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School Life ふぁんたじー 1 中編

「……うじ、起き……!」


 何だ……?

 誰かに呼ばれてる……?

 この声、星か……?


「耕史!」

「!?」


 星の呼ぶ声でようやく意識を取り戻した俺は自分が横たわっている事に気づく。

 それと同時に星の近くに陸と詩織が居る事に気づく。

 すぐに俺は立ち上がり服についた埃を右手で払う。


「耕史、大丈夫? 怪我はない?」


 埃を落とした後、星が俺にそう尋ねてくる。


「あぁ、大丈夫だ。問題ない」


 俺は星の質問に答えながら辺りを見始める。

 えっと、俺たちどうしたんだっけ?

 確か誰かの声が聞こえたと思ったら道路に描かれていた変な落書きが突然、光り出して……。

 んで、俺たちはそのまま光に呑み込まれていったんだ。


「……所でここ、何処だ?」


 俺は辺りを見ながらそう呟く。

 ちょっと辺りが薄暗いが複数の机に椅子、その奥には教壇に黒板があるのは分かる。

 見たところ、何処かの学校か?


「さぁ、僕にも分からないよ」


俺たちがそう話していると……。


「ようこそ、救世主様!」

『!?』


 何処からそう叫び声が聞こえてきた。

 俺たちはその叫び声に驚きを隠せなかった。


「この声って道路で私たちを呼んでいた声!」


 叫び声を聞いた詩織が俺たちに聞こえるぐらいにそう叫んだ。

 確かにあの時、聞いた少女の声だ。


「何処だ! 姿を見せやがれ!」


 俺はそう叫びながら臨戦態勢を整える。

 陸も臨戦態勢を整えながら辺りを見回す。

 一方、星と詩織は臨戦態勢を整えてる俺たちより後ろに下がり、邪魔にならないように移動する。

 すると、教壇の方で何かが勢いよく乗っかる音が聞こえた。

 すぐに俺たちは教壇の方を見ると、教壇の上に黒いローブを着た紫髪の少女が立っていた。


「改めてようこそ! アディアへ! そして、よろしく! 私の救世主様!」


 少女はこちらを指差しながらそう叫んだ。

 えっと、何だって?

 アディア?

 私の救世主様?

 この子、何を言ってるんだ?


「なるほど! 状況が分かってないようね! じゃあ、それぞれ席に座って! 今から説明してあげるわ!」


 状況が分からないままでいると少女は察したのか俺たちにそう叫ぶ。

 しかし、見るからに怪しい格好をしている少女にこの状況の説明を聞くのか?

 あまり信用できないけど、今はそれしかないか……。

 そう思った俺は星たちの方を見る。

 目を見る限りどうやら星たちも少女の説明を聞く気でいるようだ。

 確認した後、俺たちはそれぞれ机と椅子の所に行く。

 そして、椅子に座り教壇に居る少女の方を見る。


「じゃあ、まずは自己紹介ね! 私はリーム=ナイトよ! よろしく!」


 俺たちが席に着席するとリームと名乗る少女は仁王立ちしながら、自分の自己紹介をした。

 えっと、これって俺たちもやった方がいいんだろうな……。


「海本 耕史」

「姫川 詩織です。宜しくお願いします」

「私は阿江賀 陸よ」

「空畑 星……」

「なるほど! 陸ね!よろしくね!」


 各々が自己紹介をしていく中、何故か陸の名前だけに反応するリーム。

 何だ……?

 何故、陸だけに反応するんだ?


「早速、説明するわ! ここはアディア! 貴方達からすると魔法とかが使える異世界って言った方が分かりやすいかしら?」


 リームが説明を始めると突拍子ない言葉が出てくる。

 魔法とかが使える異世界?

 はっ、ふざけんな!

 そんなの誰が信じられるか!


「これでも信じられないかしら!」


 俺たちの信じられない顔を見たリームはそう言いながら右手をこちらにかざす。

 何だ?

 何をするつもりだ?

 俺がそう考えてると……。


「喰らいなさい!」

「……へっ?」


 リームがそう叫ぶと右手から電撃が出る。

 そして、こちらへと飛んでくる。

 えっ……?

 ちょっ……まっ……?


「あがががががぁぁぁあ!?」


 一瞬で状況を把握出来なかった俺はが放った電撃を直に受ける。

 その瞬間、全身に痛みが走り悲痛の叫び声を上げる。


「耕史!?」

「耕史君!?」


 悲痛の叫びを上げる俺を心配する星と詩織。

 その声を聞いたリームが右手を握る。

 すると、一瞬で電撃が消える。

 だが、俺は少し黒こげになった。


「これでわかったでしょ! ここが異世界だって事が!」


 リームは全く俺の気にせずにそう叫んだ。

 あぁ、ここが異世界なのはよく分かった……。

 けど、もう我慢できねぇ!


「てめぇ、ふざけんなぁ! 後少しで死ぬ所だっただろうが!」

「耕史、落ち着いて! 気持ちはわかるけど今はこの状況を確認するのが先だよ!」

「耕史君、星君の言う通りです! その理由が分かれば帰る方法も分かるかもしれません!」


 リームの行動にぶち切れた俺はそう怒鳴りながら席を立ち上がる。

 すると、星が席を立ちながら俺を止めに入る。

 その後、詩織も加わり二人で俺を説得し始める。


「じゃあ、力を見せた事だし話を続けるわ。この世界、アディアは様々な力で溢れている。その中に召喚魔法というものがあるわ」

「召喚魔法? 何それ?」

「よくぞ聞いてくれた! さすが私の救世主様!」


 俺たちの事をそっちのけで再び説明を始めるリーム。

 すると、退屈そうに聞いていた陸がそう尋ねると彼女は感激したようにそう言った。


「召喚魔法とは簡単に言うと違う世界の人や獣をこの世界に呼ぶ力の事」

「違う世界から人や獣を呼ぶ力?」

「そう! そして、召喚魔法を行った者の願いを召喚された者が叶える力で私はそれを行ったわ!」


 リームは陸の質問に答えながら自分が召喚魔法を行った事を高らかに叫んだ。

 それってつまりだ……。


「つまり僕たちを呼んだのって……」

「そう! 私が貴方たちを呼んだの!」


 俺を抑えながら星がそう尋ねようとした瞬間、リームは自分からそう答えた。

 やっぱりあいつが俺たちをこの世界に連れてきたのか!


「おい、今すぐ俺たちを元の世界に返せ! というかその魔法、結構無茶苦茶すぎだろ!」

「あっ、それは無理だわ。この力の制約で召喚した者の願いを叶えないと貴方たちは元の世界には帰れないから」


 俺がそう怒鳴るとリームは丁寧に説明してくる。

 こいつの願いを叶えないと元の世界に帰れないだと!

 ふざけんじゃねぇ!

 何でわざわざ異世界に来てまで他人の願いを叶えないといけないんだ!


「じゃあ、だいたい説明が終わったところで……」

「ん?」

「今から貴方たちの実力を確かめるわ!」


 リームは高らかにそう叫んだ。

 その時の俺たちにはこれから何が起きるのかまだ知らなかった。

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