だから貴女は美しい
「好きです!」
「ごめんね」
私の横で繰り広げられる告白大会。
ちなみに私が告白されているのではなく、私の友人だ。
「俺、好きな人がいるから」
「! ……わかりました」
女の子が泣いている。
あーあ、泣かせちゃった。
少女は感極まって涙を流し、屋上から去っていく。
私は友人に冷たい視線を向ける。
「……もったいない。あの子、可愛いのに」
「あの子がタイプなのですか?」
どうしてそうなる。
私は同性を愛する性癖はない。
首を横に振ると、友人は微笑んだ。
……何、嬉しそうなんだよ。
「良かった。俺が暴走するから、彼氏は作らないでね?」
「いや、君のバリケードのせいで、彼氏が作れないから」
彼は何を思っているのか分からない。
ただ学校に入学してから、ずっと私と行動している。
お陰で彼氏の1人もできない。
「少しは私を労って? 私だって告白されたい」
「――愛しています」
真剣な瞳。
私は彼の美しさに心奪われる。
しかしそれは数秒。
彼が『嘘ですよ』と首を振った。
「貴女を愛することはないです」
「びっくりしたあ」
私は声を上げる。
彼は微笑んだまま『教室に戻りますよ』と言った。
「……もし、あなたに好きな人ができたら、殺しているところでした」
「その過激な愛を、好きな人に向けたら?」
私はお弁当箱をしまいつつ。彼を見る。
嬉しそうな、悲しそうな。
……まあ、いつか思い人に通じるといいね。
私は立ち上がると伸びをする。
今日もいい天気だ。
「……いつか」
「ん?」
「この想いは叶うでしょうか?」
彼の思い人はとっても攻略が難しいらしい。
私は少し考えて、首を縦に振る。
「大丈夫。君はキレイだから、思い人に通じるよ」
「……ありがとうございます」
彼は微笑みながら、サンドイッチのゴミを拾う。
うーん、この美形を落とした美女が気になる。
正直、彼が難航している美女を知りたいのだ。
「思い人」
「はい」
「どんな人?」
「――とても美しい人ですね」
ほほう。
もし想いが通じたら、美男美女カップルになるのか。
それは楽しみかも知れない。
私は彼に背を向けると、面白いネタだと思いながら歩く。
彼が何かを言ったが知らない。
私は彼の話題を提供する『ネタ』でしかないのだ。
『ネタ』は『ネタ』らしく、彼の傍でのびのびと生活するだけだ。
「……本当に、好きなんです」
彼が呟く。
とても悲痛な表情をしていたのは、私は知らない。




