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王国の内情

儂が誓いを立てた次の日、父上達と抱き合って泣きつかれた後寝てしまった儂が次に目を覚ますと次の日に朝になってしまった。


あんなにも泣いたのは久しぶりじゃが儂には泣いている暇はない。


誓いを立てたからには行動しなければとベットから起き上がると。


「おっはようございますフリーデ様っ!!」


長い髪二つに分けた明るい茶髪にメイド服姿の若い女性が部屋に入ってきた。


「おはようベティーナ」


儂は笑みを浮かべながらお辞儀をする。

この元気がよく明るいメイドはベティーナと言いバインリッヒ家に使える数少ないメイドの一人である。

元々は戦争孤児だったベティーナは爵位を貰ったばっかりの父上が偶然に見つけて保護をした。

それからは救ってくれたバインリッヒ家の為にもメイドとして一生懸命に使えてくれている。


「フリーデ様が目覚めたと聞いて私……うれしくうれしく…ウゥ」


「な.泣かないでよベティーナ」


突然泣き始めたベティーナに儂はベットから飛び起きて駆け寄り背中を優しくさする。


ベティーナは昔から儂の世話しており儂が倒れた時は物凄く怯えた顔をしており母上達が看病を終えた後もこっそりと儂の部屋に来ては神に儂を助けてくれるように祈りをしていたのをフリーデの記憶の中で見た。


「あ.ありがとうございますフリーデ様」


ベティーナは涙を拭きながら笑みを浮かべる。


この笑顔を守る為にも今の儂は数ヶ月前のフリーデの記憶しか確認しておらず現状の情勢が分からない状態ではいざというときに対応が出来ずフリーデとの誓いを破ることになる。

そうなる前に情報を集めなければならない。


「相変わらずベティーナは泣き虫で安心したわ……それでベティーナに聞きたいことがあるゆだけど」


「フリーデ様の頼みなら例え水の中火の中そしてヘイフ大国の中でも行きますよ!」


水はともかく火とヘイフ大国だと死に行くようなものだから辞めるんじゃ。


「アハハ……そんな大したことじゃないけど私が寝ている間に起きた出来事や事件。周りの国ことについて教えて欲しいの」


「良いですけど……私もそんなに詳しくありませんしなんでフリーデ様が気にするんですか?」


それは儂がこの小さい町「トルファン」を守る為に必要だからなんじゃ………って言ったら完全にうつけ者呼ばわりされてしまう。

さて……どうしたら良いものか。

おっそうだ!


「私もお父様の後を受け継ぐ身なのだから少しばかりは外のことを知らないといけないと思ったの」


「そうなんですか………分かりました!では私が分かる範囲で教えます!!」


ベティーナは誇らしげに胸を叩いて話し始めた。


先ず始めに儂が病に倒れた直後、流行り病が不自然なくらいに収まった。

一説によるとこの流行り病を流行らせたのがヘイフ大国という噂が流れているが定かではないらしい。

そして次に我が国であるトルキア王国は今荒れようとしていた。

切っ掛けは国王が突然に熱を出して倒れたことから始まった。

幸いにも命に別状は無かったがこの事で国王の跡を誰が継ぐのかという話が貴族議会で話し合われた。


本来は皇太子であるコルネリウス王子が次期国王となるのだがコルネリウス王子は政には関心がなく貴族のご令嬢達を呼んではいつも夜遅くまで酒を飲んで遊んでおり体たらくを晒している。

この事は国王も悩んでいるとのことで更に最近の出来事でコルネリウス王子が取り巻きを連れて城下町を歩いていると遊んでいた少年とぶつかってしまった。

謝る少年に対してコルネリウス王子は激怒し少年に暴力を振るった。

少年は重傷だったが命には別状は無かったがこの事で国民や一部の新興貴族はコルネリウス王子が国王に相応しくないと考え始め、継承権第二位で第二王子であるアルフォンス王子を支持し始めた。


第二王子のアルフォンス王子は見事なカリスマ性と優れた知識を持ち合わせており平民だからと言って無下に扱わず優しく接することから国民や一部の新興貴族に支持をしたのだろうが名門貴族を筆頭とした貴族派は自分達の権利が平民に奪われる恐れから皇太子のコルネリウス王子を支持した。

こうして皇太子コルネリウス派閥と第二王子アルフォンス派閥が国王の後継者を決める為に対立。

最初は貴族議会でお互いを罵り合う論争に過ぎなかったが今では暗殺や権力で圧力をかけたりと議会の裏で行われており地方では両派閥の戦が起きている程に悪化していると言う。


「ちなみにフリーデ様達バインリッヒ家は中立を保っています!」


それもそのはずじゃろう。

国王を跡取りを決めるためとはいえこんな無意味な争いに加担するのは馬鹿がすることで儂の父上は馬鹿でない。

それに父上は国王と旧知の仲で片方に派閥に味方するのはもう片方の派閥を敵に回すわけで国王の息子とは戦いたかくはないはずじゃろう。

まぁあの異常なまでの儂に対する愛情表現はやめて欲しいが……。


それはさておきベティーナは隣国の動きもざっとだが教えて貰った。


隣国のヘイフ大国は新たに即位した大王が軍事力が軍事力を強化していると言う。

北にある巨大な帝国「ロザリズ帝国」に備えているのかはたまた領土を拡大するためなのかは定かではない。


「もしヘイフ大国が攻めきてもゲオルグ様が居ますから安心してください!!」


不安だと感じて儂を励まそうとするベティーナには感謝じゃが儂は父上が戦えない身体なのは授受承知しておる。

だからこそ儂は早い内に力をつけなくてはならないのじゃ。


「説明ありがとうベティーナ」


「いえいえ!お役に立てて光栄です!!それでフリーデ様今日のご予定なんですが……」


「その前にベティーナ、ち…お父様は今日はどちらに?」


「ゲオルグ様ですか?確か執務室でお仕事をしております」


「そう……ならお父様に大事な話があるから準備をお願い」


「大事なお話……ですか?わかりましたでは準備を致しますね」


儂の大事な話が気になっている顔をするベティーナは儂の身支度の準備をするために部屋を出ていく。


ベティーナは当分帰ってこないだろうし儂は父上をどのように説得するか考えるとするかのう。


儂が父上に何を説得するのかというとこの儂に武術を習うこと許して貰うことなんだがあの超がつくほどの過保護である父上が許してくれるはずがない。


だが儂は娘との誓いを果たす為にも必ず父上の許しを得るじゃ!


次回は金曜日に投稿予定です。

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