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プロローグ
「何てことだ!」
俺は叫んだ。
ありったけの力で叫んだ。
今日、この日人族は魔王に勝ったのである。
しかし、あまりにも代償は大きかった。
人族の代表たる勇者ヒカリは魔王と相討ちになったのだ。
事切れた勇者を抱いた聖騎士バルムンクは大粒の涙を流し終戦を宣言していた。
俺は泣き叫んだ。「なぜヒカリが!?」「なぜ彼女が死ななければならないんだ!」
その場にいた兵士たちは戦勝ムードなど無かった。あったのは勇者を失ったと言うまごう事なき絶望感…
魔王はいない。しかし、勇者もいない…
皆同じ気持ちだった。




