じられて、心の隙間が埋まるようだった。
ある日、家に戻り、君がいる部屋の扉を開ける。いつもなら扉の前で待っているはずだが、姿がない。それどころか部屋にいない。私はパニックになって、家中を探し回る。そうしていると、背後から君の声が聞こえた。
「よかった」、居たという安堵とともに振り返ると、君の笑顔が見えた。それと共に腹に痛みを感じる。ナイフだ、ナイフが刺さっている。痛みで動けない私を見て、君は笑う。君のその姿を見て分かった。
別に君は私のこと好きじゃなかったんだな。