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School Life ふぁんたじー 1 前編

「じゃあ、始めようかしら……」


 闇夜にも負けない暗い部屋に黒いローブを着た少女が一人。

 そう呟いた後にテーブルの上に置いてある水晶玉を近づく者が居た。

 そして、テーブルの前に立つと両手を水晶玉の上にかざす。

 すると突然、水晶玉が光り出し様々な景色を映し出される。

 映し出された景色は自然豊かな村や高層ビルなどが建っている街など人が住んでいる場所を中心に映し出されていた。


「はぁ……これだけやってもまだ見つからない。もう諦めた方がいいのかしら……」


 水晶玉を見つめている少女がため息をつきながらそう嘆いていると……


「ん? あれは……!」


 少女がそう言いながら何かを見つけると水晶玉は更に光り出す。

 そして水晶玉は様々な景色をやめ、ある景色だけを映し始める。


「見つけた……!」


 映し出された景色を見ながら少女は感激の声を上げる。

 そこに映っていたのは道を歩く何処にでもいるような若者四人。


「これで私の悲願が達成する……!」


 少女はそう言った後、外に響くくらいの高笑いをし始めるのであった。


 ※※※


(せい)、遅いぞ」

「まってよ! こ〜うじ!」


 俺の名前は海本(うみもと) 耕史(こうじ)。髪が青いがそれ以外は何処にでもいる普通の高校生。

 今は学校に向かっている最中だ。

 そして、後ろから走ってくるのが空畑(そらはた) (せい)

 不良から助けてやった事がきっかけで俺に懐いた。

 ちなみに星は金髪の女顔ではあるがれっきとした男である。

 俺の右隣に来ると星は此方を見ながら微笑みを始める。


「何だよ?」

「いや、今日も耕史はかっこいいなと思って」

「そうか?」

「うん。いつもかっこよすぎて惚れそうになるよ!」

「……そうか」


 ……訂正。

 星は俺に異常までに懐いてる。

 悪い気はしないが玉に身の危険を感じる。

 そういう時は今みたいに流すのが一番いい。


「おい、海本 耕史! 私の夫(確定事項)にちょっかい出さないでくれる?」


 俺たちがそう話をしているといつも聴き慣れた声が後ろから聞こえてくる。

 全く朝から会うなんてついてない。

 ここは無視するか……いや、無視したら無視したで後々面倒だ。


「相変わらず星の事で突っかかってくるな。(りく)


 俺は呆れた声でそう言いながら後ろを向く。

 それと同時に星もため息をついた後に俺と同じ方向を向く。

 すると、そこに居たのはピンクのツインツールをしている阿江賀(あえが) (りく)だった。

 しかも、仁王立ちで此方を睨みつけてる。


「あんたが居なかったらもうとっくの昔に星から婚約指輪を貰って一線越えをしていたんだから責任とってよ!」


 陸はそう叫びながら右手で俺の方を指差す。

 全くこいつはいつも無茶苦茶な事を言ってやがる……。


「はぁ? この脳みそお花畑女は何言ってんの? 微塵もない可能性を信じるなんて哀れだね。いや、哀れすぎて何も言えないの方が正しいかな?」


 陸の発言を聞いた星が冷めた表情をしながらそう言い放った。

 星、お前もお前でこいつに対して結構酷い事を言うな……。

 あれでもお前の事を好いてるんだぞ……。


「あぁ、星。愛しい私の夫。もういつも通り、照れちゃって可愛いんだから!」


 星の発言を聞いた陸は俺を指差すのを辞めて、体をくねくねさせながらそう解釈した。

 全くこいつもこいつですごい前向きだよな……。

 星はこんなにも嫌な顔してるのに傷つくどころか喜んでいるだからな……。

 ある意味、そこだけは見習いたい。


「陸、またやってるの?」


 俺たちがいつものやりとりをしていると陸の後ろから黒髪ショートで眼鏡をしている姫川(ひめかわ) 詩織(しおり)がやってきた。


「あっ、詩織! おはよう!」

「陸、おはようございます」


 お互いに朝の挨拶をする陸と詩織。

 二人は親友でいつも一緒に居る事が多い。主に詩織は陸のストッパーだが、眼鏡の事や自分では手に負えなくない状況になると陸以上に暴走するからタチが悪い。


「耕史君も星君もおはようございます」

「詩織さん、おはよう」

「あぁ、おはよう」


 まぁ、暴走しなければ礼儀正しい委員長タイプだからそんなに害はない。

 むしろ居ないと俺だけで毎日、この状況は正直疲れる。


「陸、そろそろ学校に行かないと遅刻しちゃうよ」

「えっ、もうそんな時間!? あぁ、愛しの夫の前では時間も忘れてしまうのね!」


 詩織の発言を聞いてまた自分の世界に入り込む陸。

 しかし、もうそんな時間か。

 俺は別に遅刻してもいいが星や詩織を遅刻させる訳にはいかない。

 ここはちょっと急ぐか。


「じゃあ、急がないとな。走るぞ」

「あっ、まってよ。耕史」

「ほら、陸行くよ」

「あん、置いていかないで!」


 俺がそう言いながら学校の方へと走り出す。

 すると星、詩織、陸の順番に声を出しながら俺を追いかけていく。

 しかし、いつもながら代わり映えしない日常だな。

 まぁ、それが一番いいんだがな……。


(助……て……)

「ん?」


 なんだ?

 誰か呼んだか?

 誰かの声に気づいた俺は走るのを辞めてその場に止まる。

 すると、後ろからついて来た星たちも不思議に思いながら立ち止まる。


「耕史、どうしたの? いきなり止まって……」


 突然、俺が立ち止まった事に疑問を持ち尋ねる星。

 一方、俺は星の質問には答えずに辺りを見回す。

 やはり気のせいか……?


(はやく……こっちへ……)

「えっ? 何……?」

「女の子の声?」


 また声が聞こえてくると陸と詩織がそう言いながら辺りを見回す。

 他の奴にも聞こえたって事はやはり気のせいじゃなかったか。


「耕史! 下、見て!」


 星がそう叫ぶと俺たちは一斉に下を向く。

 すると、ファンタジー漫画とかで描かれそうな魔法陣が地面から浮かび上がる。

 なんだ……!?

 何が起きてるんだ!?

 俺がそう考えると……。


(来て! 私の救世主様!)


 声がはっきりと聞こえると突然、魔法陣が光り出した。

 そして……。


『うわわわわわぁ!?』

『きゃあああああぁ!?』


 魔法陣の光は叫ぶ俺たちを呑み込んでいった。


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